専業主婦期間が長い人の年金|50代から増やせる3つの方法をFPが解説
「ねんきん定期便を見たら、思っていたより少なかった」——専業主婦の期間が長かった方から、よく伺う言葉です。第3号被保険者の期間は保険料を納めた期間として扱われる一方、厚生年金の上乗せは増えません。だから、受け取る年金は基礎年金が中心になります。ただ、50代からでも取れる手はいくつも残っています。この記事では、増やす方法を3つに整理したうえで、足りない分を貯蓄でどう埋めるかまで一緒に見ていきます。
📌 この記事の要点
- 第3号被保険者の期間は保険料納付済期間として扱われる。ただし厚生年金の上乗せは増えない
- まずねんきん定期便・ねんきんネットで自分の見込額を確認する。話はそこから始まる
- 方法①厚生年金に加入して働く。50代からの数年でも、働いた分だけ上乗せが増える
- 方法②国民年金の任意加入・追納。40年に満たない期間があれば、埋められる余地がある
- 方法③受け取りを遅らせる(繰り下げ)。1か月あたり0.7%、最大75歳まで増やせる
専業主婦期間が長い人の年金はどうなるのか
会社員に扶養されている配偶者は第3号被保険者となり、自分で保険料を納めなくても国民年金の保険料納付済期間として扱われます。ただし増えるのは老齢基礎年金の部分だけで、厚生年金の上乗せはありません。そのため、受け取る年金は基礎年金が中心になり、会社員として長く働いた人との差が生まれます。
3つの被保険者の違い
| 区分 | 誰が該当するか | 受け取る年金 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業・学生・無職の方など | 老齢基礎年金 |
| 第2号被保険者 | 会社員・公務員 | 老齢基礎年金+老齢厚生年金 |
| 第3号被保険者 | 第2号に扶養されている配偶者 | 老齢基礎年金 |
第3号被保険者の期間は、自分で保険料を納めなくても保険料納付済期間として扱われます。これは大きな仕組みです。ただし、増えるのは基礎年金の部分だけで、厚生年金の上乗せはありません。
💡 老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年(480か月)すべて納めて満額になります。第3号の期間はこの480か月にカウントされるため、「損をしている」わけではありません。ただ、上乗せがないという一点が、老後の家計に効いてきます。
まず「自分の見込額」を確認する
対策を考える前に、自分がいくら受け取れるのかを確認します。毎年届くねんきん定期便には、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。ねんきんネットを使えば、働き方を変えた場合の試算もできます。ここを見ないまま対策を考えると、必要のない備えに費用をかけることになりかねません。
確認する場所は2つ
- ねんきん定期便:毎年の誕生月に届きます。50歳以上の方には、60歳まで現在の加入状況が続いた場合の見込額が記載されます
- ねんきんネット:働き方や受給開始年齢を変えた場合の試算ができます
見るべき3つの数字
- 老齢基礎年金の見込額。満額に近いか、足りていないか
- 老齢厚生年金の見込額。働いていた期間の分が反映されています
- 保険料納付済期間の合計。480か月に満たない場合、埋められる余地があります
⚠️ 20歳から60歳のあいだに、学生時代の未納、退職して第1号になった時期の未納、届出漏れによる第3号の空白があると、その分だけ基礎年金が減ります。とくに配偶者が退職・転職したときの第3号の届出漏れは、気づかないまま数年分の空白になっていることがあります。定期便で確認してください。
方法① 厚生年金に加入して働く
50代から厚生年金に加入して働くと、その期間の報酬に応じて老齢厚生年金が上乗せされます。加入期間が短くても、働いた分だけ上乗せされる点が特徴です。さらに厚生年金への加入中は、健康保険の保険料負担のあり方も変わります。働き方を選ぶときに、あわせて確認しておきたい点です。
短い期間でも増える
老齢厚生年金は、加入期間中の報酬と加入月数に応じて計算されます。50代から5年、10年でも、その分は上乗せされます。ゼロからの積み上げではなく、加算だという点が重要です。
加入の条件を確認する
短時間勤務でも、勤務先の規模や労働時間などの要件を満たせば厚生年金の対象になります。適用の範囲は制度改正で広がってきているため、「パートだから対象外」と決めつけず、勤務先に確認するのが確実です。
💡 「年収の壁」との関係:厚生年金に加入すると保険料の負担が生じ、手取りは一時的に減ります。一方で、将来の年金は増え、傷病手当金など健康保険の給付も受けられるようになります。手取りだけで判断すると、見えなくなる部分があります。
60歳以降も加入できる
厚生年金は原則70歳まで加入できます。60歳を過ぎてから働く場合も、加入していれば年金は増えていきます。
方法② 国民年金の任意加入・追納
保険料納付済期間が480か月に満たない場合、60歳から65歳までのあいだ国民年金に任意加入して不足分を埋められます。また、免除や納付猶予を受けた期間は10年以内なら追納できます。いずれも老齢基礎年金を満額に近づける手段で、生涯にわたって受け取る年金が増える点が特徴です。
任意加入
- 対象:60歳以上65歳未満で、保険料納付済期間が480か月に満たない方(一定の要件があります)
- 効果:納めた月数の分だけ老齢基礎年金が増えます
- 注意:申し出た月からの加入で、さかのぼることはできません
追納
- 対象:保険料の免除・納付猶予・学生納付特例を受けた期間
- 期限:承認された月の前10年以内
- 注意:3年度目以降に追納する場合は加算額が上乗せされます
⚠️ 未納は追納できません。納付期限から2年を過ぎた未納分は納められず、その期間は年金額に反映されません。まずは定期便で、未納なのか免除なのかを確認してください。
どちらを優先するか
老齢基礎年金は生涯にわたって受け取れるため、期間を埋める効果は長く続きます。手元資金に余裕がある範囲で、まず追納できる期間があればそちらから、次に任意加入を検討する、という順番が考えやすいでしょう。
