「親に相続の話を切り出したいけれど、縁起でもない、と怒られそうで怖い」
「父(母)の資産状況が全く分からず、何を聞けばいいのか分からない」
これは、40代・50代の「子の世代」の多くが抱える共通の悩みです。しかし、前回の記事でお話しした通り、親が認知症になる前に親の意思と財産の状況を把握しなければ、争族リスクや資産凍結リスクを回避できません。
ここでは、親に負担や不快感を与えず、むしろ「安心」を与える形で、相続の話を切り出すための具体的なステップを解説します。
1. 「自分のため」ではなく「親の安心のため」に話す
親御さんに相続の話を切り出す際の最大のコツは、話のテーマを「相続税対策」や「遺産分割」といった「お金の話」ではなく、「親の老後の安心と安全」にすることです。
| 悪い切り出し方(子の都合) | 良い切り出し方(親の安心) |
| 「そろそろ相続税対策をしないと、私たち子どもが困るから」 | 「お父さん・お母さんの老後の生活費が足りなくならないか、一度チェックさせてほしい」 |
| 「誰が実家を継ぐか、今のうちに決めておかないと揉めるよ」 | 「もしもの時、お父さんの大切にしてきた財産を、お父さんの望み通りに分ける準備をしたい」 |
| 「早く遺言書を書いて」 | 「認知症で口座が使えなくなったら、介護費用の支払いに困るかもしれない。その対策だけさせてほしい」 |
「親の安心」というテーマなら、親御さんも「自分のこと」として話に応じてくれやすくなります。
2. 親が元気なうちに確認すべき3つの重要項目
話の切り出しに成功したら、以下の3つの重要項目について、親の「意向」と「状況」を確認しましょう。
(1) 老後の「意向」と「介護の希望」
最もデリケートですが、最も重要な項目です。親の意思がはっきりしているうちに聞いておきましょう。
- 介護の場所:将来、自宅で介護を受けたいか、施設に入りたいか?
- 希望する施設費用の捻出方法:施設入居の場合、どの資産を現金化して充当したいか?
- 最期の医療:延命治療の希望の有無など。
(2) 資産の「全体像」と「管理状況」
正確な財産目録を作る必要はありませんが、「何がどこにあるか」の全体像を把握します。
- 金融資産:どの銀行の、どの支店に口座があるか?(正確な残高は不要)
- 不動産:実家以外に、賃貸用のアパートや駐車場などがあるか?
- 負債:住宅ローンや借入金など、マイナスの財産はどのくらいあるか?
- 保険:加入している生命保険や医療保険の証券はどこにあるか?
(3) 遺産分割に関する「最後の意思」
最も争族回避に直結する項目です。「誰に何を渡したいか」という具体的な意向を聞き出します。
- 実家の行方:実家は誰に継いでほしいか、あるいは売却してほしいか?
- 公平性の考え方:生前に特定の兄弟に住宅資金を援助した場合、「相続分は減らすべきか」など、親自身の公平性の考え方を確認します。
- 介護の貢献:介護を担ってくれた子(子の配偶者)に、何か別に残したい財産があるか?
3. 話し合いを前に進めるための具体的なステップ
このデリケートな話し合いを単発で終わらせず、具体的な対策へ進めるための2つのステップです。
Step 1:証拠の保管場所を明確にする
親の死後、家族が「探す」手間を省くことが、円滑な手続きの第一歩です。
- 「相続ノート」の作成:エンディングノートでも可。金融機関のリスト、保険証券の保管場所、不動産の権利証の場所など、財産の所在情報をまとめてもらう。
- デジタル情報の整理:インターネット銀行や株式口座のID/パスワードなど、デジタル遺品についても管理方法を決めておく。
Step 2:専門家との連携を提案する
親子の話し合いだけでは、法律や税金の専門的な対策(遺言書の作成、家族信託など)はできません。
親の「安心」を口実に、「第三者である専門家(FPや弁護士)に一度状況を整理してもらうのはどうだろう?」と提案し、中立的な立場の人を間に入れることで、親御さん自身の本音や不安を引き出しやすくなります。
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