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50代から投資を始めるのは遅いか|残り時間で決める置き方

50代から投資を始めるのは遅いか|残り時間で決める置き方

「この年齢から始めて、間に合うのでしょうか」。まとまったお金を前にした50代の方から、いちばん多くいただくご質問です。間に合うかどうかは、年齢ではなく「そのお金をいつ使うか」で決まります。10年後に使うお金と、30年後まで手をつけないお金では、置き方が違います。この記事では、年齢を数える代わりに残り時間を数える方法と、50代から始める場合の順番を整理します。

石田健雄 FP事務所FPis代表

執筆:石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。東京都渋谷区。

CFP1級FP技能士独立系FP渋谷

📌 この記事の要点

  1. 間に合うかどうかは年齢ではなくそのお金を使うまでの年数で決まります。50代でも、使うのが30年後のお金なら時間はあります。
  2. 最初にすることは投資ではなく、生活費の何年分を値動きのないところに置くかを決めることです。ここが決まらないうちに始めると、下がったときに売ることになります。
  3. お金を5年以内に使う・10年以上先に使う・使う時期が決まっていないの3つに分けると、置き場所がほぼ自動的に決まります。
  4. 50代から始める場合、積立と一括の両方を使う場面が出てきます。毎月の給与から積み立てる部分と、まとまった資金を分けて入れる部分は別に考えます。
  5. 避けたいのは、まとまったお金が入った直後に、勧められた商品をその場で決めることです。入り方を間違えると、あとから直すのに時間がかかります。
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「遅い」かどうかは年齢では決まりません

投資で時間が効いてくるのは、値動きのぶれが長い期間のなかで均される部分です。したがって問題になるのは何歳かではなく、そのお金を使うまでに何年あるかです。

55歳の方が「もう遅い」とおっしゃるとき、頭のなかにあるのは「60歳か65歳で終わり」という時間軸です。ところが実際には、65歳で使い切るわけではありません。

いま55歳の方の、お金の使いどき 残り年数
退職直後の生活費 5年〜10年
70代前半に使う分 15年〜20年
80代後半に使う分(介護・医療) 30年以上

いちばん後ろにあるお金には、30年以上の時間があります。資産全体をひとかたまりで考えると「あと10年」に見えますが、使う時期ごとに分けると、長い時間を持った部分が残っています。

Aさんの例

54歳で独身のAさんは、預金が大半で、投資はされていませんでした。「今から始めても10年しかない」というのが最初のお考えでした。そこで、老後に使う予定のお金を使う時期ごとに分けていくと、85歳以降に使う想定の部分が3割ほどありました。その部分には30年の時間があるとわかってから、Aさんの考え方が変わりました。

投資より先に決めること|値動きのない部分の厚み

始める前に決めるのは、生活費の何年分を預金など値動きのないところに置いておくかです。ここが薄いと、下がった時期に売らざるをえなくなります。

50代から始める場合、20代30代と違う点がひとつあります。積み立てている途中で、使う時期が来ることです。相場が下がっている時期とお金が必要な時期が重なると、下がった値段で売ることになります。

何年分を置いておくか

お立場 値動きのないところに置く目安 理由
まだ働いていて、収入がある 生活費の1年〜2年分 収入があるため、取り崩す場面が限られます
退職が数年以内に見えている 生活費の2年〜3年分 収入が途切れる時期をまたぐためです
すでに取り崩しが始まっている 生活費の3年〜5年分 下がった時期に売らずに待てる期間を確保します

📌 この「何年分」は、守りの資金であると同時に、待てる時間の長さでもあります。3年分を置いてあれば、相場が下がった局面で3年間は売らずに済みます。この時間があるかどうかで、同じ商品を持っていても結果が変わってきます。

どこに置くか

すぐに使う部分は普通預金、1年〜3年先に使う部分は定期預金や個人向け国債といった置き方が一般的です。値動きがないことと必要なときに現金にできることの2つを満たす場所であれば、利回りの差は二の次になります。