方法③ 受け取りを遅らせる(繰り下げ受給)
年金の受け取りを65歳より後にすると、1か月遅らせるごとに0.7%増えます。最大75歳まで遅らせることができ、その場合の増額率は84%です。増えた金額は生涯続きます。ただし待っているあいだの生活費を別に用意する必要があるため、貯蓄や働く期間とあわせて考える判断になります。
増える割合
| 受給開始 | 増額率 |
|---|---|
| 66歳 | +8.4% |
| 70歳 | +42% |
| 75歳 | +84% |
1か月あたり0.7%、最大120か月(10年)まで遅らせられます。増えた金額は、その後ずっと続きます。
専業主婦期間が長い方にとっての意味
基礎年金が中心になる方の場合、繰り下げは数少ない「上乗せを作れる手段」です。しかも老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げられます。片方だけ遅らせるという選択もできます。
⚠️ 待っているあいだの生活費は、貯蓄や働いて得る収入でまかなう必要があります。また、繰り下げ待機中は加給年金や振替加算が受け取れないなど、細かな注意点があります。ご自身のケースは年金事務所での確認をおすすめします。
年金で足りない分を、貯蓄でどう埋めるか
年金の見込額が分かったら、老後の生活費との差額を確認します。差額に受け取る年数をかけたものが、貯蓄で用意する目安です。すべてを運用で埋めようとせず、働く期間を延ばす、支出を見直す、年金を増やすといった手段を組み合わせるほうが、現実的な計画になります。
差額を出す手順
- ねんきん定期便から年間の年金見込額を確認する
- 今の生活費から、退職後に減る費用を差し引いて老後の年間支出を見積もる
- 差額(年間)を出す
- 差額 ×(想定する年数)= 貯蓄で埋める目安
埋め方は4つある
- 年金を増やす:厚生年金に加入して働く、任意加入・追納、繰り下げ
- 働く期間を延ばす:収入がある期間は、取り崩しが始まりません
- 支出を見直す:固定費の削減は、毎年効き続けます
- 資産を運用する:10年以上使わないお金の部分に限って考えます
💡 相談の現場から:「差額を運用だけで埋めよう」とすると、必要な利回りが現実的でない水準になることがあります。35年の実務のなかで感じるのは、4つを少しずつ組み合わせるほうが、無理なく届くということです。
世帯で考える――配偶者の年金と、その先の見通し
夫婦の場合、世帯として受け取る年金と、どちらかが亡くなったあとの年金は金額が変わります。遺族厚生年金は死亡した方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が目安で、自分の老齢厚生年金がある場合は調整されます。世帯の合計だけでなく、その先の見通しまで確認しておくことが大切です。
2つの時期を分けて見る
| 時期 | 受け取る年金 |
|---|---|
| 2人とも健在 | ご自身の年金+配偶者の年金 |
| 配偶者が先に亡くなったあと | ご自身の年金+遺族厚生年金(調整あり) |
遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3が基本です。ご自身に老齢厚生年金がある場合は、その分と調整されます。
⚠️ 世帯の年金は、どちらかが亡くなると合計としては減ります。一方で生活費は半分にはなりません。専業主婦期間が長かった方ほど、この段階の家計を早めに見ておく価値があります。
50代のうちに確認しておきたいこと
- ご自身とご配偶者、両方のねんきん定期便を並べて見る
- 第3号の届出漏れがないかを確認する
- 働き方を変える予定があるなら、ねんきんネットで試算してみる
個別の受給要件や金額は事情によって変わります。正確な確認は年金事務所へ、家計全体の設計はFPへ——という使い分けが実務的です。
よくある質問(FAQ)
第3号被保険者の期間は年金に反映されますか?
自分の年金見込額はどこで確認できますか?
50代から厚生年金に加入しても意味はありますか?
国民年金の任意加入は誰ができますか?
未納期間はあとから納められますか?
繰り下げ受給はどれくらい増えますか?
基礎年金と厚生年金は別々に繰り下げられますか?
第3号の届出漏れがあった場合はどうなりますか?
配偶者が亡くなったあと、年金はどうなりますか?
年金と貯蓄のバランスを相談できますか?
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。年金の見込額の確認から老後資金の設計までワンストップで提供します。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
- ワンストップ対応:FP相談・証券・保険を一貫サポート
- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
- 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制
- 初回相談90分無料:伴走サポート1年間も無料
📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。
年金の見通しは、渋谷の伴走型FPへ
ねんきん定期便を一緒に読み解くところから始めませんか。
初回相談90分無料・オンライン対応。渋谷のFP事務所FPisが、あなたの状況に合わせて一緒に考えます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却・保有を推奨するものではありません。制度・税制・数値は執筆時点の公開情報にもとづいており、今後変更される場合があります。
※税務・法務の取り扱いは個別事情により異なります。実際の判断にあたっては、税理士・弁護士・司法書士など各分野の専門家にご相談いただくことをお勧めします。投資には元本割れなどのリスクがあり、最終的なご判断はご自身の責任でお願いいたします。

