相続税の申告は、相続が起きたすべての家庭で必要になるわけではありません。けれど、いざ「申告が必要」となったとき、多くの方が「どの税理士に頼めばいいのか」「自分は何を準備すればいいのか」「申告のあと税務調査は来るのか」と不安を抱えます。この記事では、税理士選びのポイント、申告者として対応すること、そして近年AI・データ分析で高度化する税務調査の実態まで、100世帯を超えるご遺族の相続をお手伝いしてきた渋谷の独立系FPが整理します。
📌 この記事の要点
- 相続税の申告が必要なのは、財産が基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合。亡くなった方のうち課税対象は全国で約1割。期限は10か月以内。
- 税理士選びの軸は「分かりやすく対話できるか」「(事務所ではなく)担当税理士個人の相続税申告の実績」「報酬が相場の範囲か(過度な安さは求めない)」。
- 申告者(相続人)も、書類集め・財産の洗い出し・遺産分割・納税資金の準備など、やるべきことが多い。早めの着手が肝心。
- 相続税は税務調査が入りやすい税目。国税庁の公表では、実地調査の約8割で申告漏れ等が指摘されている。
- 近年はAI・データ分析の活用が進み、2026年秋には国税庁の次世代システム「KSK2」も稼働予定。正確な申告の重要性が増している。
相続税の申告が必要なのはどんな人?
相続税の申告が必要なのは、亡くなった方の財産が基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を超える場合です。亡くなった方のうち課税対象になるのは全国で約1割。申告と納税の期限は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
まず押さえたいのは、相続が起きたからといって、すべての家庭で相続税の申告が必要になるわけではない、という点です。財産の合計が基礎控除の範囲内であれば、申告も納税も不要です。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
(例:法定相続人が3人なら4,800万円までは相続税がかかりません)
国税庁の統計では、亡くなった方のうち相続税の課税対象となるのはおおむね1割程度です。逆に言えば、約9割の家庭では相続税の申告は不要ということになります。ただし、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例を使って税額がゼロになる場合は、特例の適用を受けるために申告そのものは必要です。判断に迷う場合は、税理士に確認しましょう。なお、申告・納税の期限は相続の開始を知った日の翌日から10か月以内です。
【相続サポートの現場から】税理士選びで私が大切にしてきた3つの基準
代表の石田は第一生命時代、100世帯を超えるご遺族の相続手続きをサポートしてきました。そのうち相続税の申告が必要だったのは1割弱。その際は、信頼できる税理士事務所におつなぎしてきました。税理士を選ぶとき大切にしてきたのは「分かりやすい対話」「担当税理士個人の申告実績」「報酬が相場の範囲か」の3点です。
「相続税の申告が必要になるのは、私がお手伝いしたご遺族のうち1割弱でした。だからこそ、その数少ない場面で『誰に頼むか』はとても重要だったのです」
第一生命で100世帯を超えるご遺族の相続をお手伝いしてきましたが、相続税の申告まで必要になったのは全体の1割弱でした。その場合は、私が信頼する税理士事務所に申告をお願いしてきました。私なりに大切にしてきた「税理士を選ぶ基準」は、次の3つです。
基準1:専門用語を使わず、分かりやすく対話できる
相続税の申告は、ご遺族にとって一生に何度もない経験です。難しい言葉を並べるのではなく、「なぜこの評価になるのか」「この特例を使うとどうなるのか」を、お客様の言葉で噛み砕いて説明してくれる方を選んできました。
基準2:担当する税理士「個人」の相続税申告の実績が豊富
ここが見落とされがちですが、重要なのは「事務所の実績」ではなく「実際に担当する税理士個人の実績」です。相続税は所得税や法人税とは別の専門性が必要で、相続税申告の経験が豊富な税理士かどうかで、評価や特例の使い方に差が出ます。
基準3:報酬が相場の範囲にある(過度な安さは求めない)
税理士報酬が平均より極端に高いのは考えものですが、私は過度な安さも求めませんでした。安さだけで選ぶと、必要な財産調査や特例検討が省かれ、かえって税額が増えたり、後の税務調査につながったりすることがあるからです。相場の範囲で、仕事の中身に見合う報酬かを見ていました。
この3つに加えて、「書面添付制度」への対応姿勢や、相談のレスポンスの早さなども見てきました。次の章で、もう少し具体的なチェックポイントを整理します。
失敗しない税理士の選び方(チェックポイント)
税理士を選ぶときは、担当者個人の相続税申告の実績、報酬体系の明確さ、書面添付制度への対応、コミュニケーションの相性を確認しましょう。相続税は専門性が分かれる分野なので、「相続税に強い税理士」を選ぶことが、適正な申告と安心につながります。
