定年退職後の働き方と失業手当(基本手当)|受給額・給付日数・再就職手当・求職活動の進め方と働き方の選択肢を渋谷の独立系FPが解説
定年退職を迎えると、多くの方が「失業手当(雇用保険の基本手当)を受け取りながら、その途中か満了後に再就職する」という流れをたどります。けれど、いくら・何日もらえるのか、途中で就職したら手当はどうなるのか、受給するには何をすればよいのか——意外と知られていません。この記事では、定年退職後の失業給付の仕組みと、再就職活動のポイント、そして定年後の働き方の選択肢まで、渋谷の独立系FPがわかりやすく整理します。
📌 この記事の要点
- 定年退職後の失業手当(基本手当)は、退職前賃金の約50〜80%。所定給付日数は被保険者期間に応じて90日・120日・150日。
- 定年退職は「給付制限なし」。待期7日が過ぎれば受給でき、自己都合退職のような待機期間がない。
- 60〜64歳の定年退職者は、すぐ働かない場合に「受給期間の延長」(最長1年)を申請できる。離職翌日から2か月以内が期限。
- 65歳以上で退職した場合は「高年齢求職者給付金」という一時金(50日分または30日分)。老齢年金と同時に受け取れる。
- 受給途中で再就職すると「再就職手当」が出る。残りの給付日数が多いほど手当も多く、早く決めるほど得になりやすい。
定年退職後、多くの人がたどる「失業手当→再就職」の流れ
定年退職後は、ハローワークで求職申込みをして失業手当(基本手当)を受給しながら再就職活動を行い、その途中または満了後に再就職する、という流れが一般的です。手当は「働く意思と能力があり、求職活動をしている」ことが受給の前提で、ただ退職しただけでは受け取れません。
定年退職後の典型的な流れは次のとおりです。
- 会社から離職票を受け取る
- ハローワークで求職の申込みと受給資格の決定を受ける
- 待期7日間を経て、失業認定を受けながら基本手当を受給
- 求職活動を続け、途中または満了後に再就職
失業手当は「失業している間の生活を支えながら、再就職を後押しする」ための給付です。受給するには求職活動が前提になる点を、まず押さえておきましょう。
失業手当(基本手当)はいくら・何日もらえる?
基本手当の日額は「退職前6か月の賃金から計算した賃金日額×給付率(約50〜80%)」で決まり、年齢ごとに上限額があります(毎年8月に改定)。定年退職などの一般離職者の所定給付日数は、雇用保険の被保険者期間に応じて90日・120日・150日です。
受給額のイメージ
基本手当の日額は、退職前6か月の賃金(賞与除く)をもとにした「賃金日額」に、給付率(おおむね50〜80%。賃金が低い人ほど率が高い)を掛けて計算します。年齢区分ごとに日額の上限・下限が定められ、毎年8月1日に改定されます。具体的な金額はハローワークで確認できます。
所定給付日数(定年退職などの一般離職者)
定年退職は、倒産・解雇による離職(特定受給資格者)とは異なり、「一般の離職者」として扱われます。所定給付日数は年齢に関係なく、被保険者であった期間で決まります。
| 被保険者であった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
長く同じ会社で勤め上げて定年を迎えた方は、150日(約5か月分)が目安になります。
受給額の概算イメージ(前提を置いた試算):賃金日額が1万円・給付率50%なら、基本手当日額は約5,000円。給付日数150日なら総額は約75万円が目安です。実際の賃金日額・給付率・上限額は人によって異なるため、正確な額はハローワークでご確認ください。
65歳以上で退職したら「高年齢求職者給付金」(一時金)
65歳以上で離職した場合は、基本手当ではなく「高年齢求職者給付金」という一時金を受け取ります。被保険者期間が1年以上なら基本手当日額の50日分、1年未満なら30日分。老齢年金と同時に受け取れるのが大きな特徴です。
64歳までと65歳以上では、受け取る給付の種類が変わります。65歳以上で退職した方が対象となるのが「高年齢求職者給付金」です。基本手当のように分割で受け取るのではなく、まとまった一時金として支給されます。
| 被保険者であった期間 | 支給額(高年齢求職者給付金) |
|---|---|
| 1年以上 | 基本手当日額の50日分 |
| 1年未満 | 基本手当日額の30日分 |
年金と同時に受け取れる:65歳未満の基本手当は老齢年金と同時に受け取れない(調整される)一方、高年齢求職者給付金は老齢年金と併給できます。65歳を境に取り扱いが変わるため、退職時期の検討材料になります。
定年退職ならではの2つの優遇
