老後資金はいくら必要?不安を解消する計算法と準備の進め方|東京・渋谷のFPが解説
生命保険文化センターの調査(2022年)によると、老後生活への不安を感じている人は全体の約84%。「老後は2000万円必要と聞いたけど、本当にそんなに必要なの?」「年金だけでは足りないのはわかっているけど、何をどこから始めればいいの?」——そう感じているのは、あなただけではありません。この記事では、老後に必要な資金の正しい計算方法から、年代別の具体的な準備ステップまで、東京・渋谷のFP・石田健雄が順を追って解説します。
📌 この記事の要点
- 老後資金の目安は「2000万円」ではなく、生活費・年金・寿命によって人それぞれ異なる
- 必要額=(月の生活費-月の年金額)×12か月×老後年数 で概算できる
- 夫婦2人・モデル世帯の公的年金受給額は月約23万円(厚労省2024年度データ)
- 40代は「作る」、50代は「増やす」、60代は「守る・取り崩し計画を立てる」
- NISA・iDeCo・退職金の3本柱を組み合わせると準備効率が高まる
「老後2000万円問題」は本当か?金融庁報告書の真実
2019年に金融審議会が公表した「老後2000万円問題」は、夫65歳・妻60歳のモデル世帯で月約5万円の赤字が続き、30年間で約2000万円の取り崩しが必要と試算したもの。あくまで一つのモデルケースであり、すべての人に当てはまるわけではない。
2019年、金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書が「老後資金2000万円不足」と話題になりました。しかし、この数字はあくまでも以下の条件下での試算です。
【試算の前提条件】
・夫65歳(無職)・妻60歳(無職)の2人世帯
・月収入(年金):約21万円
・月支出(生活費):約26万円
・月不足額:約5万円 × 12か月 × 30年 = 約1,800万円(≒2,000万円)
重要なのは、「2000万円」という数字はあくまでひとつの試算であり、あなたの老後に必要な額とは異なる可能性が高いということです。現役時代の収入・年金額・生活水準・退職時期・家族構成・持ち家か賃貸かなど、さまざまな要因によって必要額は大きく変わります。
老後資金はいくら必要?自分で計算する3ステップ
老後に必要な資金は「月の生活費から年金を引いた不足額 × 老後の年数」で計算できる。65歳から90歳まで生きるとすると老後は25年。まず自分の生活費・年金・想定寿命の3つを把握することが第一歩。
【老後資金の概算計算式】
老後資金の目安=(月の生活費 − 月の年金額)× 12か月 × 老後の年数
*住宅購入・リフォーム・医療・介護などの特別支出は別途加算
STEP 1:自分の「月の生活費」を把握する
総務省「家計調査2023年」によると、65歳以上・二人以上世帯の月平均消費支出は約25.9万円です。ただし、旅行・趣味・医療費・住居費(持ち家か賃貸か)によって大きく異なります。現役時代の月の生活費を参考に、退職後のライフスタイルを想定して見積もりましょう。
| 生活スタイル | 月の生活費目安 |
|---|---|
| シンプル・質素 | 18〜22万円 |
| 標準的な2人暮らし | 23〜28万円 |
| 旅行・外食多め | 28〜35万円 |
| 高齢者施設入居 | 15〜30万円(施設による) |
STEP 2:受け取れる年金額を確認する
ねんきん定期便(毎年誕生月に届く)やねんきんネット(日本年金機構)で、自分の見込み年金額を確認できます。会社員・公務員は老齢厚生年金+老齢基礎年金が受け取れます。
【ねんきんネットの使い方】
① https://www.nenkin.go.jp/n_net/ にアクセス
② マイナンバーカードまたはアクセスキー(ねんきん定期便に記載)でログイン
③「年金見込み額試算」から65歳時点の受給見込み額を確認
④ 繰り下げ受給した場合のシミュレーションも可能
STEP 3:老後の年数(寿命)を想定する
厚生労働省「令和5年簡易生命表」によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.14歳。65歳時点での平均余命は男性約19年、女性約24年です。安全を見て男性は25年・女性は30年で計算するとよいでしょう。
