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生命保険を活かした相続対策|非課税枠と受取人の選び方

生命保険を活かした相続対策|非課税枠と受取人の選び方

「まとまった預貯金をそのまま残すと、相続税が心配」——そんな不安をお持ちの方にとって、生命保険は心強い選択肢です。死亡保険金には預貯金にはない非課税枠があり、さらに受取人を誰にするかで、家族が納める相続税の合計が数十万円単位で変わることがあります。この記事では、非課税枠の基本から受取人選びの考え方まで、具体的な数字で分かりやすく整理します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP1級FP技能士相続100世帯超サポート

📌 この記事の要点

  1. 死亡保険金には「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠があり、同額の預貯金より相続税で有利になりやすい。
  2. 受取人が相続人以外(孫や兄弟など)だと、この非課税枠は使えない。
  3. 配偶者は「配偶者の税額軽減」で元々1億6,000万円まで非課税のため、非課税枠を配偶者に使うと効果が薄れやすい。
  4. 試算では、受取人を配偶者から子どもに変えるだけで家族全体の相続税が約189万円軽くなるケースもある。
  5. 契約者・被保険者・受取人の組み合わせで、かかる税金が相続税・所得税・贈与税に変わる点に注意。
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生命保険が相続対策になる理由|死亡保険金の非課税枠とは

被相続人が保険料を負担していた死亡保険金は「みなし相続財産」として相続税の対象ですが、相続人が受け取る場合は「500万円×法定相続人の数」までが非課税です。同額の預貯金にはこの枠がないため、現金を保険に換えるだけで課税対象を圧縮できます(国税庁No.4114)。

生命保険が相続対策として使われる大きな理由は、死亡保険金に預貯金にはない非課税枠があることです。被相続人(亡くなった方)が保険料を負担していた死亡保険金は、税法上「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。ただし、受け取ったのが相続人であれば、一定額までは相続税がかかりません。

たとえば1,000万円を預貯金のまま残すと全額が相続財産に含まれますが、同じ1,000万円を死亡保険金として残せば、非課税枠の範囲内なら相続税の課税対象から外れます。「現金の置き場所を預金から保険に移すだけ」で、課税対象を小さくできるわけです。

加えて、死亡保険金は受取人固有の財産として、遺産分割協議を経ずに受取人へ支払われます。納税資金や当面の生活費をすぐに用意できる点も、相続対策として評価される理由です。

非課税枠「500万円×法定相続人の数」の計算方法

非課税限度額は「500万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人が配偶者と子2人の計3人なら1,500万円まで非課税。相続放棄した人も人数に含めて数えますが、受取人が相続人以外の場合は非課税枠が使えません(国税庁No.4114)。

非課税限度額の計算式はシンプルです。

死亡保険金の非課税限度額 = 500万円 × 法定相続人の数

法定相続人が「配偶者+子ども2人」の3人であれば、非課税枠は 500万円 × 3人 = 1,500万円。受け取った死亡保険金の合計がこの範囲内なら、その分は相続税の課税対象になりません。

法定相続人の数 非課税限度額
1人 500万円
2人 1,000万円
3人 1,500万円
4人 2,000万円

注意したいのは、この枠が使えるのは受取人が相続人の場合に限られる点です。孫や兄弟姉妹など相続人以外の人が受取人だと、その受取分に非課税枠は適用されません。相続放棄をした人がいても、法定相続人の「数」自体は放棄がなかったものとして数えます(国税庁No.4114)。

受取人は誰にすべきか|配偶者より子どもが有利になるケース

配偶者には「配偶者の税額軽減」があり、取得額1億6,000万円か法定相続分までは相続税がかかりません。そのため非課税枠を配偶者に使っても効果が重なりにくく、課税される子どもを受取人にした方が枠を活かせるケースがあります(国税庁No.4158)。

受取人選びで見落とされがちなのが、配偶者にはもともと強力な税優遇があるという点です。配偶者が相続で取得した財産は「配偶者の税額軽減」により、1億6,000万円、または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額まで相続税がかかりません(国税庁No.4158)。

つまり配偶者は、多くのケースで相続税がほとんど、あるいは全くかからない立場にあります。そこへ死亡保険金の非課税枠まで重ねても、「非課税の上に非課税を重ねる」形になり、枠の節税メリットが十分に活きないことがあります。