定年退職には、自己都合退職にはない2つの優遇があります。1つは「給付制限がない」こと。待期7日が過ぎればすぐ受給対象になります。もう1つは「受給期間の延長」。60〜64歳の定年退職者は、しばらく休んでから求職する場合に受給期間を最長1年延長できます。
① 給付制限がない
自己都合退職では、待期7日のあとに一定の給付制限期間があり、その間は手当が出ません。一方、定年退職は給付制限の対象外。待期7日が経過すれば、すぐに基本手当の受給が始まります。
② 受給期間の延長(しばらく休みたい人向け)
失業手当を受け取れる期間(受給期間)は、原則として離職日の翌日から1年です。しかし60〜64歳で定年退職した方は、「定年後しばらくは休養したい」という場合に、受給期間を最長1年延長できる特例があります。延長すると、休養後に求職活動を始めてからでも手当を受け取れます。
この延長を使うには、離職日の翌日から2か月以内に「受給期間延長申請書」と離職票をハローワークへ提出する必要があります。期限を過ぎると申請できないため、休養を考えている方は早めに手続きしましょう。
失業手当を受け取るには?求職活動実績と認定日のルール
基本手当は「失業の認定」を受けた日について支給されます。原則4週間に1回の認定日にハローワークへ行き、その間に原則2回以上の求職活動実績を申告する必要があります。求人への応募、ハローワークの職業相談・セミナー参加などが実績として認められます。
失業手当は、ただ待っていれば振り込まれるものではありません。「働く意思と能力があり、実際に求職活動をしている」ことを定期的に確認する仕組みになっています。
認定日と求職活動実績
- 失業認定日:原則4週間に1回、指定された日にハローワークへ行き、失業認定申告書を提出します。
- 求職活動実績:認定対象期間中に、原則2回以上の求職活動が必要です(受給資格決定後の最初の認定など、回数の扱いは状況により異なります)。
求職活動として認められる例
- 求人への応募(書類選考・面接など)
- ハローワークでの職業相談・職業紹介・各種セミナーや講習の受講
- 許可・届出のある民間機関での職業相談、再就職支援サービスの利用 など
単に求人情報を「見ただけ」は実績になりません。相談や応募など、行動を伴うものが対象です。
途中で再就職したら?「再就職手当」で早期就職が得になる
基本手当の受給途中で安定した職に就くと、残りの給付日数に応じて「再就職手当」が支給されます。支給残日数が所定給付日数の3分の2以上なら残日数の70%、3分の1以上なら60%(いずれも基本手当日額分)。早く再就職するほど手当が多くなり、「もらい切ってから就職」より得になることが少なくありません。
「失業手当をもらい切ってから就職した方が得」と考える方もいますが、そうとは限りません。早期に再就職すると再就職手当が受け取れるためです。
| 再就職した時点の支給残日数 | 再就職手当の額(目安) |
|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上が残っている | 支給残日数 × 70% ×(基本手当日額) |
| 所定給付日数の3分の1以上が残っている | 支給残日数 × 60% ×(基本手当日額) |
つまり、残り日数が多い「早い段階」で決めるほど、受け取れる手当が大きくなります。手当をすべて使い切るより、早く再就職して再就職手当を受け取り、新しい収入を得る方が、トータルで有利になるケースは多いものです。
再就職手当には、1年を超えて勤務する見込みがあること、再就職先が前の事業主と密接な関係にないこと、待期満了後の就職であることなど、一定の支給要件があります。受給の可否はハローワークでご確認ください。
再就職活動を成功させる5つのポイント
定年後の再就職は、現役時代の転職とは進め方が異なります。希望条件の優先順位づけ、職務経歴の棚卸し、年金や社会保険との兼ね合いの確認、ハローワークや支援機関の活用、健康と生活リズムの維持——この5点を意識すると、納得感のある再就職につながります。
1. 「何のために働くか」を先に決める
収入の補填か、社会とのつながりか、生きがいか。目的によって選ぶ仕事も働く時間も変わります。条件をすべて満たす仕事は多くないため、優先順位をつけることが第一歩です。
2. これまでの経験・スキルを棚卸しする
長年培った専門性やマネジメント経験は強みです。「自分には何ができるか」を言語化しておくと、応募書類や面接で伝わりやすくなります。
3. 年金・社会保険・税金との関係を確認する