【計算例】夫婦2人・月生活費28万円・年金23万円の場合
不足額:(28万円 − 23万円) × 12か月 × 25年 = 1,500万円
+特別支出(住宅リフォーム・医療・介護など):約300〜500万円
→ 合計目安:1,800〜2,000万円程度
公的年金はいくらもらえる?最新データで確認する
2024年度の公的年金の平均受給額は、夫婦2人・モデル世帯(厚生年金)で月約23万483円。ただし個人差が大きく、自営業者・フリーランスは老齢基礎年金のみのため月6.8万円程度となる場合もある。
| 受給パターン | 月額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 夫婦2人・モデル世帯(厚生年金) | 約23万円 | 厚労省2024年度水準 |
| 会社員(男性)単独の厚生年金 | 約16〜18万円 | 加入期間・給与水準による |
| 専業主婦(第3号被保険者) | 約6〜7万円 | 老齢基礎年金のみ |
| 自営業者・フリーランス | 約5〜7万円 | 老齢基礎年金のみ(満額6.8万円) |
年金は繰り下げ受給(最大75歳まで)することで1か月あたり0.7%増額されます。65歳受給開始に比べ、70歳まで繰り下げると42%増、75歳まで繰り下げると84%増になります。老後の収入を増やす有力な選択肢の一つです。
老後資金不足を招く3つの落とし穴
老後資金の計画で見落としやすいのは、住宅関連費用・医療・介護費用・インフレ(物価上昇)の3つ。特に持ち家でも築20〜30年でのリフォーム費用や、介護が必要になった場合の施設費用は数百万円単位になりうる。
落とし穴①:住宅関連の支出
持ち家の場合、築20〜30年でのリフォームに200〜500万円かかることがあります。また、バリアフリー改修やエレベーター・手すりの設置費用も必要になる場合があります。賃貸の場合は老後も家賃が継続的に発生します。
落とし穴②:医療・介護費用
生命保険文化センター「生活保障に関する調査(2022年)」によると、介護に要した費用の平均は月約8.3万円。入居型施設を利用した場合、月15〜30万円かかるケースも珍しくありません。医療保険・介護保険の見直しと、老後資金からの介護費用の確保が重要です。
落とし穴③:インフレ(物価上昇)
2024年現在、日本でも物価上昇が続いています。仮に年1〜2%のインフレが20年間続くと、現在の100万円の価値は約80〜82万円に目減りします。老後資金をすべて現金・預金で保有するだけでなく、運用しながら取り崩すこと(出口戦略)を考える必要があります。
40代・50代・60代別の老後資金準備ロードマップ
老後資金の準備は年代で戦略が変わる。40代は「NISA・iDeCoで長期積み立て開始」、50代は「退職金見込み確認・ポートフォリオ最適化」、60代は「取り崩し計画策定・年金受給時期の選択」が主な課題。早く始めるほど複利効果が大きい。
| 年代 | フェーズ | 優先アクション | 活用ツール |
|---|---|---|---|
| 40代 | 作る | 長期積み立て開始・保険見直し | NISA・iDeCo |
| 50代 | 増やす・整える | 退職金確認・積み立て増額 | NISA増額・iDeCo継続 |
| 60代前半 | 守る・計画する | 退職金受取方法確定・取り崩し計画 | 退職金・NISA出口 |
| 60代後半〜 | 使う | 年金受給開始・生活費に充当 | 公的年金・NISA取り崩し |
40代:「作る」フェーズ
- つみたてNISA・新NISA(成長投資枠)を最大限活用して長期積み立てを開始
- 会社員ならiDeCoで節税しながら老後資金を積み立て
- 住宅ローンの繰り上げ返済と老後積み立てのバランスを検討
- 生命保険・医療保険の保障内容を見直し、余剰保険料を投資へ
- 老後の生活費シミュレーションを初めて作成する
50代:「増やす・整える」フェーズ
- 退職金の見込み額を会社に確認し、受取り方(一時金 vs 年金)を比較検討
- 子どもの独立後に増えた余剰資金を老後積み立てに充てる
