個人向け国債のはじめ方|金利上昇局面で安全資産をどう活かすか
「銀行預金だけでは心もとないけれど、値動きの大きい投資は怖い」——そう感じている方は少なくありません。とくに金利が上がり始めた今、預けたお金がインフレに負けずに増えるのか、不安を抱える方も増えています。個人向け国債は、国が元本と利子の支払いを行う仕組みを持ち、金利上昇局面にも追随しやすい設計がされている選択肢のひとつです。この記事では、個人向け国債の仕組みから始め方、注意点までをFPisが整理してお伝えします。
📌 この記事の要点
- 個人向け国債は財務省が発行し、変動金利型10年・固定金利型5年・固定金利型3年の3種類があります。
- 年0.05%の最低金利保証があり、額面1万円から1万円単位・毎月発行で購入できます。
- 変動10年は半年ごとに適用金利が見直され、実勢金利に連動するため金利上昇局面で追随しやすいと考えられます。
- 発行から1年経過すれば中途換金が可能ですが、直前2回分の利子相当額×0.79685が差し引かれる点に注意が必要です。
- 利子には約20.315%が課税されるため、定期預金など他の安全資産とあわせて手取りベースで比較する視点が役立ちます。
個人向け国債とは|安全資産としての基本の仕組み
個人向け国債は財務省が発行する国債で、個人が購入できるよう設計された商品です。国が元本と利子の支払いを行うため、信用リスクは低いとされていますが、物価上昇局面では実質的な価値が目減りする可能性がある点には留意が必要です。
個人向け国債は、国(日本国政府)がお金を借りるために発行する債券のうち、個人投資家向けに設計されたものです。財務省が毎月発行しており、証券会社や銀行などの取扱金融機関を通じて購入できます。
「国が発行しているから安心」というイメージを持たれる方が多いですが、これは元本・利子の支払いを国が行うという意味での信用リスクの低さを指すものであり、物価が大きく上昇する局面では、受け取る利子や元本の実質的な価値が目減りする可能性がある点は理解しておくとよいでしょう。この点については後述の「よくある誤解」でも触れます。
個人向け国債の3種類|変動10年・固定5年・固定3年の違い
個人向け国債には変動金利型10年・固定金利型5年・固定金利型3年の3種類があります。変動10年は半年ごとに金利が見直され実勢金利に連動し、固定型は購入時の金利が満期まで変わらない点が大きな違いです。
個人向け国債を検討する際にまず押さえておきたいのが、この3つの違いです。それぞれ満期までの期間と、金利のタイプ(変動か固定か)が異なります。
| 項目 | 変動金利型10年 | 固定金利型5年 | 固定金利型3年 |
|---|---|---|---|
| 満期 | 10年 | 5年 | 3年 |
| 金利タイプ | 変動 | 固定 | 固定 |
| 金利の見直し | 半年ごとに見直し | 購入時の金利が満期まで固定 | 購入時の金利が満期まで固定 |
| 金利上昇局面での特徴 | 実勢金利に連動しやすく、追随が期待できると考えられます | 発行後に金利が上がっても、当初の金利のまま | 発行後に金利が上がっても、当初の金利のまま |
| 最低金利保証 | 年0.05% | 年0.05% | 年0.05% |
| 購入単位 | 1万円から1万円単位 | 1万円から1万円単位 | 1万円から1万円単位 |
| 発行頻度 | 毎月 | 毎月 | 毎月 |
金利が上昇していく局面では、実勢金利に連動する変動10年が注目されやすい一方、「満期までの利回りを確定させておきたい」というニーズには固定5年・固定3年が向くと考えられます。ご自身の資金の使い道や運用期間に応じて選ぶことが大切です。
個人向け国債の金利はどう決まる?下限0.05%と実勢連動の仕組み
個人向け国債にはどのタイプにも年0.05%の最低金利保証があります。変動10年は半年ごとに基準金利をもとに適用金利が見直され、市場の実勢金利に連動する仕組みになっています。
個人向け国債の金利には、どの種類でも共通して「年0.05%」という下限が設けられています。市場金利がどれほど低下しても、このラインを下回らない設計になっている点は、安全資産としての性格を支える仕組みのひとつです。
変動金利型10年は、半年ごとに適用金利が見直され、その時点の実勢金利をもとに算定されます。そのため、金利が上昇していく局面では、時間の経過とともに受け取る利子も増えていく可能性があります。反対に固定金利型は、購入時点の金利が満期まで変わらないため、将来の受取額を早い段階で把握しやすいという特徴があります。
💡 変動10年は「金利が上がったらついていきたい」方向け、固定5年・固定3年は「あらかじめ受取額を確定させたい」方向けと整理すると選びやすくなります。
金利上昇局面で個人向け国債をどう活かすか
金利上昇局面では、実勢金利に連動する変動10年を安全資産の一部に組み入れることで、預金だけに資金を置く場合よりも金利上昇の恩恵を受けやすくなると考えられます。
ここでは、実際にご相談いただいた事例をもとに(個人が特定されないよう内容を一部変更しています)、金利上昇局面での考え方をご紹介します。
Aさん(50代・会社員)の場合
退職金の受け取りを控え、生活防衛資金以外の一部をどう置いておくか悩んでいたAさん。全額を普通預金に置いたままにするのではなく、一部を個人向け国債(変動10年)に振り分けることで、金利上昇局面に追随しやすい形にしておきたいというご相談でした。使う予定のない資金を数年単位で分散して置く方法として検討いただきました。
Bさん(30代・共働き夫婦)の場合
5年後に住宅購入の頭金として使う予定の資金について相談されたBさん夫婦。使う時期がほぼ決まっている資金だったため、金利変動の影響を受けにくい固定金利型5年を軸に検討することになりました。「使う時期が決まっているお金は固定型で受取額を確定させておく」という考え方をお伝えしました。
個人向け国債のはじめ方|購入の流れとタイミング
個人向け国債は証券会社や銀行などの取扱金融機関で口座を開設し、毎月の募集期間中に申し込むことで購入できます。1万円単位で購入できるため、少額から始めやすい商品です。
- 取扱金融機関を選ぶ:証券会社・銀行・信用金庫など、個人向け国債を取り扱う金融機関で口座を開設します。
- 募集期間を確認する:個人向け国債は毎月発行されており、金融機関ごとに募集期間が案内されます。
