相続税の節税対策|「税金を減らす」3つの方法と、生命保険で家族の手取りを増やす第4の発想を渋谷の独立系FPが実例で解説
「相続税を少しでも減らしたい」——そう考えて生前贈与を検討される方が増えています。節税は確かに有効です。けれど、その本当の目的は「のこされるご家族の手取りを増やすこと」ではないでしょうか。実は、手取りを増やす道は節税だけではありません。この記事では、相続税を減らす3つの方法に加えて、もう一つの発想を、実際の相談事例とともにお伝えします。
📌 この記事の要点
- 相続税は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除を超えた場合にかかる。亡くなった方のうち課税対象は全国で約1割(令和5年分9.9%)、都市部ではさらに高い傾向。
- 相続税を減らす方法は「①財産を減らす ②評価を下げる ③相続人を増やす」の3つ。生前贈与は①の代表例。
- 2024年1月以降の贈与は、相続開始前「7年以内」が相続財産に加算される(旧3年から延長)。生前贈与の節税効果は以前より見えにくくなった。
- 「税金を減らす」だけが手取りを増やす道ではない。「財産そのものを増やす」第4の発想がある。
- 生命保険には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、保障機能で手取りを増やせる場合がある。実際に生前贈与より保険を選ばれた70代女性の事例を紹介する。
我が家に相続税はかかる?まず基礎控除を確認
相続税は、亡くなった方の財産が「基礎控除」を超えた場合にかかります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」。たとえば法定相続人が3人なら4,800万円までは相続税がかかりません。まずはご自身の財産を洗い出すことが節税対策の出発点です。
相続税の話を始める前に、そもそも「我が家に相続税はかかるのか」を確認しておくことが大切です。相続税には基礎控除があり、財産の合計額がこの範囲内であれば相続税はかかりません。
基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
| 法定相続人 | 1人 | 2人 | 3人 | 4人 | 5人 |
|---|---|---|---|---|---|
| 基礎控除額 | 3,600万円 | 4,200万円 | 4,800万円 | 5,400万円 | 6,000万円 |
国税庁の発表によると、令和5年分(2023年中に亡くなった方)の相続税の課税割合は全国で9.9%。およそ10人に1人が課税対象です。首都圏の都市部では地価が高く財産額も大きくなりやすいため、課税割合はこれを上回る傾向があります。「うちは大丈夫」と思っていた方が、自宅の評価額を加えると基礎控除を超えていた、というケースは少なくありません。
節税対策を考える第一歩は、預貯金・不動産・有価証券・生命保険などをすべて書き出し、財産額を把握することです。基礎控除を超えそうであれば、次の対策を検討していきます。
相続税を減らす3つの方法
相続税額は「相続財産の評価額」と「相続人の人数」で決まります。したがって相続税を減らす方法は、①財産を減らす ②評価を下げる ③相続人を増やす、の3つに整理できます。それぞれに複数の選択肢があり、ご家族の状況や意向に合わせて組み合わせます。
相続税額は、突き詰めると「財産の評価額」と「相続人の人数」で決まります。逆に言えば、相続税を減らす方法もこの2つの要素から導かれ、大きく3つに分類できます。
① 財産を減らす
課税対象となる財産そのものを生前に減らす方法です。具体的には次のような選択肢があります。
- 有意義に使う:旅行・趣味・住宅リフォームなど、ご自身やご家族のために使う
- 生前贈与する:子や孫へ生前に財産を移す(贈与税に留意が必要)
② 評価を下げる
財産の額面は変えずに、相続税を計算するときの「評価額」を下げる方法です。
- 低評価の財産に替える:現金を土地・建物などに替える(不動産は時価より低く評価されることがある)
- 非課税財産に替える:墓・仏壇のほか、生命保険には非課税枠がある
③ 相続人を増やす
基礎控除も生命保険の非課税枠も「法定相続人の数」に連動するため、相続人が増えると控除枠が広がります。養子縁組などが該当しますが、人数に上限があるほか、ご家族の関係性にも関わるため慎重な判断が必要です。
3つの方法はいずれも生前にしか実行できないものが多く、相続が起きてからでは選べる手段が限られます。だからこそ「元気なうちに」検討しておくことが、選択肢を広げる鍵になります。具体的な節税効果や手続きについては、税理士・弁護士へのご相談をお勧めします。
生前贈与で本当に得をするのか?2024年の「7年加算」ルール
2024年1月以降の贈与は、相続開始前「7年以内」のものが相続財産に加算されます(旧ルールは3年)。亡くなる直前の駆け込み贈与は節税効果が薄れました。生前贈与は計画的に、早い時期から行うことが重要になっています。
「財産を減らす」の代表格が生前贈与です。年間110万円までの基礎控除(暦年課税)を使えば、贈与税をかけずに少しずつ財産を移せます。ただし、2024年1月1日からルールが大きく変わった点に注意が必要です。
生前贈与加算が「3年」から「7年」に延長
相続が発生したとき、亡くなる前の一定期間に行われた贈与は、相続財産に加算されて相続税の対象になります。この期間が、2024年1月以降の贈与については従来の「3年以内」から「7年以内」へ段階的に延長されました(延長された4年分については総額100万円の控除あり)。完全に7年へ移行するのは2031年以降です。
つまり、亡くなる直前に慌てて贈与しても、相続財産に戻されてしまい節税にならないケースが増えました。生前贈与で効果を出すには、「早い時期から」「計画的に」進めることが、これまで以上に大切になっています。なお、相続時精算課税制度にも2024年から年110万円の基礎控除が新設され、選択肢は広がっています。両制度の違いを整理すると次のとおりです。
