個人事業主・フリーランスのiDeCo出口戦略|退職金がない人の受け取り方
会社員のように退職金が出ない働き方を選んだ方にとって、iDeCoは「自分でつくった退職金」になります。実は、積み立てたあとの受け取り方で、手元に残る金額は変わります。この記事では、個人事業主・フリーランスの方が迷いやすい一時金と年金の選び方を、税金の仕組みとあわせて整理します。
📌 この記事の要点
- 個人事業主には会社の退職金がないため、iDeCoと小規模企業共済が「自分の退職金」になる
- iDeCoは一時金・年金・併用の3通り。一時金は退職所得、年金は雑所得として課税される
- 加入期間20年なら退職所得控除は800万円。残高がこの範囲なら一時金の税負担は小さくなりやすい
- 小規模企業共済など、ほかの受け取りと同じ年に重ねない工夫が、手取りを左右する
- 受け取り方は「年齢・残高・ほかの収入」を一覧にしてから決める
個人事業主・フリーランスのiDeCoが「自分の退職金」になる理由
個人事業主・フリーランスは勤務先の退職金制度がなく、公的年金も国民年金が中心です。iDeCoは自分で積み立てて老後に受け取れる制度のため、退職金の代わりとして準備する方が多くなっています。
会社員であれば、定年や退職のタイミングで退職金や企業年金を受け取れる場合があります。一方、個人事業主やフリーランスは、事業を辞めるときに受け取れるお金を自分でつくる必要があります。その手段としてよく使われるのが、iDeCo(個人型確定拠出年金)と、小規模企業共済です。
積み立てのときは「いくら入れるか」に目が向きがちですが、受け取りのときの「いつ・どの形で」で、税金や手取りが変わります。これが出口戦略です。
⚠️ 本記事は2026年11月時点の一般的な制度の説明です。税務・法律に関する個別の判断は、税理士・税務署へのご相談をお勧めします。
iDeCoの受け取り方は3通り|一時金・年金・併用を比べる
iDeCoの受け取りは、一時金として一括、年金として分割、その両方を組み合わせる併用の3通りです。受け取り開始は原則60歳から、遅くとも75歳までに始めます。
| 受け取り方 | 税金の区分 | 使える控除 | 向いている考え方 |
|---|---|---|---|
| 一時金 | 退職所得 | 退職所得控除 | 残高が控除の範囲に収まる、まとまった資金が必要 |
| 年金 | 雑所得 | 公的年金等控除 | 毎年の収入を安定させたい、公的年金が少なめ |
| 併用 | それぞれ | 両方 | 一部をまとまった資金に、残りを年金に回したい |
受け取り開始できる年齢は、iDeCoの通算加入者等期間によって決まります。10年以上なら60歳から、8年以上10年未満なら61歳、6年以上8年未満なら62歳、4年以上6年未満なら63歳、2年以上4年未満なら64歳、2年未満なら65歳からです(出典:iDeCo公式サイト)。
一時金で受け取る場合の税金|退職所得控除の計算
一時金は退職所得として課税されます。控除額は加入期間を勤続年数とみなし、20年以下は1年あたり40万円(最低80万円)、20年超は800万円に超過分1年あたり70万円を足した額です。
| 加入期間 | 退職所得控除額 |
|---|---|
| 10年 | 400万円 |
| 15年 | 600万円 |
| 20年 | 800万円 |
| 25年 | 1,150万円 |
| 30年 | 1,500万円 |
課税の対象になるのは、受け取った額から退職所得控除を引いた残りの2分の1です。たとえば加入期間20年で一時金1,000万円を受け取る場合、(1,000万円−800万円)×1/2=100万円が課税退職所得となり、所得税・復興特別所得税・住民税を合わせて15万円前後が目安です(ほかの所得や条件により変わります)。
事例:フリーランスのデザイナーAさん(50代・女性)
Aさんは30代から20年、iDeCoを続けてきました。残高は約800万円で、退職所得控除と同額です。この場合、一時金で受け取っても課税退職所得はゼロになり、所得税・住民税はかからない計算になります。一方で、同じ年に小規模企業共済も一括で受け取ると、控除の考え方が変わり、課税される額が出る場合があります。Aさんは受け取る年を分ける方向で検討しました。
※事例は、実際のご相談をもとにした架空のものです。
年金で受け取る場合の税金と注意点
年金受け取りは雑所得となり、公的年金等と合算して課税されます。公的年金等控除が使えますが、受け取る年の収入全体で税や社会保険料の負担を確認することが大切です。
年金として受け取る場合、iDeCoの給付は公的年金等と合算されて雑所得の計算に入ります。国民年金のみの方は公的年金の額が小さいため、控除の範囲内に収まりやすいという考え方もあります。ただし、事業の収入が続いている間は、その所得と合わせた全体の負担で見る必要があります。
- 年金受け取りは、毎年の受け取りに手数料がかかる場合がある
- 受け取り中も残高は運用される。運用結果で受け取り総額が変わる可能性がある
- 受け取り年数・金額の設定は、運営管理機関によって選べる範囲が異なる
小規模企業共済など、ほかの「退職金」と受け取りを重ねない
個人事業主の備えには、iDeCoのほかに小規模企業共済があります。どちらも一括で受け取ると退職所得となるため、同じ年に重ねない工夫が手取りを左右します。
小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者のための「退職金制度」として、中小機構が運営しています。共済金を一括で受け取ると退職所得、分割で受け取ると公的年金等の雑所得として扱われます(出典:中小機構 小規模企業共済)。
| パターン | 考え方 |
|---|---|
| 同じ年に両方を一時金で受け取る | 控除の計算が複雑になり、課税される額が増えることがある |
| 年を分けて一時金で受け取る | 受け取り間隔のルールを確認したうえで、負担を抑えられる場合がある |
| 一方を年金、もう一方を一時金にする | 区分が分かれるため、負担を分散しやすい |
退職金の受け取り間隔に関するルールは、税制改正で見直しが入る場合があります。受け取りの前に、国税庁の最新情報で確認してください。受け取る順番の考え方は、退職金・企業年金・iDeCoを受け取る順番と空ける年数でも整理しています。
iDeCoの受け取り方を決める4つの手順
受け取り方は、加入期間と残高の確認、ほかの受け取りの一覧化、控除額との比較、時期の決定の順で整理します。数字を並べると判断しやすくなります。
- 加入期間と残高を確認する:iDeCoの運営管理機関のサイトで、通算加入者等期間と現在の残高を確認します。
- ほかの受け取りを一覧にする:小規模企業共済、国民年金基金、保険の満期金など、受け取る時期と金額を並べます。
- 退職所得控除と比べる:加入期間から控除額を計算し、残高が範囲内かを見ます。
- 受け取る年を決める:事業収入の見込みも踏まえ、年を分けるか、併用にするかを検討します。
📌 このテーマを、ご自身の数字で相談したい方へ:退職金の受け取り方・運用の相談(初回90分無料・対面/オンライン)
よくある質問(FAQ)
個人事業主・フリーランスのiDeCoの受け取りについて、よくいただく10の質問に短くお答えします。
個人事業主のiDeCoは、いつから受け取れますか?