- 「担当者」の相続税申告の実績を確認:事務所全体ではなく、自分を担当する税理士の経験年数・件数を聞く。
- 報酬体系が明確か:遺産総額の何%、加算報酬の有無(土地の数・相続人数・非上場株式など)を事前に確認。見積りを書面でもらう。
- 書面添付制度に対応しているか:税理士が申告書に「どのように検討したか」を記した書面を添付する制度。税務調査の前に税理士への意見聴取が行われ、調査に移行しにくくなる効果が期待できる。
- 特例の提案力:配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例など、使える制度をきちんと検討・説明してくれるか。
- レスポンスと相性:質問への返答が早く、分かりやすいか。10か月という限られた期間、伴走できる相手か。
「相続税の申告が格安」をうたう広告もありますが、料金だけで判断するのは避けましょう。財産調査や特例検討が不十分だと、払い過ぎや、後日の税務調査・追徴につながることがあります。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。
申告者(相続人)が対応すること
相続税の申告は税理士に依頼しても、相続人自身が対応すべきことが多くあります。戸籍・残高証明などの書類集め、財産(プラス・マイナス)の洗い出し、遺産分割協議、納税資金の準備などです。10か月の期限から逆算し、早めに動き始めることが大切です。
税理士に依頼する場合でも、相続人が用意・判断することは少なくありません。主なものは次のとおりです。
| 対応すること | ポイント |
|---|---|
| 必要書類の収集 | 戸籍謄本(出生~死亡)、住民票、印鑑証明、預貯金の残高証明、不動産の登記事項証明・固定資産評価証明、証券・保険の資料など |
| 財産の洗い出し | 預貯金・不動産・有価証券・保険・貴金属などプラスの財産と、借入金・未払金などマイナスの財産を漏れなく把握 |
| 遺産分割協議 | 相続人全員で「誰が何を相続するか」を話し合い、遺産分割協議書にまとめる(特例適用の前提になる) |
| 納税資金の準備 | 相続税は原則「現金一括」。納税資金が足りない場合は延納・物納や資産の売却も検討 |
| 期限の管理 | 申告・納税は10か月以内。書類収集や分割協議に時間がかかるため、早めの着手が重要 |
とくに遺産分割協議がまとまらないと、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例が使えず、いったん高い税額で申告することになりかねません。書類集めと並行して、早めに話し合いを始めることをお勧めします。
相続税申告のスケジュール(10か月の流れ)
相続発生から10か月の間に、相続放棄の判断(3か月)、準確定申告(4か月)、財産評価・遺産分割、相続税の申告・納税(10か月)と、期限のある手続きが連続します。逆算してスケジュールを組むことが、ミスと払い過ぎを防ぐ鍵です。
| 時期の目安 | 主な手続き |
|---|---|
| 〜3か月 | 相続人・財産の確定、相続放棄・限定承認の判断、税理士の選定 |
| 〜4か月 | 故人の所得税の準確定申告 |
| 4〜8か月 | 財産評価、遺産分割協議、特例の検討 |
| 〜10か月 | 相続税の申告書作成・提出、納税 |
申告後の「税務調査」の実態
相続税は、他の税目に比べて税務調査が入りやすいといわれます。国税庁の公表(令和5事務年度)では、相続税の実地調査は約8,556件で、そのうち約84%にあたる7,200件で申告漏れ等が指摘され、追徴税額は合計735億円にのぼりました。正確な申告が、何よりの調査対策になります。
相続税の申告を終えたあと、気になるのが「税務調査」です。相続税は申告に専門性が高く、預貯金や不動産など金額の大きい財産が対象になるため、他の税目より調査が入りやすい傾向があります。
| 項目(令和5事務年度・国税庁) | 件数・金額 |
|---|---|
| 相続税の実地調査 | 約8,556件 |
| うち申告漏れ等の指摘 | 約7,200件(非違割合 約84%) |
| 追徴税額(合計) | 約735億円 |
| 無申告事案 | 690件(追徴約123億円) |
| 簡易な接触(書面・電話等) | 18,781件 |
とくに指摘されやすいのが、名義預金(家族名義でも実質は故人の財産)や、生前に引き出した現金、海外資産、申告から漏れた財産です。「うっかり」でも申告漏れとされれば、過少申告加算税や延滞税、悪質な場合は重加算税が加わります。だからこそ、財産を漏れなく把握し、正確に申告することが最大の調査対策になります。書面添付制度の活用も、調査リスクを下げる一助になります。
AI・データ分析で高度化する税務調査
近年、国税庁はAI・データ分析(BA=ビジネス・アナリティクスツール)を活用し、申告漏れの可能性が高い対象を効率的に抽出しています。2026年秋には次世代システム「KSK2」の稼働も予定され、各種の法定調書や預貯金照会のデジタル化と相まって、申告内容の分析は年々高度化しています。