- 種類と金額を決める:変動10年・固定5年・固定3年のいずれかを選び、1万円単位で購入金額を決めます。
- 申し込み・入金:窓口またはインターネット経由で申し込み、代金を入金します。
- 利払い・満期の確認:年2回の利子の受け取りと、満期時の元本償還のスケジュールを確認しておきます。
はじめて購入する場合は、生活防衛資金(当面の生活費)を確保したうえで、余裕資金の中から少額でスタートし、必要に応じて毎月の購入を積み重ねていく方法も選択肢のひとつと考えられます。
個人向け国債の中途換金ルールと注意点
個人向け国債は発行から1年が経過すれば中途換金が可能です。ただし中途換金時には、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を乗じた金額が中途換金調整額として差し引かれます。
個人向け国債は発行後1年を経過すれば、原則としていつでも中途換金の申し込みができます。急な出費などにも対応しやすい流動性を備えている点は、安全資産として活用しやすい理由のひとつです。
一方で、中途換金の際には「中途換金調整額」が差し引かれる仕組みになっています。具体的には、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額が、受取額から差し引かれます。満期まで保有した場合と比べて受取額が少なくなる可能性があるため、資金を使う時期がある程度見えている場合は、あらかじめ余裕を持った資金計画を立てておくことをおすすめします。
⚠️ 中途換金調整額は「直前2回分の各利子(税引前)相当額×0.79685」で計算されます。購入から間もない時期に換金すると、受取額が想定より少なくなる場合があるため、あらかじめ使う予定のない資金で運用することが大切です。
Cさん(60代・自営業)の場合
急な事業資金の必要が生じ、購入から1年半ほどで個人向け国債を中途換金したCさん。中途換金調整額が差し引かれることを事前にご存知なかったため、想定より受取額が少なくなり戸惑われたご様子でした。中途換金の仕組みをあらかじめ理解しておくことの大切さを実感する事例です。
個人向け国債と定期預金の比較|安全資産としての選び方
個人向け国債と銀行の定期預金は、どちらも安全資産として位置づけられますが、金利水準・中途解約時の扱い・発行体(預入先)の違いなどを比較したうえで、資金の性質に応じて使い分けることが考えられます。
| 項目 | 個人向け国債(変動10年) | 銀行定期預金 |
|---|---|---|
| 元本の安全性 | 国が元本・利子の支払いを行うため信用リスクは低いとされます | 預金保険制度により1金融機関あたり元本1,000万円と利息が保護の対象 |
| 金利水準 | 実勢金利に連動(下限年0.05%) | 金融機関・期間により異なる |
| 中途解約・換金 | 1年経過後に可能。中途換金調整額が差し引かれます | 中途解約可能だが、多くの場合は適用金利が低下します |
| 購入・預入単位 | 1万円から1万円単位 | 金融機関により異なる(1円単位〜) |
| 税金 | 利子に約20.315%課税 | 利息に約20.315%課税 |
💡 個人向け国債と定期預金は、どちらか一方を選ぶというより、資金の使う時期や目的に応じて組み合わせて保有する考え方も選択肢になります。
個人向け国債のよくある誤解
「元本割れする」「途中で解約できない」といった個人向け国債に関する誤解は少なくありません。正しい仕組みを理解したうえで、安全資産としての位置づけを検討することが大切です。
誤解1:元本割れするリスクが大きい
個人向け国債は国が元本の支払いを行う設計であり、株式や投資信託のように市場価格の変動で元本が大きく増減する仕組みではありません。ただし、物価上昇局面では実質的な価値が目減りする可能性がある点には留意が必要です。
誤解2:満期まで一切解約できない
発行から1年が経過すれば中途換金が可能です。ただし中途換金調整額が差し引かれる点は、あらかじめ理解しておく必要があります。
誤解3:固定金利型のほうが常に有利
金利が上昇していく局面では、実勢金利に連動する変動10年のほうが追随しやすいと考えられます。どちらが有利かは今後の金利動向によって変わるため、一概にはいえません。
個人向け国債の詳細な制度内容は変更される場合があるため、最新の情報は財務省「個人向け国債」公式ページ(https://www.mof.go.jp/jgbs/individual/kojinmuke/)でご確認いただくとともに、税務面についてはご不明な点があれば税理士など専門家へのご相談もあわせてご検討ください。
個人向け国債は、安全資産としての性格を持ちながら、変動10年のように金利上昇局面に追随しやすい設計を備えた選択肢のひとつです。ご自身の資金計画に合わせた組み入れ方について、FPisでは資産運用や安全資産の配分に関するご相談を承っております。ご興味のある方はお問い合わせページよりお気軽にご連絡ください。
個人向け国債って本当に安全なの?
最低いくらから買えるの?
変動10年と固定5年、どっちがいいの?
途中で解約できるの?
中途換金するといくら引かれるの?
利子には税金がかかるの?
個人向け国債はどこで買えるの?
毎月買えるって本当?
物価が上がったら国債は目減りするの?
NISAやiDeCoと組み合わせて持てるの?
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。FP相談・保険・証券をワンストップで提供します。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
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- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
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📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
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