働き方や収入によって、在職老齢年金による年金の調整、社会保険への加入、税負担などが変わります。手取りベースで考えることが大切です(詳しくは関連記事もご覧ください)。
4. ハローワークや支援機関を使い倒す
ハローワークには高年齢者向けの相談窓口やセミナーがあります。求職活動の実績にもなり、情報収集の場としても有効です。
5. 健康と生活リズムを保つ
定年後に生活リズムが崩れると、再就職後の適応も難しくなります。求職期間中も一定のリズムを保つことが、長く働き続ける土台になります。
定年後の「働き方」5つの選択肢
定年後の働き方は再就職だけではありません。継続雇用(再雇用)、別の会社への再就職、業務委託・フリーランス、起業、地域・社会貢献活動など、複数の選択肢があります。収入・年金・健康・生きがいのバランスから、自分に合った形を選ぶことが大切です。
- 継続雇用(再雇用):慣れた職場で働き続けられる一方、役割や給与が変わることが多い。安定を重視する方に。
- 別の会社へ再就職:新しい環境で経験を活かす。失業手当・再就職手当の対象になり得る。
- 業務委託・フリーランス:専門性を活かして自分のペースで働く。収入は不安定になりやすく、社会保険・税の自己管理が必要。
- 起業・開業:やりがいは大きいが、リスクも大きい。退職金や資産とのバランスを慎重に。
- 地域・社会貢献、シルバー人材センター等:収入より生きがい・つながりを重視する働き方。
どの選択肢にも、収入だけでなく年金・社会保険・税金、そして健康や生きがいが関わります。「いくら稼ぐか」だけでなく「どう過ごしたいか」から逆算して考えると、納得のいく選択につながります。
定年退職後の失業手当に関するよくある質問
定年退職でも失業手当はもらえますか?
失業手当はいくらもらえますか?
何日分もらえますか?
65歳以上で退職した場合はどうなりますか?
すぐに働かず、しばらく休みたい場合は?
受給するには何をすればよいですか?
途中で再就職すると手当はどうなりますか?
もらい切ってから就職した方が得ですか?
失業手当をもらいながらアルバイトはできますか?
年金と失業手当は両方もらえますか?
定年後の「働き方」と「お金」、両面から一緒に設計しませんか?
FPisは、失業給付・年金・退職金・再就職後の家計まで、定年後のライフプランをワンストップでサポートします。初回相談は90分無料です。
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。定年後の働き方・年金・退職金の設計まで、ワンストップで伴走します。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
- ワンストップ対応:FP相談・証券・保険を一貫サポート
- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
- 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・社会保険労務士との連携体制
- 初回相談90分無料:伴走サポート1年間も無料
📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。
出典・参考(公的機関)
本記事の制度・数値は、厚生労働省・ハローワークが公表する情報に基づいています。給付額や制度は改正される場合があり、個別の受給可否や金額はお近くのハローワークでご確認ください。
- ハローワークインターネットサービス「基本手当について」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_basicbenefit.html
- 厚生労働省「雇用保険制度(基本手当・失業等給付)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufu/
- ハローワークインターネットサービス「再就職手当のご案内」 https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_saishushoku.html
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の制度利用や就労・金融商品の契約を勧誘するものではありません。雇用保険の給付額・給付日数・支給要件は法改正や毎年の改定により変わることがあり、記載は概要です。個別の受給可否・金額・手続きはお近くのハローワークへ、年金・社会保険・税務に関わる判断は社会保険労務士・税理士など各分野の専門家へのご相談をお勧めします。

