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持っている投資信託を点検する|50代の入れ替え判断

持っている投資信託を点検する|50代が続けるか入れ替えるかを判断する方法

取引報告書は届くけれど、封を切らないまま積み上がっている。何を持っているか、はっきりとは思い出せない——資産運用を始めてから年月が経つと、こうなりがちです。50代は取り崩しまでの距離が見えてくる時期ですから、いま一度中身を確かめておく価値があります。この記事では、持っている投資信託を6つの視点で点検し、続けるか入れ替えるかを決めるまでの手順をご紹介します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

執筆:石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。東京都渋谷区。

CFP1級FP技能士独立系FP渋谷

📌 この記事の要点

  1. 点検の第一歩は一覧にすることです。銘柄名・評価額・信託報酬・投資対象を一枚に並べると、重複や偏りが見えてきます。
  2. 信託報酬は毎年かかり続けます。同じ投資対象でも年0.5%の差があれば、10年で5%前後の差になります。
  3. 複数の銘柄を持っていても、中身が同じ地域・同じ指数に集中していれば分散されていません。
  4. 毎月分配型の分配金には、運用益ではなく元本の払い戻しにあたる部分が含まれる場合があります。資産全体の推移で確認します。
  5. 入れ替えには費用と課税が伴います。課税口座で含み益がある場合は、売却時に約20%が課税される点も含めて比べます。
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まず一覧にする|点検は並べることから始まる

持っている投資信託を一枚に並べると、それだけで重複や偏りが見えてきます。銘柄名、評価額、信託報酬、投資対象、保有している口座の5項目で十分です。

点検といっても、特別な知識は要りません。まず並べることから始めます。

書き出す5項目

項目 どこで分かるか
銘柄名 取引報告書、証券会社のマイページ
評価額・取得金額 同上。含み益か含み損かも確認します
信託報酬(年率) 目論見書、運用報告書、証券会社の商品ページ
投資対象 同上。国内株式/先進国株式/新興国/債券/REIT など
保有している口座 NISA口座か、課税口座か、iDeCoか

📌 複数の金融機関に分かれている場合
銀行と証券会社の両方に口座がある方は、それぞれの残高を一枚にまとめます。別々に見ていると、同じものを重複して持っていることに気づきにくくなります。

この一覧ができた時点で、「思っていたより本数が多い」「同じような名前のものが並んでいる」といったことに気づかれる方が少なくありません。点検の半分は、この作業で終わります。

視点①|信託報酬を確認する

信託報酬は保有している間ずっとかかる費用です。同じ投資対象でも商品によって差があり、年0.5%の違いは10年で5%前後の差になります。まず数字を並べて比べます。

信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日少しずつ差し引かれる費用です。運用がうまくいっている年も、そうでない年も、同じようにかかります。

水準の目安

種類 信託報酬の水準(年率・目安)
指数に連動するタイプ(国内株式) 0.1〜0.5%程度
指数に連動するタイプ(先進国・全世界株式) 0.05〜0.6%程度
運用者が銘柄を選ぶタイプ 0.8〜2.0%程度
バランス型 0.15〜1.5%程度と幅があります

※商品によって幅があります。実際の数値は目論見書でご確認ください。

差の大きさ
1,000万円を10年保有した場合
信託報酬 年0.1% → 累計およそ10万円
信託報酬 年1.5% → 累計およそ150万円
差はおよそ140万円。運用成果が同じなら、この差がそのまま手元に残る金額の差になります。

ただし、信託報酬が高いこと自体が問題というわけではありません。その費用に見合う中身かどうかが判断の分かれ目です。指数に連動するだけの商品に年1.5%を払っているのであれば、見直しの余地があります。

視点②|中身が重複していないか

本数が多くても、投資対象が重なっていれば分散されていません。米国株式の比率が高い商品を複数持つと、結果として一つの市場に集中することになります。

「5本持っているから分散できている」——そうとは限りません。中身を見ると、同じ市場に集中していることがよくあります。

重複しやすい組み合わせ

  • 全世界株式+米国株式(S&P500など)——全世界株式の6割前後は米国株式です。両方持つと、米国への集中度が高まります
  • 先進国株式+米国株式——同様に重複します
  • 国内株式(TOPIX連動)+国内株式(日経平均連動)——投資対象が大きく重なります
  • 複数のバランス型——それぞれの中身を合算しないと、実際の配分が分かりません

合算して見る方法

各銘柄の評価額に、その銘柄の資産クラス比率を掛けて合計します。たとえば次のようになります。

銘柄 評価額 国内株式 先進国株式 債券
全世界株式 400万円 約20万円 約380万円 0円
米国株式 300万円 0円 300万円 0円
バランス型 300万円 75万円 75万円 150万円
合計 1,000万円 95万円 755万円 150万円

