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年金の繰り上げ受給とは?損得をFP解説

年金の繰り上げ受給とは|60歳から早くもらうメリット・デメリットと損益分岐点をFP解説

「年金は65歳から」と思っていませんか。実は最も早くて60歳から受け取り始めることができます。これが「繰り上げ受給」です。ただし早くもらう代わりに、受け取る年金額は一生涯減ったままになります。「早くもらって使いたい」「本当に得なのか」——迷いやすいこの選択を、減額率・損益分岐点・見落としがちな注意点まで、渋谷のFPが整理します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表/CFP・1級FP技能士

CFP1級FP技能士渋谷区独立系FP

📌 この記事の要点

  1. 繰り上げ受給は60歳から64歳までの間に年金を早く受け取り始める制度。ただし1か月早めるごとに0.4%減額され、その減額は一生続く(日本年金機構)
  2. 60歳0か月まで最大60か月繰り上げると24%の減額。65歳から受け取る場合と比べ、受取総額が逆転する損益分岐点はおよそ80〜81歳前後
  3. 繰り上げると障害年金を受けられなくなる・国民年金の任意加入ができなくなるなど、取り消せないデメリットがある
  4. 老齢基礎年金と老齢厚生年金は原則セットで繰り上げが必要。片方だけの繰り上げはできない
  5. 「長生きするほど繰り下げが有利、早く使いたい・健康に不安があるなら繰り上げも選択肢」。健康状態・他の収入・働き方を合わせて判断することが大切
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年金の繰り上げ受給とは?基本の仕組み

繰り上げ受給とは、原則65歳から受け取る老齢年金を60歳から64歳の間に早めて受け取る制度です。1か月早めるごとに0.4%減額され、その減額率は生涯変わりません。早く受け取れる代わりに毎月の年金額が一生涯少なくなる点が特徴です。

公的年金(老齢基礎年金・老齢厚生年金)は、原則65歳から受け取り始めます。しかし希望すれば、受け取り開始を早めたり遅らせたりできます。

  • 繰り上げ受給:60歳〜64歳に早めて受け取る(減額される)
  • 繰り下げ受給:66歳〜75歳に遅らせて受け取る(増額される)

繰り上げ受給では、1か月早めるごとに0.4%年金額が減ります(2022年4月以降に60歳になる方の減額率)。そして重要なのは、この減額された金額が一生続くことです。あとから「やっぱり65歳からにしたい」と戻すことはできません。

💡 ポイント:繰り上げは「早くもらえる」代わりに「毎月ずっと少ない」。この一生続くという点が、判断で最も大切なところです。

繰り上げの減額率と年金額の早見表

繰り上げの減額率は1か月0.4%です。60歳まで最大60か月繰り上げると24%減額されます。たとえば65歳で月10万円の年金は、60歳受給開始なら月7万6千円程度に減ります。何歳から受け取るかで生涯の受取額が大きく変わります。

繰り上げると年金額がどれだけ減るのか、開始年齢ごとに整理します。

受給開始年齢 繰り上げ月数 減額率 月10万円の年金の例
60歳0か月 60か月 ▲24.0% 約76,000円
61歳0か月 48か月 ▲19.2% 約80,800円
62歳0か月 36か月 ▲14.4% 約85,600円
63歳0か月 24か月 ▲9.6% 約90,400円
64歳0か月 12か月 ▲4.8% 約95,200円
65歳0か月 0か月 0%(本来) 100,000円

たとえば65歳で月10万円受け取れる方が60歳から受給を始めると、月額は約76,000円に。年額では約28.8万円少なくなり、これが生涯続きます。

※減額率は日本年金機構の公表値(2022年4月以降に60歳到達の方は0.4%/月)にもとづく概算です。実際の金額はご自身の年金記録で確認してください。

損益分岐点は何歳?繰り上げ・繰り下げの分かれ目

60歳まで繰り上げた場合と65歳受給を比べると、受取総額が逆転する損益分岐点はおよそ80〜81歳前後です。この年齢より前に亡くなれば繰り上げが有利、長生きするほど65歳受給や繰り下げが有利になります。健康状態や家族の状況を踏まえた判断が必要です。

「早くもらうと、結局トクなの?ソンなの?」——これは受け取り始める年齢と、何歳まで生きるかで変わります。累計の受取額が逆転する年齢が損益分岐点です。

比較 損益分岐点(累計額が逆転する年齢)
60歳繰り上げ vs 65歳受給 おおむね80〜81歳前後
65歳受給 vs 70歳繰り下げ おおむね81〜82歳前後

つまり、60歳から繰り上げた場合、おおよそ80歳より前に亡くなれば繰り上げたほうが受取総額は多く、それより長生きすると65歳受給のほうが多くなる、という関係です。

⚠️ 損益分岐点はあくまで「受取総額」だけの比較です。実際には税金・社会保険料・医療や介護の自己負担、遺族年金への影響なども関わります。「何歳まで生きるか」は誰にもわからないため、金額の損得だけで決めきれない選択でもあります。

繰り上げ受給の見落としがちなデメリット

繰り上げ受給は減額だけでなく、取り消せない不利益があります。障害年金を原則請求できなくなる、国民年金の任意加入や追納ができなくなる、寡婦年金が受けられなくなるなどです。手続き前にこれらの影響を確認しておくことが重要です。

