日経BP社に取材いただいた記事が公開されました!

親の相続で兄弟が揉める原因と対策|揉めない分け方を徹底解説

親御さんが亡くなり、残された兄弟姉妹で遺産を分ける。一見、単純な話に聞こえますが、実はここが相続における最大の難所です。

「うちは兄弟仲が良いから大丈夫」と思っていた家庭ほど、いざ具体的な数字や不動産の名義を前にすると、長年の感情や不公平感が噴出し、収拾がつかなくなるケースを私たちは多く見てきました。

本記事では、兄弟にとっての「親の相続」というテーマについて、法律が定める基本ルールから、実務で直用するトラブルの回避策、そしてよくある疑問への回答まで、専門家の視点で詳しく解説します。

1. 法律が定める「兄弟の取り分」の基本ルール

兄弟間での話し合い(遺産分割協議)を始める前に、まずはベースとなる法律の定めを確認しましょう。

(1) 法定相続人とその順位

相続人になれる人の範囲と順位は法律で決まっています。配偶者は常に相続人となり、それ以外の親族は以下の順位で決まります。

  • 第1順位: 子(亡くなっている場合は孫:代襲相続)
  • 第2順位: 直系尊属(親・祖父母)
  • 第3順位: 兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥・姪)

(2) 兄弟間の法定相続分(取り分の割合)

親(被相続人)に子どもが複数いる場合、その子どもたちの取り分は「全員均等」が原則です。

家族構成配偶者子(兄弟)全体の枠兄弟1人あたりの割合
配偶者 + 子2人1/21/21/4 ずつ
配偶者 + 子3人1/21/21/6 ずつ
子2人のみなし11/2 ずつ

ここで重要なのは、この数字はあくまで「すべての財産を現金化して分けた場合」の計算上の数字である、という点です。

2. なぜ「法律通り」がトラブルを招くのか?

「法律で決まっているなら、その通りに分ければいい」と考えるのは危険です。実務において、等分に分けることが難しい理由は主に3つあります。

① 不動産(実家)という「切りにくい」財産

日本の家庭において、遺産の大部分を占めるのは「自宅不動産」です。 例えば、2,000万円の価値がある実家と、500万円の預貯金がある場合、兄弟2人で「1,250万円ずつ」分けるには、実家を売却するか、どちらかが現金を工面しなければなりません。

② 「共有名義」という時限爆弾

「とりあえず1/2ずつ」と実家の名義を共有にするのは、最も避けるべき選択肢です。将来、一方が「売りたい」と言っても、もう一方が「思い出があるから残したい」と言えば売却できません。さらに次の世代に相続が発生すると、名義人がネズミ算式に増え、誰の意思でも処分できない「塩漬け不動産」になってしまいます。

③ 過去の「贈与」と「介護」の温度差

  • 特別受益: 「兄さんは住宅資金を出してもらった」「弟は私立大学の学費を出してもらった」といった過去の不公平。
  • 寄与分: 「私だけが親の介護を10年担ってきた」という貢献への自負。 これらは法律上の「均等」という数字では決して癒えない、感情的な対立の火種となります。

3. 【実務シミュレーション】実家しかない場合の分け方

具体的な事例で考えてみましょう。

  • 被相続人: 母(父は他界済み)
  • 相続人: 長男(実家同居)、次男(離れて生活)
  • 遺産内容: 実家(評価額3,000万円)、預貯金1,000万円

【ケースA:現物分割】 長男が実家(3,000万円)を継ぎ、次男が預金(1,000万円)を継ぐ。
→ 次男から「兄貴だけ2,000万円も得をするのはおかしい」と不満が出る可能性が高い。

【ケースB:換価分割】 実家を売り、諸経費を引いた現金を2,000万円ずつ分ける。
→ 公平だが、同居していた長男は住む場所を失う。

【ケースC:代償分割(FP推奨)】 長男が実家と預金をすべて継ぐ(計4,000万円)。その代わり、長男が自分の貯金から次男へ2,000万円を支払う。
→ 全員が納得しやすいが、長男に2,000万円の資金力があることが前提。

ここで、長男に資金がない場合に役立つのが「生命保険」を活用した納税・代償資金準備です。

4. 知っておきたい「親・相続・兄弟」のQ&A

実際の相談現場でよく寄せられる質問をまとめました。

Q1. 絶縁状態の兄弟がいる場合、その人を外して話し合いを進めてもいいですか?