※各銘柄の内訳は説明のための概算です。

この例では、先進国株式(実質的には米国中心)が75%を占めています。3本持っていても、実態としては一つの市場への集中です。50代で取り崩しが近づいている場合、この比率が適切かどうかは考えどころになります。

視点③|分配金の性質を確認する

分配金の一部が元本の払い戻しにあたる場合があります。手元に入る金額だけでなく、基準価額と保有口数の推移を見ることで、資産全体がどう動いているかが分かります。

毎月や隔月で分配金が入る商品を持っている方は、この視点をご確認ください。

分配金の二つの性質

種類 内容 税の扱い
普通分配金 運用によって得られた利益から支払われる部分 課税対象(約20%)
元本払戻金(特別分配金) 実質的に元本の払い戻しにあたる部分 非課税(利益ではないため)

「非課税なら有利では」と受け取られることがありますが、利益が出ていないから課税されないというのが実際のところです。元本払戻金が支払われると、その分だけ個別元本(取得価額)が下がります。

確認する方法

  • 取引報告書に、普通分配金と元本払戻金の内訳が記載されています
  • 基準価額の推移を見ます。分配金を出しながら基準価額が下がり続けている場合、元本を取り崩している可能性があります
  • 評価額の合計と、受け取った分配金の累計を足して、投資した金額と比べます

📌 判断の目安
「評価額+受け取った分配金の累計」が「投資した金額」を上回っていれば、全体としては増えています。下回っていれば、分配金は元本の取り崩しが中心だったことになります。

取り崩しの手段として毎月分配型を使うこと自体は、選択肢の一つです。ただしそれが取り崩しであると理解したうえで使うのと、運用益だと思って受け取るのとでは、資産計画の立て方が変わります。

視点④〜⑥|規模・運用方針・口座の置き場所

純資産総額が小さい商品は繰上償還の可能性があります。運用方針が当初の説明と変わっていないか、そして課税口座かNISA口座かという置き場所も、点検の対象になります。

視点④:純資産総額が小さくないか

純資産総額(その投資信託に集まっている資金の総額)が小さいと、運用が続けられなくなり繰上償還されることがあります。償還されると、その時点の基準価額で強制的に現金化されます。

  • 目安として、純資産総額が30億円を下回り、かつ減少傾向にある場合は注意が必要です
  • 目論見書に「繰上償還の条件」が記載されています(受益権口数が一定数を下回った場合など)

視点⑤:運用方針は変わっていないか

運用報告書には、その期間の運用状況と今後の方針が書かれています。とくに運用者が銘柄を選ぶタイプの商品では、当初の説明と実際の運用内容がずれていないかを確認します。ファンドマネージャーの交代や、運用方針の変更が記載されていることもあります。

視点⑥:どの口座に置いているか

口座 性質 置き場所として考えること
NISA口座 売却益・分配金が非課税 値上がりが期待される資産を置く考え方があります
課税口座 売却益・分配金に約20%課税 損益通算や繰越控除が使えます
iDeCo・企業型DC 運用益が非課税。原則60歳まで引き出せない 受け取り方によって税の扱いが変わります

⚠️ 同じ銘柄でも、置いている口座によって取り崩すときの手取りが変わります。取り崩しの順番を考えるときは、口座ごとに整理しておくことをお勧めします。税務の詳細は税理士にご確認ください。

入れ替えるかどうかの判断|費用と課税を織り込む

入れ替えには売却時の課税と購入時の費用が伴います。信託報酬の差が小さい場合、乗り換え費用のほうが大きくなることもあります。数年かけて回収できるかで判断します。

点検の結果、入れ替えたほうがよいと考えたとします。ただし、入れ替えには費用がかかります。

入れ替えに伴うもの

項目 内容
売却時の課税 課税口座で含み益がある場合、利益に対して約20.315%が課税されます
信託財産留保額 売却時に差し引かれる商品があります(0〜0.3%程度)
購入時手数料 乗り換え先にかかる場合があります(0〜3%程度)

回収できるかを確かめる
入れ替えの費用合計 ÷(現在の信託報酬 − 乗り換え先の信託報酬)× 評価額 = 回収に必要な年数

例:評価額500万円、含み益100万円、信託報酬が年1.5%から0.2%へ
費用:売却時の課税 約20万円
年間の削減額:500万円 ×(1.5% − 0.2%)= 約6.5万円
回収年数:20万円 ÷ 6.5万円 ≒ 約3年

この例なら、3年以上保有を続ける前提であれば入れ替える意味があります。いっぽう信託報酬の差が年0.1%程度であれば、回収に長い年数がかかり、入れ替えないという判断も成り立ちます。

入れ替えずに済ませる方法

  • 新規の積立だけを変える。既存の保有分はそのままにし、これから積み立てる分を別の商品にします。課税が生じません
  • 複数年に分けて売却する。課税される利益を年ごとに分散させます
  • NISA口座の分から先に整理する。NISA口座での売却益は非課税のため、課税の影響がありません