資産を3つに分けると、置き場所が決まります

お金を使う時期ごとに3つに分けると、それぞれに合う置き場所がほぼ決まります。配分の比率を先に決めるより、この分け方のほうが実行しやすくなります。

区分 使う時期 置き場所の考え方
近いお金 5年以内に使う 預金・個人向け国債など、値動きのないところに置きます
遠いお金 10年以上先に使う 値動きを受け入れたうえで、分散された投資信託などを検討します
時期の決まっていないお金 使うかどうかも未定 上の2つを決めたあとの残りです。ここをどこに置くかが実質的な判断になります

「時期の決まっていないお金」の扱い方

介護が必要になるかどうか、いつ必要になるか。これは決められません。この部分をすべて預金に置くと物価の上昇に対して弱くなり、すべて投資に回すと必要になった時期に下がっている可能性が出てきます。この部分を半々に分ける、あるいは値動きの小さい組み合わせにする、というのが現実的な落としどころです。

⚠️ 「余裕資金で投資を」という言い方には注意が要ります。50代でまとまった資産をお持ちの場合、形のうえでは大半が余裕資金に見えます。使う時期で分けないまま「余裕資金だから」と動かすと、近いお金まで値動きのあるところに入ってしまいます。

積み立てと、まとめて入れる分は別に考えます

50代から始める場合、毎月の収入から積み立てる部分と、すでに手元にあるまとまった資金を入れる部分の2つが同時に出てきます。この2つは決め方が違います。

毎月の収入から積み立てる部分

給与や賞与から出せる範囲で、無理なく続けられる金額を決めます。この部分は時間を分散して入れる形になりますので、始める時期を悩む必要があまりありません。NISAのつみたて投資枠はこの用途に向いています。

すでに手元にあるまとまった資金

退職金、保険の満期金、相続で受け取ったお金。これを一度に入れるか、分けて入れるかは、別の判断になります。

一度に入れる 分けて入れる
考え方 早く置いたほうが長く置けます 入れた直後に下がる影響を薄めます
向く場面 値動きに慣れている場合 投資が初めての場合
注意点 入れた直後に下がると続けにくくなります 入れ終わるまでの期間を決めておかないと、途中で止まります

投資が初めての方には、12か月から24か月に分けて入れる形をご提案することが多くなります。理由は結果の有利不利ではなく、途中でやめてしまわないためです。入れた翌月に下落すると、慣れていない方ほど「やはりやめておけば」となります。

📌 分けて入れる場合に決めておく3つ
①何か月に分けるか(例:18か月)
②毎月いくら入れるか
③途中で下がったときにどうするか(金額を増やす/変えない/止める)
③を先に決めておかないと、いちばん揺れる場面で判断することになります。

最初に避けておきたい入り方

50代でまとまった資産をお持ちの方に向けられる提案には、特有のものがあります。商品の良し悪しというより、入り方として避けたいものを整理します。

①まとまったお金が入った直後に、その場で決める

退職金が振り込まれた、保険金を受け取った。この直後は、ご自身でも金額の感覚がまだ定まっていない時期です。金融機関からの連絡が増えるのもこの時期です。入ってから数か月は動かさず、使う時期の整理を先にすることをお勧めしています。

②仕組みを説明できないまま持つ

手数料がどこで何回かかるのか、途中で解約した場合にどうなるのか、何が値動きの要因なのか。この3つをご自身の言葉で説明できない商品は、持ったあとの判断もできません。

③資産の大半を1つの商品に入れる

1つの国、1つの業種、1つの通貨。まとまった金額であるほど、分かれていることの意味が大きくなります。

④毎月お金が入る形を優先する

毎月受け取れる形は安心に見えます。ただし、受け取っている中身が運用で増えた分なのか、預けた元本の払い戻しなのかは、商品によって異なります。資産全体が増えているか減っているかは、受取額とは別に確認する必要があります。

Bさんの例

50代後半のBさんは、退職金が振り込まれた月に、取引先の金融機関から「退職者向けの特別プラン」の案内を受けました。定期預金に高い金利がつく代わりに、同額を別の商品に入れる組み合わせでした。定期預金の高い金利は3か月間だけで、組み合わせる商品の手数料のほうが大きいことに気づき、いったん持ち帰られました。半年後、使う時期の整理を終えてから、ご自身で配分を決めています。