- NISAの投資額を増額・ポートフォリオを最適化
- 60歳以降の働き方(再雇用・独立・パートなど)を具体化
- ねんきん定期便で年金見込み額を確認し、繰り下げ受給の効果を試算
60代:「守る・使う計画を立てる」フェーズ
- 退職金の受け取りと運用先を決定(定期預金・投資信託・個人向け国債など)
- 年金の受給開始時期(65歳 or 繰り下げ)を家計シミュレーションで決定
- NISAの取り崩し計画(定額・定率・分配金活用)を策定
- 医療・介護への備えを保険と貯蓄で整理
- 相続・贈与の準備を開始(遺言書・生前贈与の検討)
NISA・iDeCo・退職金の3本柱で老後資金を整える
老後資金の準備は「NISA(非課税投資)」「iDeCo(節税しながらの積み立て)」「退職金(一時的な大型収入)」の3本柱を組み合わせるのが効率的。それぞれの特徴と使い分けを理解することが重要。
| 手段 | 主な特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 新NISA(つみたて投資枠) | 年120万円・非課税・いつでも引き出し可 | 40〜60代・流動性を確保したい人 |
| 新NISA(成長投資枠) | 年240万円・個別株・ETFも対象 | 50〜60代・まとまった資金を運用したい人 |
| iDeCo | 掛金が全額所得控除・60歳まで引き出し不可 | 40〜50代・現役世代の節税効果が大きい人 |
| 退職金 | 退職所得控除で税優遇・まとまった資金 | 退職前後の60代・運用スタートの元手に |
たとえば50代の会社員であれば、iDeCoで年間最大27.6万円(月2.3万円)を節税しながら積み立て、新NISAで年間最大360万円まで非課税運用、退職金は一時金で受け取って退職所得控除を活用する——という組み合わせが一般的に効率的です。ただし最適な配分は収入・家族構成・退職時期によって異なります。
退職所得控除の目安(勤続年数別)
| 勤続年数 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
| 35年 | 1,850万円 |
| 40年 | 2,200万円 |
※勤続年数20年超の控除額=800万円+70万円×(勤続年数-20年)
出典:国税庁「退職金と税」(No.1420)。具体的な税務については税理士へのご相談をお勧めします。
事例で学ぶ:老後資金準備の成功・失敗パターン
老後資金の準備は「何をいつ始めるか」で結果が大きく変わる。早期に積み立てを始めたAさん、退職金をまとめて運用したBさん、準備が遅れて後悔したCさんの3事例から学ぶ。
Aさん(55歳・会社員・首都圏)の事例
40代後半からiDeCoとNISAを始めたAさん。月3万円をコツコツ積み立て、15年間で約720万円を積み立て元本に。運用益も含めると65歳時点で約1,000万円超の老後資金に育てることができました。「早く始めるほど時間が味方になる」とAさんは言います。
Bさん(62歳・元会社員・東京)の事例
退職時に2,500万円の退職金を受け取ったBさん。銀行に勧められた高コストの投資信託に全額を投入しようとしたところ、FPisに相談。分散(国内債券・インデックスファンド・個人向け国債など)に切り替え、手数料を大幅に削減。安心して取り崩せるポートフォリオが完成しました。
Cさん(58歳・パート・首都圏)の事例
「老後はなんとかなる」と考えてきたCさん。夫の急死後に年金見込み額を確認したところ、遺族年金と自身の年金を合わせても月14万円程度であることが判明。生活費との差額が大きく、急いで老後資金の準備を開始。iDeCoへの加入・貯蓄の積み上げを進めながら、生活費の見直しにも着手しました。「もっと早く相談すればよかった」というのがCさんの率直な感想です。
よくある誤解TOP3と正しい考え方
老後資金に関しては「年金だけでは生活できない」「2000万円ないと老後は破綻する」「今から始めても遅い」という3つの誤解が広がっている。それぞれ状況によって異なるため、自分のケースで正しく考えることが重要。
よくある質問(老後資金・老後の不安)
老後資金はいくらあれば安心ですか?
