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年金が始まるまでの5年間|60歳から65歳をどう過ごすか

年金が始まるまでの5年間|60歳から65歳をどう過ごすか

「60歳で定年、年金は65歳から」——この5年の空白について、多くの方が気づいたときにはもう目前に来ているとおっしゃいます。退職金の使い方や年金の受け取り方は情報がたくさんありますが、その手前にある「つなぎの5年」だけを扱った話は意外と少ないのです。ここをどう埋めるかで、そのあとの年金の受け取り方まで変わります。この記事では、5年間の埋め方を選択肢ごとに並べます。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表/CFP・1級FP技能士

CFP1級FP技能士渋谷区独立系FP

📌 この記事の要点

  1. 公的年金の受給開始は原則65歳。60歳で退職すると、5年間を別の収入で埋めることになる
  2. 埋め方は大きく働く・取り崩す・年金を前倒しするの3つ。組み合わせて使うのが現実的
  3. 繰り上げ受給は減額が一生続く。5年を埋める手段としては、いちばん後に検討する
  4. 国民年金の納付月数が480月に満たない場合、60歳以降の任意加入で将来の年金を増やせる
  5. この5年の過ごし方が、65歳以降に繰り下げを選べるかどうかを左右する
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年金が始まるまでの5年間に、何が起きるか

老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始は原則65歳です。60歳で仕事が一区切りすると、その間の生活費を給与以外から用意することになります。この期間は健康保険や国民年金の扱いも変わるため、収入だけでなく支出の側も同時に動きます。

公的年金の受給開始年齢は原則65歳です。かつては60歳から支給される仕組みがありましたが、段階的な引き上げが進み、現在は多くの方が65歳からの受け取りになります。

一方で、定年や役職定年、再雇用の終了は60歳前後に置かれていることが多く、収入の区切りと年金の開始のあいだに数年の距離が生まれます。

この期間に同時に起きること

  • 給与収入が止まる、または大きく下がる
  • 健康保険が変わる:任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者のいずれかを選びます
  • 国民年金の扱いが変わる:60歳未満であれば第1号被保険者として納付が続きます
  • 支出は、すぐには下がらない:住居費や保険料などの固定費は、退職しても同じ額で続きます

💡 「5年」と一括りにしない:再雇用で働く2年と、完全に仕事を離れる3年では、家計の姿がまったく違います。年単位ではなく、いつからいつまでがどの状態かを書き出すことから始めます。

埋め方その1:働き続けて収入をつくる

5年間を埋める最も直接的な方法は、働き続けることです。再雇用、パート、業務委託など形はさまざまですが、収入があるだけでなく、厚生年金に加入できれば将来の年金額そのものが増えます。ただし在職老齢年金や給付の要件には注意が要ります。

この5年間を働いて埋めると、二重の効果があります。取り崩さずに済むことと、年金そのものが増える可能性があることです。

働き方によって変わること

働き方 厚生年金 考えどころ
再雇用・継続雇用 加入要件を満たせば加入 収入は下がることが多い。健康保険が続く点は大きい
短時間のパート 要件を満たせば加入 加入すると将来の老齢厚生年金が増える
業務委託・個人事業 加入しない 国民年金・国民健康保険を自分で納める

厚生年金に加入して働いた期間は、その分だけ老齢厚生年金の額に反映されます。金額としては大きくなくても、終身で受け取るお金が増える意味は小さくありません。

収入の減少を補う給付がある

60歳以降に賃金が下がった場合、雇用保険の高年齢雇用継続給付が受けられることがあります。要件や給付率は法改正で見直されてきているため、勤務先またはハローワークで現在の取り扱いを確認してください。

出典:厚生労働省「高年齢雇用継続給付」

埋め方その2:退職金と貯蓄から取り崩す

働く収入だけで足りない部分は、退職金や貯蓄から取り崩して埋めます。このとき大切なのは、取り崩す予定の金額を先に分けておくことです。値動きのある商品に置いたままだと、必要な時期に目減りしている可能性があります。

取り崩しは「仕方なくするもの」と受け取られがちですが、この5年間についていえば、あらかじめ計画された取り崩しです。性質が違います。

取り崩す額を先に確定させる

手順は単純です。

  1. 65歳までの各年の支出見込みを書く
  2. 各年の働いて得られる収入を書く
  3. 差額を合計する。これが取り崩す総額

この総額は、値動きのない場所に置いておくのが基本です。使う時期が決まっているお金を運用に回すと、必要なときに選べなくなります。

💡 Dさん(59歳)の例:再雇用で3年働き、その後2年は仕事を離れる予定でした。差額を計算すると、取り崩す総額は約600万円。「漠然と2,000万円くらい必要かと思っていたのが、書き出したら600万円でした。残りは触らなくていいと分かって、気持ちが軽くなりました」