「昔のように税務署が一件ずつ手作業で調べる」という時代ではなくなってきています。国税庁は統計学や機械学習を用いた分析ツールで、過去の申告漏れのパターンと照らし合わせ、リスクの高い申告を絞り込んでいるとされています。
- データ分析の高度化:BAツールにより、申告漏れの可能性が高い納税者を効率的に抽出。
- 次世代システム「KSK2」:国税の基幹システムが2026年秋に本格稼働予定。書面のデジタル化や整合性チェックの自動化が進む。
- 情報の集約:金融機関への預貯金照会のデジタル化、国外送金・財産債務調書など、税務当局が把握できる情報は年々増えている。
こうした流れは「ごまかしが効きにくくなっている」ことを意味します。裏を返せば、正直に・正確に申告することが、もっとも合理的で安心な選択だということです。相続税に精通した税理士とともに、漏れのない申告を行うことが大切です。
FP(FPis)と税理士の役割分担
相続税の申告書を作成できるのは税理士です。FPは、申告が必要かどうかの見立て、信頼できる税理士への橋渡し、必要書類の段取り、納税資金や相続後のライフプラン設計といった「全体の伴走」を担えます。専門家を適切に組み合わせることが、ご遺族の負担を軽くします。
相続税の申告そのものは、税理士の専門業務です。FPisは税理士に代わって申告書を作成することはできませんが、次のような形でご遺族を支えます。
- 申告要否の見立て:財産の概算から「申告が必要そうか」を early に把握し、早めの準備につなげます。
- 税理士への橋渡し:相続税申告の実績が豊富で、分かりやすく対話できる税理士をご紹介します。
- 手続き全体の段取り:書類集めやスケジュール管理を、チェックリストで一つずつ伴走します。
- 納税資金と相続後の設計:納税資金の準備、遺されたご家族のライフプラン、二次相続への備えまで見据えます。
「誰に何を頼めばいいか分からない」——その整理こそ、独立系FPの役割です。相続手続きの全体像は、関連記事もあわせてご覧ください。
相続税申告に関するよくある質問
相続税の申告は誰にでも必要ですか?
相続税の申告期限はいつまでですか?
税理士はどう選べばよいですか?
税理士報酬の相場はどれくらいですか?
自分で相続税の申告はできますか?
税務調査はどれくらいの確率で来ますか?
税務調査で指摘されやすいのはどんな財産ですか?
書面添付制度とは何ですか?
AIで税務調査は厳しくなっていますか?
FPに相談するメリットは何ですか?
「相続税の申告が必要かも」——まずは見立てと段取りから、一緒に整理しませんか?
FPisは、申告要否の見立てから信頼できる税理士の紹介、書類・スケジュールの段取り、相続後のライフプランまで伴走します。初回相談は90分無料です。
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のご遺族の相続をはじめ、お客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。相続税申告の要否の見立てから税理士の紹介、相続後のライフプランまで、ワンストップでサポートします。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のご遺族の相続サポートをはじめ、ライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
- ワンストップ対応:FP相談・証券・保険を一貫サポート
- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
- 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・宅地建物取引士との連携体制
- 初回相談90分無料:伴走サポート1年間も無料
📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。
出典・参考(公的機関)
本記事の制度・統計は、国税庁が公表する情報に基づいています。制度や数値は改正・更新される場合があり、個別の税務判断は税理士へ、最新の統計は国税庁の公表資料でご確認ください。
- 国税庁「令和5事務年度における相続税の調査等の状況」 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_chosa/
- 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4205.htm
- 国税庁「No.4152 相続税の計算(基礎控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の税理士・サービスへの勧誘や、個別の税務助言を行うものではありません。相続税の申告要否・財産評価・特例適用・納税方法など個別の税務判断については、税理士へのご相談をお勧めします。統計・制度は国税庁の公表に基づく概要であり、改正や年度により変わる場合があります。FP(ファイナンシャル・プランナー)は税理士法上の税務代理・税務書類の作成・個別具体的な税務相談を行うことはできません。