| 項目 | 暦年課税 | 相続時精算課税 |
|---|---|---|
| 年間の基礎控除 | 110万円 | 110万円(2024年新設) |
| 相続財産への加算 | 相続開始前7年以内の贈与を加算 | 年110万円以内の贈与は加算しない |
| 主な向き | 早くから計画的に贈与できる方 | まとまった額を早めに移したい方 |
| 注意点 | 直前の贈与は効果が薄い | 一度選ぶと暦年課税に戻せない |
よくある誤解:「年110万円の贈与はもう使えない」と思われがちですが、暦年課税の110万円基礎控除は廃止されていません。変わったのは、相続開始前に加算される期間が3年から7年へ延びた点です。どちらの制度を選ぶか、具体的な節税額の試算は、税理士へのご相談をお勧めします。
【相続相談の現場から】生前贈与を考えていた70代女性の選択
「生前贈与で相続税を減らしたい」というご相談で、当事務所はいつも一つの問いを投げかけます。「その目的は、のこされるご家族の手取りを増やすことではありませんか?」と。手取りを増やす道は、税金を減らすことだけではありません。ある70代女性は、生前贈与ではなく生命保険を選ばれました。
最近、当事務所には「生前贈与をしたい」というご相談が増えています。税金を減らすうえで生前贈与は確かに有効です。けれど私たちは、ご相談者にこう問いかけます。
「生前贈与の目的は、のこされるご家族の手取りを増やすことではありませんか?」
こうお聞きすると、皆さん深くうなずかれます。そして、手取りを増やすには2つのアプローチがあることをお伝えします。一つは「税金を減らすこと」、もう一つは「のこす財産そのものを増やすこと」です。
ある70代の女性・A様も、生前贈与をご検討されていました。そこで、2つのアプローチを具体的な数字で比べてみました(前提条件のもとでの試算例です)。
アプローチ1:生前贈与で「税金を減らす」
A様の相続税の限界税率(財産が増えたとき最後にかかる税率)は10%でした。仮に10年かけて合計1,000万円を生前贈与した場合、減らせる相続税は次のとおりです。
1,000万円 × 限界税率10% = 節税効果 約100万円
アプローチ2:生命保険で「財産を増やす」
一方、同じ1,000万円を円建ての一時払い終身保険に預けるという選択肢を提示しました。ある終身保険の例では、70歳女性が1,000万円を一時払いすると、保険金額が1.5倍の1,500万円になるケースがあります(金額は商品・年齢・性別・契約時期などにより異なります)。この場合、ご家族が受け取る手取りの増加額は次のように試算できます。
(保険金1,500万円 − 保険料1,000万円)×(1 − 限界税率10%)= 手取りの増加 約450万円(※)
※ 上記は前提条件を置いた試算例です。生命保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠もあり、実際の手取り額はご家族の構成や財産全体の状況によって変わります。
| アプローチ | やること | 家族の手取りへの効果(試算例) |
|---|---|---|
| ① 税金を減らす | 10年で1,000万円を生前贈与 | 約100万円の節税 |
| ② 財産を増やす | 1,000万円を一時払い終身保険へ | 約450万円の手取り増 |
A様はこの比較に納得され、最終的に生前贈与ではなく「保険で増やしてのこす」ことを選ばれました。もちろん、どちらが適しているかは一人ひとり異なります。大切なのは「税金を減らす」という手段にとらわれず、「家族の手取りを増やす」というゴールから逆算して考えることです。
上記は特定の商品の推奨ではなく、考え方をお示しするための試算例です。保険の加入可否・条件は健康状態や年齢などにより異なり、税務上の取り扱いについては税理士へのご相談をお勧めします。
第4の発想:「手取りを増やす」という考え方
相続税を減らす3つの方法に対し、「税引き後の手取り額を増やす」という第4の発想があります。相続税そのものは減りませんが、資産運用や生命保険の保障機能で、のこせる財産を増やすアプローチです。節税と組み合わせることで、家族に残るお金を最大化できます。
相続対策というと「いかに税金を減らすか」に意識が向きがちです。しかし、ご家族の手取りを増やすという観点では、もう一つの道があります。それが「財産そのものを増やす」という第4の発想です。
| 分類 | 方法 | 主な選択肢 |
|---|---|---|
| 税金を減らす | ① 財産を減らす | 有意義に使う/生前贈与 |
| 税金を減らす | ② 評価を下げる | 不動産化/非課税財産化 |
| 税金を減らす | ③ 相続人を増やす | 養子縁組 など |
| 手取りを増やす | ④ 財産を増やす | 資産運用/生命保険の保障機能 |
④は相続税そのものを減らすわけではありません。しかし、株式・投資信託などでの運用や、生命保険の保障機能によって、のこせる財産の総額を増やすことができれば、結果としてご家族の手取りは増えます。①〜③の節税策と④を組み合わせることで、家族に残るお金を大きくすることが可能です。先ほどのA様の事例は、まさにこの④を選ばれたケースでした。
生命保険が相続対策に向く理由(非課税枠と保障機能)
生命保険には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があり、現金で持つより相続税を抑えられます。さらに、保険金は受取人を指定でき、現金ですぐ受け取れるため納税資金や当面の生活費に充てやすいのも利点です。保障機能で財産を増やせる点も、相続対策に向く理由です。
「財産を増やす」手段として生命保険が選ばれるのには、いくつかの理由があります。