一方、子どもには配偶者のような大きな軽減措置がありません。子どもが受け取る財産は相続税の対象になりやすいため、非課税枠を子どもの受取分に充てた方が、実際の税負担を直接減らせるケースがあります。次のセクションで、この違いを具体的な数字で確かめます。

⚠️ ここで示すのは一般的な考え方です。実際は財産構成・相続人の状況・二次相続(残された配偶者が亡くなるときの相続)まで含めた総合判断が必要です。配偶者に保険金を渡す方が望ましいケースもあります。

数値で検証|受取人を配偶者にした場合と子にした場合の相続税

相続人が配偶者と子2人、総遺産2億円(うち生命保険1,500万円)、配偶者1億円・子5,000万円ずつ取得という同じ前提で試算すると、受取人を配偶者にした場合の家族全体の相続税は約1,257万円、子にした場合は約1,068万円で、差は約189万円になりました。

次の前提で、受取人だけを変えて家族全体の相続税を比べます。制度・税率は国税庁の速算表等に基づき、当事務所が試算した概算です。

共通の前提
・相続人:配偶者+子ども2人(法定相続人3人)
・総遺産:2億円(うち生命保険1,500万円=非課税枠1,500万円ちょうど)
・遺産の取り分:配偶者1億円/子ども5,000万円ずつ(法定相続分どおり)
・基礎控除:3,000万円+600万円×3人=4,800万円

まず、相続税の総額は「課税遺産総額を法定相続分で分けて速算表を当てはめる」方法で計算します。保険金1,500万円は非課税枠内で課税対象から外れるため、課税価格の合計は1億8,500万円、課税遺産総額は1億3,700万円。ここから計算した相続税の総額は2,325万円で、これは受取人が誰でも同じです。

違いが出るのは、この総額を実際の取得割合で按分し、配偶者の税額軽減を適用した後です。

比較項目 ケースA:受取人=配偶者 ケースB:受取人=子ども
配偶者の課税価格 8,500万円
(1億円のうち保険1,500万円が非課税)
1億円
(全額が課税対象)
子ども1人の課税価格 5,000万円 4,250万円
(5,000万円のうち保険750万円が非課税)
配偶者の相続税 0円(税額軽減で全額控除) 0円(税額軽減で全額控除)
子ども2人の相続税 合計 約1,257万円 約1,068万円
家族全体の相続税 約1,257万円 約1,068万円

💡 差額 約189万円。受取人を配偶者から子どもに変えるだけで、この前提では家族全体の相続税が約189万円軽くなりました。理由は、配偶者はもともと税額軽減で相続税がかからないため、非課税枠を配偶者に使うと「非課税が重複」して効果が薄れる一方、課税される子どもに枠を充てると税負担を直接減らせるからです。

ただし金額は前提しだいで変わります。総遺産が基礎控除以下で相続税がかからない場合や、二次相続まで見据えて配偶者にまとまった資産を残したい場合など、結論が逆になることもあります。具体的な有利・不利は、税理士や当事務所のようなFPに個別試算を依頼することをお勧めします。

契約形態で税金が変わる|相続対策で失敗しない4つの注意点

生命保険は「契約者・被保険者・受取人」の組み合わせで、かかる税金が相続税・所得税・贈与税に変わります。相続税の非課税枠を使うには、被相続人が契約者かつ被保険者で、受取人が相続人という形が基本です。契約形態の確認が対策の第一歩です。

生命保険を相続対策に使うときは、次の4点に注意してください。

注意点1:契約形態で「税金の種類」が変わる

誰が保険料を払い、誰にかけ、誰が受け取るかで、かかる税金が変わります。相続税の非課税枠を活かせるのは、一般に「契約者=被保険者=被相続人」で受取人が相続人のケースです。

契約者(保険料負担) 被保険者 受取人 かかる税金
妻・子 相続税(非課税枠あり)
所得税(一時所得)
贈与税

同じ「夫の死亡で受け取る保険金」でも、契約形態によっては非課税枠が使えず、贈与税など負担の重い税金になることがあります。

注意点2:受取人が相続人以外だと非課税枠が使えない

孫や兄弟姉妹を受取人にすると、非課税枠が適用されないうえ、相続税額が2割加算される場合もあります。「かわいい孫に」という思いが、かえって税負担を増やすことがあります。