A. いいえ、不可能です。 遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ法的に無効となります。たとえ行方不明であっても、戸籍をたどって住所を特定し、連絡を取らなければなりません。どうしても連絡がつかない場合は、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てるなどの法的手続きが必要になります。

Q2. 異母兄弟(前妻の子など)がいる場合、取り分はどうなりますか?

A. 実子であれば、取り分は全く同じです。 「ずっと一緒に暮らしてきた子」も「何十年も会っていない異母兄弟」も、法律上の相続分は同じです。このようなケースこそ、生前に遺言書を作成しておかないと、死後に面識のない兄弟間で深刻なトラブルに発展します。

Q3. 親が亡くなる前に、兄弟に「相続放棄」をさせることはできますか?

A. できません。 相続開始前(親の生存中)に「相続を放棄する」という契約や念書を書いても、法的な効力はありません。ただし、家庭裁判所の許可を得る「遺留分の放棄」という手続きは生前でも可能ですが、認められるためのハードルは非常に高いです。

Q4. 兄が親の預金を勝手に使い込んでいる疑いがあります。どうすればいいですか?

A. 銀行に連絡して取引履歴を取り寄せましょう。 相続人であれば、親の過去の取引履歴を単独で請求できます。使途不明な出金があれば「特別受益」として遺産に持ち戻して計算するか、不当利得として返還を求めることが検討されます。揉める前に、専門家を交えて調査することをお勧めします。

Q5. 介護をしていた場合、遺産を多めにもらえる「寄与分」はどれくらい認められますか?

A. 法的には「期待するほど多くない」のが現実です。 裁判所で寄与分が認められるには、「介護のために仕事を辞めた」「施設費用をすべて負担した」などの特別な証拠が必要です。単に「身の回りの世話をした」程度では認められにくいのが実情です。だからこそ、親に**「遺言書」**を書いてもらい、親の意思として多めに渡す形を作っておくのが最も確実です。

5. 円満相続のための「3つのチェックリスト」

兄弟間の争いを避けるために、今すぐ以下の3点を確認してください。

  1. 財産の全体像を把握しているか? 隠れた借金や名義預金がないか、財産目録を作成しましょう。
  2. 実家の評価額を正しく知っているか? 「いくらで売れるか」だけでなく「相続税評価額」を確認しましょう。
  3. 親の「本音」を聞いているか? 誰に何を継がせたいか、親が元気なうちに第三者を交えて確認しましょう。

まとめ:兄弟相続を「家族の絆」を深める機会にするために

相続は、それまでの家族の歴史が凝縮されて現れるイベントです。法律や税金の知識だけでは解決できない、「心」と「お金」のバランスが求められます。

「親 相続 兄弟」というキーワードに不安を感じているなら、それは「準備を始めるべきタイミング」だというサインです。

FP事務所FPis(エフピス)のご案内

相続は、感情、法律、税金が絡み合う複雑な問題です。特に、介護の貢献度や家族間の不公平感といったデリケートな問題には、中立的な第三者のアドバイスが不可欠です。

FP事務所FPisは、お客様の家族構成や資産状況を総合的に把握し、争族を回避し、税負担を最小化するための最適な遺言書作成、家族信託、生命保険の活用プランをご提案します。

相続のことが気に掛かっている方、
お気軽に無料相談にお申込みください

よろしければシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

石田 健雄のアバター 石田 健雄 FP事務所FPis(エフピス)代表

ファイナンシャルプランナー(CFP/1級FP技能士)の石田健雄です。

第一生命に35年間勤務した後、FP事務所を開業しました。第一生命では本社所属のFPとして、数多くのお客様に寄り添って資産運用や相続などのお困りごとを解決してきました。そのたびに頂いた感謝の言葉が忘れられず、自らFP事務所を開業するに至りました。

アドバイスに終わらず、お客さまの希望する未来の実現まで伴走しながらサポートすることをモットーとしています。詳しくは、下記リンクからホームページをご覧ください。

タップで読みたい場所にジャンプ