おひとりさまの介護費用|自己負担の目安と50代からの備え方をFPが解説
「お金は自分でなんとかします。でも、手続きを誰に頼めばいいのかが分からない」——おひとりさまの方の相談で、ほぼ毎回のように出てくる言葉です。介護の備えというと費用の話になりがちですが、実際に困るのはお金と、判断や手続きを託す相手の両方です。この記事では、公的な仕組みで自己負担がどこまで軽くなるのかを確認したうえで、50代のうちに始められる準備を順番に整理します。
📌 この記事の要点
- おひとりさまの介護の備えは、費用と手続きを誰に頼むかの両輪で考える
- 介護サービスの自己負担は原則1割(所得に応じて2割・3割)。公的介護保険が土台になる
- 高額介護サービス費で月々の自己負担には上限がある。医療と介護を合算する制度もある
- 介護保険の対象外になる支出(住まい・食費・見守り・手続きの代行)が、おひとりさまでは大きくなりやすい
- 50代のうちにできるのは、①資産の棚卸し ②任意後見や見守りの検討 ③住まいの方針決めの3つ
おひとりさまの介護で、最初に困るのは「お金」ではない
介護が必要になったとき、家族が近くにいれば、申請や契約、支払いの管理を代わってもらえます。頼れる人がいない場合、この部分を自分で用意しておく必要があります。費用の準備と同じくらい、誰に何を頼むかを決めておくことが、おひとりさまの備えの中心になります。
介護が必要になったときに実際に発生するのは、次のような作業です。
- 要介護認定の申請、認定調査への立ち会い
- ケアマネジャーとの相談、サービス事業者との契約
- 入院・入所時の手続きと保証人
- お金の出し入れ、支払いの管理
- 自宅の管理、郵便物の整理
家族が同居していれば自然に分担されるこれらを、おひとりさまの場合は「誰に頼むか」をあらかじめ決めておく必要があります。判断能力が落ちてからでは、契約そのものが結べなくなるためです。
⚠️ とくに見落とされやすいのがお金の出し入れです。本人が窓口に行けない状態になると、家族であっても預金の引き出しには制限がかかります。おひとりさまの場合はなおさら、事前の取り決めが要ります。
介護にかかるお金の目安を知る
介護費用は、住宅改修や介護用ベッドなどの一時的な費用と、毎月続く費用に分かれます。生命保険文化センターの調査では、一時的な費用の平均は約47万円、月々の費用の平均は約9万円、介護期間の平均は5年程度とされています。あくまで平均であり、住まいの選び方で大きく変わります。
費用は「一時」と「毎月」に分けて見る
| 区分 | 内容 | 調査上の平均 |
|---|---|---|
| 一時的な費用 | 住宅改修、介護用ベッド、車いすなど | 約47万円 |
| 毎月の費用 | 介護サービスの自己負担、おむつ代、食費・水道光熱費の増加など | 約9万円 |
| 介護期間 | 介護が始まってから終わるまで | 5年程度 |
出典:生命保険文化センター「介護にはどれくらいの費用・期間がかかる?」
💡 この数字の読み方:平均は「だいたいこのくらい」の目安であって、ご自身の必要額ではありません。とくに在宅で続けるか、施設に移るかで、月々の負担は大きく変わります。数字は出発点として使い、住まいの方針とセットで考えてください。
公的介護保険で自己負担はどこまで軽くなるか
公的介護保険では、要介護認定を受けるとサービス費用の原則1割が自己負担になります。所得に応じて2割や3割になる方もいます。要介護度ごとに1か月に使える上限が決まっており、上限を超えた分は全額自己負担です。まず土台としてこの仕組みを押さえておくことが大切です。
仕組みの要点
- 40歳から保険料を負担し、原則65歳以上で要介護認定を受けると使えます(40〜64歳でも特定疾病が原因なら対象)
- 自己負担は原則1割。一定以上の所得がある方は2割または3割
- 要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限(区分支給限度基準額)が決まっています
- 上限を超えて使った分は全額自己負担になります
介護保険の対象にならない支出
ここがおひとりさまでは効いてきます。
- 施設や住宅型の住まいの家賃・管理費・食費
- 紙おむつなどの消耗品(自治体の助成がある場合も)
- 見守りサービス、緊急通報、家事代行のうち保険外の部分
- 入院・入所時の保証人や身元引受にかかる費用
💡 家族が担っていた部分をサービスで買うことになるため、おひとりさまは保険外の支出が増えやすい——これが費用面での最大の特徴です。
高額介護サービス費と、医療・介護の合算制度
介護サービスの自己負担が高額になったときは、高額介護サービス費によって1か月の負担に上限が設けられます。上限額は所得区分によって変わります。さらに医療費と介護費を1年間で合算して負担を軽くする高額医療・高額介護合算療養費制度もあります。申請が必要な制度である点に注意が必要です。
高額介護サービス費
1か月に支払った介護サービスの自己負担が一定の上限を超えたとき、超えた分が払い戻されます。上限額は所得区分によって段階的に決まっています。
⚠️ 自動的に減額されるのではなく、払い戻しの申請が必要です(初回の申請後は自動で振り込まれる自治体が多くあります)。おひとりさまの場合、この申請を誰がするのかまで決めておきたいところです。
高額医療・高額介護合算療養費制度
医療保険と介護保険の1年間(8月〜翌年7月)の自己負担を合算し、基準額を超えた分が払い戻される制度です。医療と介護が同時に必要になる時期に効きます。
おひとりさまが押さえておく順番
- 公的介護保険で自己負担を1〜3割にする
- 高額介護サービス費で月の上限をかける
- 医療と重なる年は合算制度を使う
- それでも残る部分と、保険外の支出を自分の資産で備える
この順番で見ると、民間の介護保険で備えるべき金額は、想像より絞り込めることが多くあります。
住まいをどうするか――費用差がいちばん大きいところ