50代は、これから積み立てる期間より、すでに持っている資産のほうが大きくなる時期です。だからこそ、保有分をどう扱うかが結果に効いてきます。

点検の手順まとめ|年1回、1時間で

投資信託の点検は年1回で十分です。一覧を作り、6つの視点で確認し、入れ替えの要否を判断する。この流れなら1時間ほどで終わります。

最後に、手順を通しでまとめます。

進め方

  1. 一覧を作る(20分)——銘柄名・評価額・取得金額・信託報酬・投資対象・口座の6項目
  2. 信託報酬を比べる(10分)——同じ投資対象の商品と比べて、極端に高いものがないか
  3. 中身を合算する(15分)——資産クラスごとの実際の比率を出す
  4. 分配金を確認する(5分)——元本払戻金の割合。評価額+分配金累計と投資額を比べる
  5. 規模と方針を確認する(5分)——純資産総額の推移、運用報告書の記載
  6. 入れ替えの要否を判断する(5分)——回収年数を出して比べる

📌 点検する時期
毎年同じ月に行うと習慣になります。運用報告書が届く時期や、ご自身の誕生月に合わせる方が多くいらっしゃいます。
なお、相場が大きく下がっている最中は避けたほうが無難です。判断が値動きに引っぱられやすくなります。

ご自身で判断しにくいとき

目論見書の読み方、資産クラスの合算、入れ替えの費用計算——このあたりは、はじめてだと時間がかかります。FPisでは、お持ちの取引報告書を見ながら一緒に一覧を作り、点検を進めるご相談を承っています。独立系のFP事務所として、特定の商品をお勧めする立場にはありません。

石田は35年の実務のなかで、「よく分からないまま持ち続けている」というご相談を数多くうかがってきました。中身が分かるだけで、不安の大半は形を変えます。点検は、そのための作業です。

本記事は特定の金融商品の取得・処分を勧めるものではありません。税務の取扱いについては税理士へのご相談をお勧めします。

よくあるご質問(FAQ)

投資信託の点検について、ご相談の場でよくいただくご質問をまとめました。

投資信託は、どのくらいの頻度で点検すればよいですか?
年1回で十分です。運用報告書が届く時期やご自身の誕生月に合わせると習慣になります。相場が大きく下がっている最中は、判断が値動きに引っぱられやすいため避けたほうが無難です。
信託報酬は、どこで確認できますか?
目論見書、運用報告書、証券会社の商品ページに年率で記載されています。同じ投資対象の他の商品と並べて比べてみてください。
何本くらい持つのが適切ですか?
本数そのものより、合算した資産クラスの比率が適切かどうかが大切です。1〜3本で目標の配分を作れることも多く、本数が多いほど分散されているわけではありません。
毎月分配型は持ち続けてよいですか?
分配金のうち元本払戻金の割合を確認してください。取り崩しの手段として理解したうえで使うのであれば、選択肢の一つです。運用益だと考えている場合は、資産全体の推移をご確認ください。
純資産総額が小さいと、何が問題ですか?
繰上償還される可能性があります。償還されると、その時点の基準価額で強制的に現金化されます。30億円を下回り、かつ減少傾向にある場合は注意が必要です。
入れ替えると税金がかかりますか?
課税口座で含み益がある場合、売却益に約20.315%が課税されます。NISA口座での売却益は非課税です。
入れ替えの費用は、どのくらいで回収できますか?
入れ替え費用を、信託報酬の年間削減額で割ると回収年数が出ます。信託報酬の差が年1%以上あれば数年で回収できることが多く、0.1%程度であれば長くかかります。
保有分はそのままで、積立だけ変えられますか?
できます。既存の保有分を売却せずに新規の積立先だけを変えれば、課税が生じません。含み益が大きい場合に選ばれることがあります。
複数の金融機関に口座があります。まとめたほうがよいですか?
管理のしやすさという点では利点があります。ただし移管には手続きと時間がかかり、商品によっては移管できない場合もあります。まず一覧にして全体を把握することから始めてください。
自分では判断できません。相談できますか?
お持ちの取引報告書をご持参いただければ、一緒に一覧を作るところから承っています。FPisは独立系のFP事務所で、特定の商品をお勧めする立場にはありません。初回90分の相談は無料です。

東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由

FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、お客様のお金の課題に向き合ってきました。保有されている投資信託の点検も、取引報告書を拝見しながらご一緒します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。ライフプラン・保険・資産運用・相続のご相談に対応しています。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。

対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)

▶ 日経BP(日経ビジネス Human Capital)に取材掲載

「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」

石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。

とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。

2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。

📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)

FPisが提供できる5つの強み

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FP事務所FPisでは、初回90分の相談を無料で承っています。お一人おひとりの状況をうかがったうえで、次にとる順番を一緒に整理します。対面・オンライン・LINE・電話のいずれでもご相談いただけます。

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