「今はまだ低金利だから変動で大丈夫」「いや、ニュースを見るとそろそろ固定にするべきか……」
住宅ローン選びで、今ほど多くの方が悩まれている時期はありません。銀行の窓口で提示される「変動0.6%」と「10年固定2.3%」。その差は1.7%もあります。
「月々の支払いが安いから変動にしたい。でも、将来が怖い」
その不安の正体は、「金利が上がった時に、自分の家計に何が起こるか」を具体的な数字で把握できていないことにあります。35年の経験を持つFPの視点から、金利上昇時代に負けないための判断基準を解説します。
1. 金利上昇で「返済額」はどう変わるのか?
まずは、具体的な数字を見てみましょう。
【条件:借入4,000万円/35年返済/元利均等/ボーナス払いなし】
| 金利タイプ | 適用金利 | 月々の返済額 | 総返済額 |
| 変動金利(現在) | 0.6% | 105,620円 | 4,436万円 |
| 10年固定(現在) | 2.3% | 138,591円 | 5,820万円 |
現在の差額は月々約3.3万円。年間で40万円近い差です。これだけ見ると「変動一択」に思えるかもしれません。しかし、変動金利は**「5年後、もし金利が上がったら?」**というシミュレーションが不可欠です。
5年後に金利が「1.5%(+0.9%)」に上がった場合
- 月々の返済額:105,620円 ⇒ 約121,000円(約1.5万円アップ)
「1.5万円なら外食を控えれば……」と思うかもしれません。しかし、これが2%、3%と上がった時、あなたの教育資金や老後資金の計画は崩れませんか?
2. 知っておかないと怖い「125%ルール」の罠
変動金利には、多くの銀行で「5年ルール(5年間は返済額を変えない)」と「125%ルール(増額しても前回の1.25倍まで)」があります。
多くの人はこれを「急激に支払額が増えないための安心ルール」だと勘違いしています。しかし、FPの視点から言えば、これは「支払いを先送りにしているだけ」の非常にリスクが高い仕組みです。
① 「未払利息」という見えない借金
もし金利が急騰し、本来支払うべき利息が「125%ルールで決められた返済額」を超えてしまったらどうなるでしょうか?
- 本来の利息 > 毎月の返済額
- この差額分が「未払利息」となり、銀行への借金として積み上がります。
- 恐ろしいのは、「毎月お金を払っているのに、住宅ローンの元金が1円も減らない」、それどころか借金が増えていくという事態が起こり得ることです。
② 最終回に待ち受ける「一括返済」の恐怖
125%ルールで守られているのは、あくまで「月々の返済額」だけです。返済しきれなかった「元金」と「未払利息」は消えてなくなるわけではありません。
35年後の最終回に、残債を一括で請求される可能性があるのです。その時、あなたは退職金をすべて吐き出せますか?
③ ルールが「ある」銀行・「ない」銀行
最近はネット銀行を中心に、このルールを採用しない銀行が増えています。
- 「あり」の銀行(メガバンク、auじぶん銀行、楽天銀行など):当面の支出は安定しますが、裏で「未払利息」が発生するリスクを抱えます。
- 「なし」の銀行(ソニー銀行、SBI新生銀行、PayPay銀行など):金利上昇の翌月から返済額が増えますが、元金は着実に減り、未払利息の恐怖はありません。
「ルールなし」は一見厳しく見えますが、家計の「今」の異常にすぐ気づけるという点では、むしろ健全とも言えるのです。
3. 金利上昇局面で「絶対にやってはいけない」選び方
ネットの情報に惑わされず、以下の3点だけは避けてください。
- 「今の返済額」を基準に借入額を決める0.6%で審査ギリギリのローンを組むのは、将来の自分への「時限爆弾」です。
- 「みんなが選んでいるから」で変動にするSNSで「変動がお得」と言っている人と、あなたの貯蓄残高や家族構成は違います。
- 「金利が上がったら繰り上げ返済すればいい」と楽観視する金利が上がる時は、インフレで生活費も上がっている可能性が高いです。その時、本当に手元にキャッシュを残せますか?
4. あなたにとっての「正解」を出すための判断基準
最後に、ご自身にこう問いかけてみてください。
- 基準①:家計の「バッファ(余白)」「もし金利が2.5%になった時、NISAでの積み立てを止めずにローンを払い続けられますか?」
- 基準②:性格的な耐性「毎日金利ニュースをチェックして、胃を痛めるようなストレスを感じませんか?」
これらに「NO」という答えが出るなら、たとえ今、目先の支払いが数万円高くても、「固定金利」で安心を買うことこそが、あなたの人生にとっての正解かもしれません。
結び:数字の比較ではなく「人生の比較」を
住宅ローンは、銀行との契約ではありません。あなたとご家族の「これからの35年」を支える土台です。
「わが家の家計は、金利何%まで耐えられるのか?」
「NISAと繰り上げ返済、今の自分にはどちらが優先か?」
ネットのシミュレーターでは導き出せない、あなただけの「答え」を、FP事務所FPis(エフピス)は一緒に作ります。35年の経験に基づき、金利変動に負けない「伴走型」のライフプランを作成しませんか?
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