1. 非課税枠がある
死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」までの非課税枠があります。たとえば法定相続人が3人なら1,500万円まで非課税。同じ現金を保険に替えるだけで、相続税の対象を減らせます。
2. 保障機能でふやせる
一時払い終身保険などでは、払い込んだ保険料より大きな保険金額が設定されるケースがあります。先のA様の例のように、1,000万円が1,500万円の保険金になれば、その差額がご家族の手取りを押し上げます(金額は商品・契約条件により異なります)。
3. 受取人を指定でき、現金で早く受け取れる
保険金は受取人を指定できるため、「のこしたい人に確実に」届けられます。遺産分割協議を経ずに受け取れるため、相続税の納税資金や当面の生活費としても役立ちます。
生命保険の活用は、健康状態・年齢・家族構成・財産全体のバランスによって最適解が変わります。「相続財産完全防衛額」のように、相続税を保険でまかなう考え方もあります。具体的な税務上の取り扱いは、税理士へのご相談をお勧めします。
相続税の節税対策を始める前に押さえたい3つの注意点
節税対策は「目的を見失わないこと」「早めに始めること」「専門家と進めること」が要点です。税金を減らすこと自体が目的化すると、かえって使えるお金が減ることもあります。家族の手取りを増やすというゴールから逆算し、計画的に取り組むことが大切です。
注意点1:節税が「目的」になっていないか
税金を減らすことばかりに集中すると、本来の目的である「家族の手取りを増やす」「自分らしく使う」を見失いがちです。手段と目的を取り違えないことが何より大切です。
注意点2:対策は早いほど選択肢が広い
生前贈与の7年加算が示すように、相続が近づくほど打てる手は限られます。健康で判断力のあるうちに始めることで、贈与・保険・運用など幅広い選択肢を組み合わせられます。
注意点3:税務・法務は専門家と進める
相続税の計算や不動産評価、養子縁組の効果などは個別性が高く、判断を誤ると思わぬ課税につながることもあります。税理士・弁護士・司法書士などの専門家と連携しながら進めることをお勧めします。
相続税の節税対策に関するよくある質問
相続税はいくらから かかりますか?
相続税がかかる人はどのくらいの割合ですか?
相続税を減らす方法には何がありますか?
生前贈与の「7年加算」とは何ですか?
年間110万円の贈与は廃止されたのですか?
生命保険に相続税の非課税枠はありますか?
なぜ生命保険が相続対策に向くのですか?
「手取りを増やす」とはどういう意味ですか?
節税対策はいつから始めるのがよいですか?
相続税対策は誰に相談すればよいですか?
相続税の節税と「家族の手取り」、両面から一緒に考えませんか?
FPisは、節税対策と資産の増やし方を組み合わせ、ご家族に残るお金を最大化するお手伝いをします。初回相談は90分無料です。
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。相続では「税金を減らす」と「手取りを増やす」の両面から、FP相談・保険・証券をワンストップで提供します。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
- ワンストップ対応:FP相談・証券・保険を一貫サポート
- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
- 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制
- 初回相談90分無料:伴走サポート1年間も無料
📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。
出典・参考(公的機関)
本記事の制度・数値は、国税庁が公表する一次情報に基づいています。最新の取り扱いは改正される場合があるため、実際の判断は各リンク先と税理士・弁護士へのご確認をお勧めします。
- 国税庁「No.4152 相続税の計算(基礎控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4152.htm
- 国税庁「相続税の申告事績の概要(課税割合の出典)」 https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2024/sozoku_shinkoku/
- 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除(生前贈与加算)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm
- 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金(生命保険の非課税枠)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4114.htm
- 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択(年110万円の基礎控除)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4103.htm
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却・契約を勧誘するものではありません。相続税・贈与税の取り扱いや制度は改正される場合があり、個別の税務・法的判断については税理士・弁護士へのご相談をお勧めします。記載の試算は一定の前提に基づくものであり、実際の結果を保証するものではありません。生命保険の加入条件・保障内容は商品や契約者の状況により異なります。