介護費用の総額を左右するのは、在宅を続けるか住まいを変えるかの判断です。在宅は月々の負担を抑えやすい一方、見守りや家事の外部委託が増えます。住宅型や介護付の住まいは家賃と食費がかかりますが、人の目がある安心感があります。50代のうちに方針だけでも決めておくと、後の判断が早くなります。
| 選択肢 | 費用の傾向 | おひとりさまの視点 |
|---|---|---|
| 自宅で続ける | 月々は抑えやすい。住宅改修の一時費用がかかる | 見守り・買い物・通院の付き添いを外部に頼む前提で考える |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 家賃+管理費+食費+介護サービス費 | 安否確認と生活相談がついている。介護が重くなると住み替えが必要な場合も |
| 介護付の有料老人ホーム | 入居一時金がかかる場合がある。月額も高め | 介護が重くなっても住み続けやすい。費用の見通しは立てやすい |
| 特別養護老人ホーム | 費用は抑えられる | 原則として要介護3以上。入居の待機が生じることがある |
💡 50代でやっておくとよいこと:今すぐ決める必要はありません。ただ「自宅を最後まで使う方針か、いずれ住み替える方針か」だけでも決めておくと、自宅の修繕にどこまでお金をかけるかの判断が変わります。
手続きを誰に頼むか――任意後見・見守り・死後事務
判断能力が十分なうちに、将来を託す相手と内容を契約で決めておく方法があります。任意後見契約は判断能力が低下したあとの財産管理を、見守り契約は定期的な連絡を、死後事務委任契約は亡くなったあとの手続きを担います。それぞれ役割が異なるため、組み合わせて考えるのが一般的です。
| 契約 | いつ効き始めるか | 担う内容 |
|---|---|---|
| 見守り契約 | 契約後すぐ | 定期的な連絡・訪問で状況を確認する |
| 財産管理等委任契約 | 体は不自由だが判断能力はあるとき | 金銭管理や手続きの代行 |
| 任意後見契約 | 判断能力が低下したあと(家庭裁判所が監督人を選任) | 財産管理・介護サービスの契約など |
| 死後事務委任契約 | 亡くなったあと | 葬儀・行政手続き・住まいの片づけなど |
⚠️ 任意後見契約は公正証書で結ぶ必要があります。また、判断能力が低下してからでは契約できません。「元気なうちにしかできない準備」だという点が、いちばん重要です。
誰に頼むかは、司法書士・弁護士などの専門職、または信頼できる知人が候補になります。費用と担う範囲は依頼先によって異なるため、複数を比べて決めるのが安心です。契約内容の法的な確認は、司法書士・弁護士にご相談ください。
50代のうちにやっておく3つの準備
50代でできる準備は、資産の棚卸し、頼る相手の検討、住まいの方針決めの3つです。いずれもお金をかけずに始められ、判断能力があるうちにしかできないものが含まれます。すべてを今決める必要はなく、選択肢を把握して優先順位をつけておくことが目的です。
準備① 資産の棚卸し
どこの金融機関に何があるかを一覧にします。ネット口座、証券口座、保険証券、年金の見込額まで。この一覧は、任意後見や死後事務を誰かに託すときの出発点になります。
準備② 頼る相手の検討
今すぐ契約しなくても構いません。相談できる専門職を1人見つけておくだけでも、必要になったときの動きがまったく違います。
準備③ 住まいの方針決め
自宅を最後まで使うのか、いずれ住み替えるのか。方針が決まると、修繕への投資額や、備えるべき費用の水準が見えてきます。
💡 相談の現場から:おひとりさまの方ほど、準備を早く始められる傾向があります。35年の実務のなかで感じるのは、「決めておく」こと自体が不安を減らすということです。金額の正解を出すより、選択肢を知っておくほうが、日々の安心につながります。
よくある質問(FAQ)
介護費用はどれくらい準備しておけばよいですか?
公的介護保険の自己負担は何割ですか?
要介護認定はどこで申請しますか?
高額介護サービス費はどうすれば受けられますか?
民間の介護保険には入ったほうがよいですか?
頼れる家族がいない場合、入院時の保証人はどうしますか?
任意後見契約はいつまでに結べばよいですか?
見守り契約と任意後見契約の違いは何ですか?
自宅で介護を続けるのと施設ではどちらが安いですか?
おひとりさまの備えをFPに相談できますか?
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系FP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務し、100世帯超のお客様のお金の課題に向き合ってきた実績を持ちます。おひとりさまの資産の棚卸しから専門家の紹介までワンストップで提供します。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。100世帯超のライフプラン・保険・資産運用・相続をサポート。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系の中立性:保険会社・証券会社・銀行のいずれにも属さず、お客様の利益を最優先
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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の購入・売却・保有を推奨するものではありません。制度・税制・数値は執筆時点の公開情報にもとづいており、今後変更される場合があります。
※税務・法務の取り扱いは個別事情により異なります。実際の判断にあたっては、税理士・弁護士・司法書士など各分野の専門家にご相談いただくことをお勧めします。投資には元本割れなどのリスクがあり、最終的なご判断はご自身の責任でお願いいたします。