50代から始める場合の、手をつける順番

投資の判断に入る前に済ませておく工程があります。順番を変えると、あとから直す手間が増えます。

  1. 今ある資産を1枚の表にします。預金、保険、企業型DC、持ち株会。どこに何があるかがわからないまま次に進むことはできません
  2. 生活費の月額を出します。直近1年の引き落としと現金支出から概算します
  3. 値動きのないところに置く金額を決めます。生活費の何年分かを先に決めます
  4. 残りを、使う時期で3つに分けます。5年以内・10年以上先・未定の3つです
  5. 10年以上先の部分の置き方を決めます。ここで初めて商品の話になります
  6. NISAなど税制上の枠をどう使うか決めます。枠の使い方は、何に入れるかが決まってからの話です
  7. 年に1回、ずれを見ます。毎日見る必要はありません

📌 35年の実務のなかで
50代からのご相談で、順番を飛ばしてうまくいかない例がいちばん多いのは、1と2を省いて5から入ってしまう場合です。何をいつ使うかが決まっていない状態では、どの商品が合うかを決める材料がありません。この2つは地味ですが、ここがいちばん効きます。

税制の取り扱いや各制度の要件は改正によって変わります。ご自身の状況に応じた判断については、税理士など専門家にもご確認ください。

50代からの投資についてよくあるご質問

50代から投資を始めることを検討されている方からいただくご質問をまとめました。始める時期、金額、商品の選び方、退職金の扱いを扱っています。

50代から始めて、本当に間に合いますか。
そのお金を使うまでの年数によります。5年以内に使うお金であれば、値動きのあるところに置くには短い期間です。一方で80代以降に使う想定の部分には30年以上の時間がありますので、資産全体をひとかたまりで考えず、使う時期ごとに分けてご覧になることをお勧めします。
毎月いくらから始めればよいですか。
金額より先に、生活費の何年分を値動きのないところに置くかを決めてください。そのうえで残った部分から、無理なく続けられる金額を出します。続けられる金額であることが、額の大小より効いてきます。
退職金をまとめて入れてもよいですか。
一度に入れる方法と分けて入れる方法があり、どちらが有利かは入れたあとの相場次第です。投資が初めての方には、12か月から24か月に分けて入れる形をご提案することが多くなります。途中でやめてしまう可能性を下げるためです。
何に投資すればよいですか。
商品を決める前に、そのお金をいつ使うかを決めてください。10年以上先に使う部分であれば、分散された投資信託が候補になります。使う時期が5年以内なら、値動きのないところに置く選択になります。
NISAとiDeCoはどちらを優先すべきですか。
使う時期によります。iDeCoは原則60歳まで引き出せませんので、60歳前に使う可能性のあるお金には向きません。50代の場合、加入可能年齢や受け取り方の要件もあわせて確認する必要があります。
下がったときに怖くなりそうです。
下がる場面は来るものとして、先に対応を決めておく方法があります。値動きのないところに生活費の何年分を置くか、下がったときに金額を変えるかどうか。この2つを決めておくと、その場で判断せずに済みます。
毎月分配される商品のほうが安心ではないですか。
受け取れる金額が毎月わかるという意味での安心はあります。ただし受け取っている中身が運用で得た分なのか元本の払い戻しなのかは商品によって異なりますので、資産全体が増えているか減っているかは別に確認してください。
銀行で勧められた商品をどう判断すればよいですか。
手数料がどこで何回かかるか、途中で解約した場合どうなるか、何が値動きの要因かの3点をご自身の言葉で説明できるかを確かめてください。その場で決めず、資料を持ち帰って比べる時間を取ることをお勧めします。
夫婦の場合、どちらの名義で始めればよいですか。
NISAの枠はお一人ずつに設定されていますので、お二人とも使える場合は両方を使う形が基本です。ただし名義を分けるとご本人以外は動かせませんので、将来の管理のしやすさもあわせて考えます。
途中でやめたくなったらどうすればよいですか。
いつでも売却できる商品であれば、やめること自体は可能です。ただし下がった時期にやめると、下がった値段で確定します。やめたくなった理由が相場なのか生活の事情なのかを分けて考えると、判断しやすくなります。

東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由

FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきました。50代からの資産の置き方と取り崩しの設計について、FP相談・保険・証券をワンストップでご相談いただけます。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。

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▶ 日経BP(日経ビジネス Human Capital)に取材掲載

「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」

石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。

とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。

2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。

📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)

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