生活費・年金額・老後の年数によって人それぞれ異なります。計算式は「(月の生活費 − 月の年金額)× 12か月 × 老後の年数」です。夫婦2人・月生活費25万円・年金23万円・老後25年であれば600万円、生活費30万円であれば2,100万円が目安です。住宅・医療・介護の特別支出を加えた上で、ご自身のケースで試算することをお勧めします。
老後2000万円問題とは何ですか?
金融庁の審議会報告書(2019年)で示されたひとつのモデル試算です。夫65歳・妻60歳の無職世帯で月約5万円の赤字が30年続くと約2,000万円の取り崩しが必要と試算されました。すべての人に当てはまるわけではなく、年金額や生活費によって必要額は大きく変わります。
年金はいつから受け取るのが有利ですか?
65歳受給を基準に、繰り下げると月0.7%増額・繰り上げると月0.4%減額になります。70歳まで繰り下げると約42%増、損益分岐点は81〜82歳です。健康状態・他の収入源・家族の状況によって最適な受給時期は異なりますので、ご自身の状況を踏まえて判断することが大切です。
老後資金の準備は何から始めればいいですか?
まず「ねんきんネット」で年金見込み額を確認することが出発点です。次に①家計の月支出を把握する、②老後の必要額を概算する、③NISAやiDeCoなどの非課税口座を活用した積み立てを開始する、という3ステップで進めましょう。
iDeCoとNISAはどちらを優先すべきですか?
一般的に、会社員ならiDeCoの掛金が全額所得控除になるため節税効果が大きく、現役中の節税を優先するならiDeCoが有利です。ただしiDeCoは60歳まで引き出せないため、流動性を確保したい場合はNISAと組み合わせることが多いです。
退職金は一時金と年金、どちらで受け取るほうがいいですか?
一時金は「退職所得控除」が適用され、年数が長いほど控除額が大きくなります。年金形式は「公的年金等控除」が適用されますが、他の年金収入との合算で税負担が増えるケースもあります。どちらが有利かは退職時の他の収入・資産状況によって異なるため、退職前に試算することをお勧めします。具体的な税務については税理士へのご相談もお勧めします。
老後資金の運用は何歳まで続けるべきですか?
「運用しながら取り崩す」という考え方が有効です。全額を現金化してしまうと、インフレによる目減りリスクがあります。65〜75歳は一部を運用しながら生活費に充てる「出口戦略」を設計することが重要です。資産全体の3〜5年分を現金・定期預金で保有し、残りを運用し続けるという方法が一般的に利用されています。
老後に必要な医療・介護費用はどのくらいですか?
生命保険文化センターの調査によると、介護に要する月額費用は平均約8.3万円、介護期間は平均5年1か月です。合計すると約500万円が目安ですが、有料老人ホームや特別養護老人ホームに入居する場合はさらに費用がかかるケースもあります。医療保険・介護保険の見直しと合わせて備えを検討することをお勧めします。
老後の生活費は現役時代の何割くらい必要ですか?
一般的に老後の生活費は現役時代の60〜70%程度と言われています。ただし、旅行・趣味・孫への費用など「豊かに過ごしたい」という場合は70〜80%になることもあります。また住宅ローンが完済していれば住居費が大幅に減りますが、医療・介護費は増加する傾向があります。
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東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
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