原則60歳から受け取れますが、加入期間が10年に満たない場合は開始できる年齢が後ろにずれます。
通算加入者等期間が10年以上なら60歳から、8年以上10年未満なら61歳、6年以上8年未満なら62歳、4年以上6年未満なら63歳、2年以上4年未満なら64歳、2年未満なら65歳からです。受け取りは75歳までに始める必要があります。
iDeCoは一時金と年金のどちらが得ですか?
一概には言えません。加入期間や残高、ほかの退職金的なお金の有無で変わります。
一時金は退職所得、年金は雑所得として課税されます。残高が退職所得控除の範囲に収まるなら一時金は税負担が小さくなりやすい一方、他の受け取りと重なると不利になる場合があります。ご自身の数字で比べることをお勧めします。
退職所得控除はiDeCoでも使えますか?
はい、iDeCoを一時金で受け取る場合は退職所得として扱われ、退職所得控除が使えます。
控除額は加入期間を勤続年数とみなして計算します。加入期間が20年以下なら1年につき40万円(80万円に満たない場合は80万円)、20年を超える部分は1年につき70万円です。
個人事業主に退職金はありますか?
雇用されて働く方のような会社の退職金制度はありません。
そのため、iDeCoや小規模企業共済などで自分で準備する形になります。どのくらい備えるかは、老後の生活費と公的年金の見込み額から逆算して考えます。
小規模企業共済とiDeCoは同じ年に受け取ってよいですか?
同じ年に重ねると税負担が重くなる場合があるため、年を分けて検討することをお勧めします。
どちらも一時金で受け取ると退職所得として扱われ、控除の計算が複雑になります。受け取り間隔に関するルールもあるため、国税庁の情報の確認や、税理士・税務署への相談をお勧めします。
年金で受け取ると税金はかかりますか?
かかる場合があります。公的年金等と合算して、雑所得として課税されます。
公的年金等控除が使えますが、公的年金の額が大きい方は控除枠を使い切ることがあります。受け取る年の収入全体で確認することが大切です。
事業を続けながらiDeCoを受け取っても問題ありませんか?
受け取り開始の年齢と加入期間の条件を満たしていれば、事業を続けていても受け取れます。
ただし、収入が増える年は税や社会保険料の負担が変わることがあります。国民健康保険料など自治体ごとに扱いが異なる項目もあるため、事前の確認をお勧めします。
iDeCoは一部だけ一時金にして、残りを年金にできますか?
できます。一時金と年金を併用する受け取り方があります。
併用の設定方法や回数は運営管理機関によって異なる場合があります。加入している金融機関の受取手続きの案内で確認してください。
受け取る前に、何を準備すればよいですか?
まず、加入期間と残高、受け取りたい年齢を確認することから始めます。
そのうえで、小規模企業共済や国民年金基金など、ほかの受け取りの時期と金額を一覧にします。受け取り手続きは金融機関への裁定請求が必要で、書類の準備に時間がかかるため、余裕をもって進めてください。
相談では何を持っていけばよいですか?
iDeCoの運用状況がわかる書類と、ねんきん定期便があると相談がスムーズです。
ほかに、小規模企業共済や保険の資料、直近の確定申告書の控えがあると、受け取り時期と税金をあわせて試算しやすくなります。FPisの初回相談は90分無料です。
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきました。iDeCoなど受け取り方の整理について、FP相談・保険・証券をワンストップでご相談いただけます。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の立場:特定の金融機関に雇用されていない独立系FPとして、選択肢を比べてご提案します。報酬の出どころは「相談料が無料の理由」のページに開示しています
- ワンストップ対応:FP相談・証券・保険を一貫サポート
- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
- 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制
- 初回相談90分無料:伴走サポート1年間も無料
📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の金融商品の勧誘や税務・法律上の助言ではありません。制度・税率は改正される場合があるため、最新情報は国税庁・iDeCo公式サイト等でご確認ください。税務・法律に関する個別の判断は、税理士・弁護士などの専門家にご相談ください。投資にはリスクがあり、元本を割り込む可能性があります。