注意点3:受取人の指定漏れ・古いままに注意

離婚・再婚などのあとも受取人が昔のままになっているケースは珍しくありません。定期的な見直しをお勧めします。

注意点4:非課税枠を超える部分は課税対象

保険金が非課税枠を超えた部分は、通常どおり相続税の対象です。枠に合わせて保険金額を設計すると無駄がありません。

生命保険の相続対策が向いているケース|事例で解説

預貯金が多く相続税が見込まれる方、納税資金や分割しにくい不動産がある方、特定の人に確実にお金を残したい方は、生命保険の活用が向きやすいケースです。契約形態と受取人を整えることで、非課税枠と円滑な受け渡しの両方を狙えます。

実際のご相談で多い、生命保険が役立ちやすいケースを匿名の事例で紹介します。

事例A:預貯金が多く相続税が心配なAさん(70代)

まとまった預貯金をお持ちのAさん。一部を一時払いの終身保険に組み替え、非課税枠の範囲で保険金を設計。課税対象を圧縮しつつ、受取人を子どもに指定して枠を活かす形に整えました。

事例B:自宅以外に財産が少ないBさん(60代)

主な財産が自宅不動産のBさん。分けにくい不動産だけでは相続人同士の話し合いが難航しがちです。生命保険で「代償分割(不動産をもらう人が、他の相続人へお金を払う)」の原資を用意し、円満な分割に備えました。

事例C:特定の人に確実に残したいCさん(60代)

お世話になった特定の家族に確実にお金を残したいCさん。死亡保険金は受取人固有の財産として指定した人に渡るため、遺言と組み合わせて意向を反映しました。

よくある質問(FAQ)

死亡保険金の非課税枠はいくらですか?
「500万円×法定相続人の数」までが非課税です。相続人が3人なら1,500万円まで相続税がかかりません。
受取人を子どもにすると本当に節税になりますか?
なるケースがあります。配偶者は税額軽減で元々非課税になりやすいため、課税される子どもに非課税枠を充てた方が税負担を減らせる場合があります。ただし前提により結論は変わります。
相続放棄した人も法定相続人の数に含めますか?
非課税限度額の計算では、放棄がなかったものとして人数に含めて数えます。ただし放棄した人自身が受け取る保険金には非課税枠は使えません。
孫を受取人にしても非課税枠は使えますか?
原則使えません。孫は多くの場合相続人ではないため非課税枠の対象外で、相続税額が2割加算されることもあります。
預貯金を保険に換えると本当に有利ですか?
非課税枠の分だけ課税対象を減らせる可能性があります。ただし保険商品の内容や健康状態による加入可否もあるため、目的に合うか確認が必要です。
契約形態で税金が変わるとはどういう意味ですか?
契約者・被保険者・受取人の組み合わせで、相続税・所得税・贈与税のいずれになるかが変わります。非課税枠を使うには契約形態の確認が重要です。
非課税枠を超えた保険金はどうなりますか?
超えた部分は通常どおり相続税の課税対象です。枠に合わせて保険金額を設計すると無駄が出にくくなります。
二次相続まで考えると受取人はどう選べばよいですか?
残された配偶者が亡くなる二次相続では配偶者の税額軽減が使えません。一次・二次を通した総額で考える必要があり、個別試算をお勧めします。
すでに加入中の保険でも見直しできますか?
できます。受取人の変更や契約形態の確認で改善できる場合があります。証券を用意のうえご相談ください。
相談は誰にすればよいですか?
税額の判断は税理士、保険設計や全体のライフプランはFPが適しています。当事務所は税理士とも連携しワンストップで対応します。

東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由

FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、相続コンサルタントとして100世帯超のご遺族の相続手続きに向き合ってきました。FP相談・保険・証券をワンストップで提供します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。

対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)

日経BP(日経ビジネス Human Capital)に取材掲載

「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」

石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。

とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。

2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。

📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)

FPisが提供できる5つの強み

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📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
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生命保険を使った相続対策は、ご家族の状況によって最適な形が変わります。
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この記事を書いた人

石田 健雄のアバター 石田 健雄 FP事務所FPis(エフピス)代表

ファイナンシャルプランナー(CFP/1級FP技能士)の石田健雄です。

第一生命に35年間勤務した後、FP事務所を開業しました。第一生命では本社所属のFPとして、数多くのお客様に寄り添って資産運用や相続などのお困りごとを解決してきました。そのたびに頂いた感謝の言葉が忘れられず、自らFP事務所を開業するに至りました。

アドバイスに終わらず、お客さまの希望する未来の実現まで伴走しながらサポートすることをモットーとしています。詳しくは、下記リンクからホームページをご覧ください。

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