繰り上げの判断で本当に大切なのは、減額率よりむしろ「取り消せない不利益」です。主なものを挙げます。

  • 障害年金が原則請求できなくなる:繰り上げ後は、原則として新たに障害基礎年金などを請求できなくなります。持病がある方は特に注意が必要です。
  • 国民年金の任意加入・追納ができない:年金を増やすための任意加入や、未納分の追納ができなくなります。
  • 寡婦年金が受けられない:繰り上げると寡婦年金の受給権がなくなります。
  • 遺族年金との調整:65歳前は、繰り上げた老齢年金と遺族厚生年金は原則どちらか一方の選択になります。
  • 取り消し不可:いったん繰り上げると、あとから撤回できません。

⚠️ これらは「知らずに繰り上げてしまい、あとで困る」ことが多いポイントです。手続き前に、年金事務所で自分のケースへの影響を確認することをお勧めします。

繰り上げが選択肢になる人・慎重に考えたい人

繰り上げ受給は、健康に不安があり長生きを見込みにくい人や、他に収入がなく生活費が不足する人にとって選択肢になり得ます。一方、長く働く予定の人、健康で長生きが見込まれる人、障害年金の可能性がある人は慎重な検討が必要です。

繰り上げが選択肢になり得る人

  • 健康上の不安があり、早く受け取りたいと考えている
  • 他に収入がなく、60代前半の生活費が不足している
  • まとまった貯蓄があり、年金は早く受け取って手元資金と合わせて使いたい

慎重に考えたい人

  • 60代も働く予定で、当面の生活費に困っていない
  • 健康で、長生きが見込まれる(女性は平均余命が長い傾向)
  • 持病があり、将来障害年金の可能性がある

事例:Dさん(60歳・自営業)「早くもらって身軽になりたい」

収入が不安定で、早く年金を受け取りたいと考えていたDさん。減額が一生続くこと、障害年金が請求できなくなることを確認したうえで、まずは64歳まで働き、繰り上げ幅を小さくする方向で再検討しました。

事例:Eさん(62歳・パート)健康に不安があった

持病があり「長生きは見込みにくい」と考えていたEさん。生活費の不足も重なり、デメリットを理解したうえで一部繰り上げを選択。「金額の損得より、今の生活を回すことを優先した」と話します。

繰り上げ受給の手続きと、判断のすすめ方

繰り上げ受給は年金事務所や年金相談センターで請求手続きを行います。まずはねんきん定期便やねんきんネットで見込額を確認し、繰り上げた場合・65歳受給・繰り下げた場合を比較したうえで、健康状態や働き方も含めて総合的に判断することが大切です。

  1. 見込額を確認する:ねんきん定期便や「ねんきんネット」で、65歳受給の見込額を確認します。
  2. 3パターンを比べる:繰り上げ・65歳・繰り下げの受取額を試算し、生活設計と照らし合わせます。
  3. デメリットを確認する:障害年金・任意加入などへの影響を年金事務所で確認します。
  4. 手続きする:納得できたら、年金事務所や年金相談センターで繰り上げ請求を行います。

年金の受け取り方は、いったん決めると戻せない一生の選択です。「早くもらう安心」と「一生続く減額」のどちらを重く見るかは、その方の価値観や家計によって異なります。判断に迷うときは、家計全体を見て中立的に整理できる独立系FPに相談するのも一つの方法です。

よくある質問(FAQ)

年金の繰り上げ受給とは何ですか?
原則65歳から受け取る老齢年金を、60歳から64歳の間に早めて受け取る制度です。1か月早めるごとに0.4%減額され、その減額は生涯続きます。
繰り上げると年金はどれくらい減りますか?
1か月あたり0.4%減額されます。60歳0か月まで最大60か月繰り上げると24%の減額となり、たとえば月10万円の年金は約7万6千円になります。
繰り上げ受給の損益分岐点は何歳ですか?
60歳繰り上げと65歳受給を比べると、受取総額が逆転する損益分岐点はおよそ80〜81歳前後です。それより長生きすると65歳受給のほうが総額は多くなります。
繰り上げは途中で取り消せますか?
いいえ、いったん繰り上げ受給を選ぶと取り消しできません。減額された年金額が生涯続くため、手続き前に慎重な検討が必要です。
繰り上げると障害年金はもらえなくなりますか?
繰り上げ後は、原則として新たに障害基礎年金などを請求できなくなります。持病がある方は特に注意が必要なポイントです。
基礎年金だけ繰り上げることはできますか?
老齢基礎年金と老齢厚生年金は、原則としてセットで同時に繰り上げる必要があります。片方だけを繰り上げることは原則できません。
働きながら繰り上げ受給はできますか?
できますが、厚生年金に加入して働く場合は在職老齢年金の仕組みで年金の一部が支給停止になることがあります。働き方と合わせた検討が必要です。
繰り上げと繰り下げ、どちらが得ですか?
長生きするほど繰り下げが有利、早く使いたい・健康に不安があるなら繰り上げも選択肢です。健康状態や他の収入によって答えは変わります。
夫が繰り上げると妻の遺族年金に影響しますか?
65歳前は繰り上げた老齢年金と遺族厚生年金が原則どちらか一方の選択になるなど、調整が生じます。世帯全体で確認することをお勧めします。
繰り上げ受給は誰に相談すればよいですか?
まず年金事務所でデメリットを確認し、家計全体の設計は独立系FPに相談する方法があります。FPisでは年金と生活設計を合わせて一緒に整理します。

東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由

FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。年金の受け取り方から老後の家計設計までワンストップで提供します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。

対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)

日経BP(日経ビジネス Human Capital)に取材掲載

「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」

石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。

とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。

2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。

📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)

FPisが提供できる5つの強み

  • 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
  • ワンストップ対応:FP相談・証券・保険を一貫サポート
  • 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
  • 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制
  • 初回相談90分無料:伴走サポート1年間も無料

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