取り崩す順番

複数の口座や商品がある場合、普通預金 → 定期預金 → 課税口座の運用商品 → NISA口座という順で考えるのが一般的です。非課税の枠は、できるだけ長く置いておくほうが効果が出やすいためです。

ただし、これは一般論です。相場の状況や、その方の資産の中身によって順番は変わります。

埋め方その3:年金の繰り上げ受給を使う

繰り上げ受給は60歳から年金を受け取れる仕組みですが、1か月あたり0.4%の減額が生涯続きます。5年間を埋める手段としては効果がありますが、その後の20年以上に影響が残るため、他の手段を検討したあとで考える選択肢です。

年金は60歳から受け取り始めることができます。これを繰り上げ受給といいます。

減額は一生続く

繰り上げると、1か月あたり0.4%減額されます(1962年4月2日以後生まれの方)。60歳ちょうどで受け取り始めると60か月分、つまり24%の減額です。この減額は、受け取り始めたあとずっと続きます。

受給開始 減額率 本来10万円の場合
60歳0か月 24.0%減 約7万6,000円
62歳0か月 14.4%減 約8万5,600円
64歳0か月 4.8%減 約9万5,200円
65歳0か月 — 10万円

⚠️ 繰り上げには、金額以外の影響もあります。請求後は取り消せません。また、繰り上げると障害基礎年金の請求ができなくなる、寡婦年金が受けられなくなるなど、他の給付との関係でも制約が生じます。手続きの前に、年金事務所で自分のケースについて確認してください。

それでも選ぶ場面はある

減額があるからといって、繰り上げが常に不利というわけではありません。手元の資産を大きく取り崩すよりも、年金を早く受け取るほうが落ち着くという判断はあり得ます。健康状態や、資産を残す必要があるかどうかによっても変わります。

大切なのは、他の手段を検討したうえで選ぶことです。順番として最後に置くのは、戻せない選択だからです。

出典:日本年金機構「年金の繰上げ受給」

この5年に、将来の年金を増やす手もある

60歳以降も国民年金に任意加入できる場合があります。納付月数が480月に満たない方が対象で、加入すると老齢基礎年金の額が増えます。付加年金の上乗せや、厚生年金に加入して働くことと合わせて考える余地があります。

この5年間は、単に埋めるだけの期間ではありません。将来の年金を増やせる期間でもあります。

国民年金の任意加入

老齢基礎年金は、20歳から60歳までの40年(480月)すべて納めて満額になります。未納や免除の期間があって480月に届かない方は、60歳以降に任意加入して納めることで、満額に近づけることができます。

専業主婦(夫)だった期間がある方、学生時代に納付の猶予を受けていた方などは、ねんきん定期便で納付月数を確認してみる価値があります。

付加年金の上乗せ

国民年金の第1号被保険者や任意加入被保険者は、月額400円の付加保険料を上乗せして納めることができます。付加年金として受け取れるのは「200円 × 納付月数」の年額です。少額ですが、終身で受け取れます。

💡 まず確認するのはねんきん定期便:50歳以上の方に届く定期便には、現在の加入条件が60歳まで続いた場合の見込額が記載されています。納付月数と見込額の両方が、この5年をどう使うかを決める材料になります。

出典:日本年金機構「国民年金の任意加入」

5年の過ごし方が、65歳以降の選択肢を決める

この5年間を働く収入や計画的な取り崩しで乗り切れると、65歳以降に繰り下げ受給という選択肢を残せます。逆に貯蓄を大きく減らしてしまうと、65歳から受け取らざるを得ず、増額の余地がなくなります。

あまり意識されていませんが、この5年の過ごし方は、65歳からの選択肢を広げたり狭めたりします。

繰り下げを選べるかどうか

年金は65歳より遅らせて受け取ることもできます。1か月あたり0.7%の増額で、75歳まで遅らせると84%の増額になります。これも生涯続きます。

ただし、繰り下げているあいだは年金が入りません。その期間の生活費を別に用意できる方だけが選べる選択肢です。

5年間の過ごし方 65歳時点の状態 選べる幅
働く収入で大部分を埋めた 資産が残っている 繰り下げも、65歳受給も選べる
計画どおりに取り崩した 予定した分だけ減った 家計次第で繰り下げも検討できる
想定より多く取り崩した 資産が大きく減った 65歳から受け取る前提になりやすい

