退職金の受け取り方|一時金と年金、税金で差がつく選び方
長年の勤務をねぎらう退職金は、多くの方にとって人生で最大級のまとまったお金です。しかし「一時金で受け取るか、年金形式で分割して受け取るか」で、税金や手取り、老後の使い勝手が大きく変わることは意外と知られていません。この記事では、退職所得控除などのしくみと、一時金・年金それぞれの特徴、損をしない選び方を、FPの実務目線でやさしく整理します。
📌 この記事の要点
- 退職金の受け取り方は主に「一時金」「年金(分割)」「併用」の3つ。税金の扱いが異なります。
- 一時金には退職所得控除があり、勤続20年超なら「800万円+70万円×(勤続年数−20年)」まで税優遇されます。
- 年金受け取りは公的年金等控除の対象になる一方、受け取り期間中の運用益が期待できる商品もあります。
- どちらが有利かは、退職金額・勤続年数・他の年金収入・運用方針で変わり、一律の正解はありません。
- 受け取り方は後から変更できないことが多く、事前のシミュレーションが重要です。
退職金の受け取り方は主に3つ
退職金の受け取り方は「一時金(まとめて)」「年金(分割して定期的に)」「併用」の3種類が一般的です。税金の計算方法が異なり、どれを選ぶかで手取りが変わります。まずは自分の勤務先の制度を確認しましょう。
退職金の受け取り方は、勤務先の制度にもよりますが、大きく次の3つに分かれます。
| 受け取り方 | 特徴 | 税金の扱い |
|---|---|---|
| 一時金 | まとめて一括で受け取る | 退職所得(退職所得控除あり・優遇大) |
| 年金(分割) | 数年〜十数年に分けて受け取る | 公的年金等控除の対象(雑所得) |
| 併用 | 一部を一時金、残りを年金で | 両方の組み合わせ |
それぞれ税金の計算方法が違うため、「同じ退職金額でも手取りが変わる」ことがあります。
一時金で受け取る場合の税金(退職所得控除)
一時金は「退職所得控除」で大きく税優遇されます。勤続20年以下は40万円×勤続年数、20年超は800万円+70万円×(勤続年数−20年)まで控除。控除後の残りの半分だけが課税対象になります。
一時金の魅力は、税制優遇が手厚いことです。まず退職所得控除が使えます。
- 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数
- 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
たとえば勤続38年なら、800万円+70万円×18年=2,060万円まで控除できます。さらに、控除しきれない部分もその2分の1だけが課税対象(分離課税)となるため、税負担は比較的軽くなります。多くの会社員にとって、一時金はまとまったお金を効率よく受け取れる方法です。
年金(分割)で受け取る場合の特徴
年金受け取りは、退職金を数年〜十数年に分けて受け取る方法です。受け取り期間中は残高が運用されて増える場合がある一方、受取額は公的年金等控除の対象となり、他の年金と合算で課税されます。
年金形式は、退職金を分割して定期的に受け取る方法です。メリットは、受け取っていない残額が運用され、総額が増える場合があること(制度により予定利率が設定されていることがあります)。また、一度に大金を手にしないため使いすぎを防ぎやすい面もあります。
一方、受取額は公的年金等控除の対象になりますが、老齢年金など他の公的年金と合算されるため、人によっては課税所得が増え、社会保険料に影響することもあります。運用のメリットと課税・社会保険料のバランスを見て判断します。
一時金と年金、どちらが有利かの判断軸
判断軸は、退職所得控除で一時金がどれだけ非課税になるか、年金受け取りの運用メリット、他の年金収入との合算、そして使い方の計画です。控除枠に収まるなら一時金が有利になりやすい傾向があります。
どちらが有利かは一律に決まりません。次の視点で比較します。
- 退職所得控除に収まるか:退職金が控除枠の範囲なら、一時金はほぼ非課税で受け取れ有利になりやすい。
- 運用メリット:年金受け取りの予定利率が高いなら、分割で受け取る価値が高まる。
- 他の収入との合算:年金受け取りで課税所得・社会保険料が増えないか。
- 使い方の計画:まとめて受け取って自分で運用・管理できるか、分割で計画的に受け取りたいか。
注意:受け取り方は退職後に変更できないことが多く、iDeCoや企業年金との受け取り時期の重なりで税額が変わることもあります。税理士やFPに事前相談することをおすすめします。
事例|受け取り方で手取りを整えたケース
退職金は「全額一時金」だけでなく、控除枠まで一時金、残りを年金にする併用も有効です。EさんとFさんの例を紹介します(匿名の一般的な想定例です)。
Eさん(勤続40年・退職金2,000万円)|「控除枠内で一時金」
退職所得控除の枠内に収まるEさんは、一時金でほぼ非課税に。受け取った資金の一部は、使う時期で色分けして運用に回し、無理のない老後設計を描けました。
Fさん(退職金と企業年金あり)|「併用で税負担を平準化」
一時金と年金を併用したFさん。控除枠を活かしつつ、残りを年金で受け取ることで、単年に所得が集中するのを避け、税・社会保険料の負担をならすことができました。
※事例はプライバシーに配慮した一般的な想定例です。最適な方法は状況により異なります。
よくある質問(FAQ)
退職金は一時金と年金、どちらが得ですか?
退職所得控除はいくらですか?
一時金の税金はどう計算しますか?
年金受け取りのメリットは何ですか?
年金受け取りは社会保険料に影響しますか?
受け取り方は後から変えられますか?
iDeCoと退職金の受け取り時期は関係しますか?
何から相談すればよいですか?
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2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の購入・売却や特定の手続きを勧誘・保証するものではありません。制度・数値は2026年7月時点の公表情報に基づき、今後変更される可能性があります。税額は個別の状況で異なり、税制は改正される可能性があります。具体的な税務判断は税理士へのご相談をお勧めします。最新かつ正確な内容は各公的機関の公式情報をご確認のうえ、個別のご判断は税理士・弁護士・社会保険労務士等の専門家へのご相談をお勧めします。
参考:国税庁「退職金と税」「退職所得控除」関連タックスアンサー。