長生きする側から見ると

Eさん(58歳)は、ご自身の母親が94歳まで健在だったこともあり、「自分も長く生きる前提で考えたい」とおっしゃいました。その場合、終身で受け取れる年金の月額を上げておくことの意味は大きくなります。

「5年間を頑張って働くのは、そのあとの30年のためだと思うようにしました」。この5年は、後半のための準備期間としても見られます。

いつから準備を始めるか

準備の起点は55歳前後です。ねんきん定期便で見込額を確認し、60歳以降の働き方の見通しを立て、5年間の収支の差額を出す。この3つが済んでいれば、60歳を迎えたときに慌てずに済みます。

この5年の準備は、60歳になってから始めると選択肢が減ります。働き方の選択も、勤務先との相談も、時間が要るからです。

55歳前後にやっておくこと

  1. ねんきん定期便を開く:納付月数と見込額を確認します。50歳以上の方には見込額が記載されています
  2. 60歳以降の働き方の見通しを立てる:勤務先の再雇用制度の内容、収入がどのくらいになるかを確認します
  3. 5年間の収支の差額を出す:支出見込みから収入見込みを引きます。これが取り崩す総額です

💡 この3つは、紙1枚に収まります。完璧である必要はありません。数字が入っていれば、あとから入れ替えるだけで済みます。

ひとりで抱えなくてよい

この時期のご相談は、「決めてほしい」ではなく「一緒に並べてほしい」というものが多くなります。制度が複数にまたがるため、ひとつずつ調べていると全体像が見えにくいのです。

FPis(エフピス)では、年金の見込額・退職金・毎月の収支を並べて、5年間の姿を一枚にするところからお手伝いしています。

よくある質問

60歳から65歳までの期間について、ご相談の場でよくいただく質問をまとめました。年金の受給開始と、その間の収入に関するものが中心です。

年金は何歳から受け取れますか?
老齢基礎年金・老齢厚生年金の受給開始は原則65歳です。希望すれば60歳からの繰り上げ、75歳までの繰り下げを選ぶこともできます。
60歳で退職すると、5年間はどう暮らせばよいですか?
働く収入、退職金や貯蓄からの取り崩し、年金の繰り上げの3つが基本の手段です。多くの方は組み合わせて使います。
繰り上げ受給はどのくらい減りますか?
1か月あたり0.4%の減額です。60歳ちょうどで受け取ると24%減となり、この減額は生涯続きます。
繰り上げは、あとから取り消せますか?
取り消せません。請求すると受給開始が確定します。障害基礎年金や寡婦年金との関係でも制約が生じるため、事前に年金事務所でご確認ください。
60歳以降も国民年金に入れますか?
納付月数が480月に満たない場合、任意加入して納めることができます。老齢基礎年金の額を満額に近づける方法です。
この5年に働くと、年金は増えますか?
厚生年金に加入して働けば、その期間分が老齢厚生年金に反映されます。金額は大きくなくても、終身で受け取れる分が増えます。
取り崩すお金は、どこに置いておけばよいですか?
使う時期が決まっているお金は、値動きのない場所に置くのが基本です。運用に回すと、必要なときに目減りしている可能性があります。
高年齢雇用継続給付とは何ですか?
60歳以降に賃金が下がった場合に、雇用保険から支給される給付です。要件や給付率は見直されてきているため、勤務先やハローワークで現在の内容をご確認ください。
繰り下げは誰でも選べますか?
受け取らない期間の生活費を別に用意できる方が選べる選択肢です。この5年間に資産を大きく減らすと、繰り下げは選びにくくなります。
準備はいつから始めればよいですか?
55歳前後が目安です。ねんきん定期便の確認、60歳以降の働き方の見通し、5年間の収支の差額の3つを出しておくと慌てずに済みます。

東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由

FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系のFP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務したのち、2025年4月に独立しました。年金の見込額と手元の資産を並べて、受給開始までの期間をどう組み立てるかを一緒に整理しています。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。ライフプラン・保険・資産運用・相続のご相談に対応しています。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。

対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)

▶ 日経BP(日経ビジネス Human Capital)に取材掲載

「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」

石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。

とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。

2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。

📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)

FPisが提供できる5つの強み

  • 独立系のFP事務所:特定の金融機関に雇用されていないため、転勤で担当が変わることがありません
  • 報酬の出どころを開示:いただく報酬がどこから来ているかを「なぜ無料なのか」にすべて書いています
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  • 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
  • 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制

📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。

ひとりで決めきれないところは、一緒に整理できます

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