おひとりさまの終の住まい|高齢者向け住宅と施設の費用
「元気なうちは、いまの家で大丈夫。そのあとのことは、そのとき考えます」——おひとりさまのご相談で、よく伺うお言葉です。ただ、住まいを移す判断は体調が変わってからでは選択肢が減ります。入居の手続きに家族の署名を求められる場面もあります。この記事では、高齢者向けの住まいの種類と費用を並べ、いつ何を決めておくとよいかを整理します。
📌 この記事の要点
- 高齢者向けの住まいは、自立向けか、介護が必要になってからかで大きく分かれる
- 費用は入居時にかかる一時金と毎月の費用の2本立てで比べる
- 月額の表示に介護保険の自己負担や 医療費、日用品費が含まれていないことがある
- 特別養護老人ホームは費用が抑えられるが原則要介護3以上で、待機が生じることがある
- おひとりさまは身元保証人を求められる場面がある。元気なうちに備えておく
「最後はどこで暮らすか」を、元気なうちに考える理由
住まいを移す判断は、体調や判断力が変わってからでは選択肢が狭まります。見学に行く体力、契約内容を読む集中力、費用を比べる時間のいずれもが必要だからです。決めなくても、調べておくだけで違います。
ご相談のなかで、いちばん申し上げたいのがこの点です。
💡 Kさん(68歳・女性)は、ご自身が入院されたことをきっかけに住まいの相談にみえました。「退院後にひとりで階段の上り下りができるか不安で。でも、体調を崩してから探し始めると、見学にも行けないのだと分かりました」——結果的にご自宅に戻られましたが、候補をいくつか見ておいたことで「次に何かあっても慌てずに済む」とおっしゃっていました。
元気なうちにできること
- 種類と費用の相場を知っておく:この記事の範囲です
- 2〜3か所を見学しておく:写真と実際は印象が違います
- 身元保証の備えを考えておく:おひとりさまでは、ここが入口の壁になることがあります
- いまの資産で何年分まかなえるかを出しておく:選べる範囲が分かります
決めるのはずっと先で構いません。調べておくことと、決めることは別です。
住まいの種類を4つに分けて見る
高齢者向けの住まいは、サービス付き高齢者向け住宅、住宅型有料老人ホーム、介護付き有料老人ホーム、特別養護老人ホームの4つに大きく分けられます。自立の段階で入るものと、介護が必要になってから入るものがあります。
| 種類 | 主な対象 | 介護サービス |
|---|---|---|
| サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 自立〜軽度の介護 | 安否確認と生活相談が基本。介護は外部の事業者と別契約 |
| 住宅型有料老人ホーム | 自立〜介護 | 外部の事業者と別契約 |
| 介護付き有料老人ホーム | 要支援・要介護 | 施設の職員が提供(特定施設入居者生活介護) |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 原則要介護3以上 | 施設の職員が提供 |
いちばん大きな分かれ目
介護サービスが施設に含まれているか、別契約かという点です。サ高住と住宅型は「住まい」であり、介護は外部から受けます。介護付きと特養は、介護サービスが一体になっています。
⚠️ サ高住や住宅型で介護が必要になると、外部サービスの利用が増えるほど月々の負担も増えます。入居時の月額だけを見て決めると、介護度が上がったときに想定と変わることがあります。
費用は「入居時」と「毎月」の2本立てで比べる
高齢者向け住宅の費用は、入居時にかかる一時金と毎月かかる費用に分かれます。一時金は0円から数千万円まで幅があり、月額もサービス内容と地域によって大きく異なります。両方を合わせて比べます。
費用のめやす
| 種類 | 入居時 | 月額のめやす |
|---|---|---|
| サ高住 | 敷金として家賃の2〜3か月分程度が中心(0円のところもある) | おおむね10万〜30万円程度 |
| 住宅型有料老人ホーム | 0円〜数百万円 | おおむね15万〜30万円程度 |
| 介護付き有料老人ホーム | 0円〜数千万円 | おおむね15万〜35万円程度 |
| 特別養護老人ホーム | 原則なし | おおむね8万〜15万円程度 |
金額は地域差と施設差が非常に大きく、都市部では上振れします。あくまで幅としての目安とお考えください。(参考:LIFULL介護「老人ホーム・介護施設の費用相場」)
⚠️ 月額の表示に含まれていないものがあります。介護保険サービスの自己負担、医療費、おむつ代などの日用品費、レクリエーション費、居室での電気代などです。「月額◯万円」の内訳に何が入っているかを、忘れずに書面で確認してください。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
サ高住はバリアフリーの賃貸住宅に安否確認と生活相談が付いたものです。自立や軽度の介護の段階で入る方が中心で、介護が必要になったら外部の事業者と契約します。住み替えが必要になる場合もあります。
特徴
- 賃貸契約が基本:敷金はかかるが、高額な一時金は少ない
- 安否確認と生活相談が付く:職員が日中常駐する形が一般的
- 自由度が高い:外出や来客の制限が緩やかなところが多い
- 介護は別契約:訪問介護などを外部から受ける
気をつけたいこと
介護度が上がって手厚い介護が必要になると、住み続けられない場合があります。「介護が必要になったらどうなるか」「退去を求められるのはどんな場合か」を、契約前に確認しておいてください。
💡 おひとりさまにとって、サ高住の安否確認は大きな意味を持ちます。毎日誰かが様子を見てくれる仕組みがあるだけで、ご本人も離れて暮らすご親族も安心されることが多くあります。
有料老人ホーム|住宅型と介護付きの違い
住宅型有料老人ホームは生活支援が中心で介護は外部契約、介護付き有料老人ホームは施設の職員が介護を提供します。介護付きは介護保険の自己負担が定額になるため、介護度が高い場合は見通しが立てやすくなります。
| 住宅型 | 介護付き | |
|---|---|---|
| 介護サービス | 外部事業者と別契約 | 施設の職員が提供 |
| 介護保険の自己負担 | 使った量に応じて変動 | 要介護度に応じて定額 |
| 向いている段階 | 自立〜軽度 | 要支援・要介護 |
| 費用の見通し | 介護量で変動しやすい | 立てやすい |
介護付きは「定額」が利点にも欠点にもなる
介護保険の自己負担が要介護度に応じた定額になるため、介護量が多い方は負担の見通しが立ちます。一方、あまり介護を使わない方にとっては、使った量に比べて割高に感じられることがあります。
⚠️ 介護付き有料老人ホームでは、入居時に数百万円から数千万円の一時金を求められる施設もあります。一時金には償却の期間と割合が定められており、早期に退去・逝去した場合の返還額が契約により異なります。ここは契約書で確認しておきたい点です。
特別養護老人ホーム|費用は抑えられるが条件がある
特別養護老人ホームは公的な施設で、入居一時金がなく月額も抑えられます。ただし入居は原則として要介護3以上で、地域によっては待機が生じます。所得に応じて負担を軽減する制度があります。
おもな条件
- 原則要介護3以上:要介護1・2の方は特例的に認められる場合があります
- 入居一時金は原則なし
- 月額は8万〜15万円程度:居室の種類(多床室・ユニット型個室など)で変わります
- 待機が生じることがある:地域と施設によって大きく異なります
負担を軽くする制度
所得や資産が一定以下の方について、居住費と食費の負担を軽減する「特定入所者介護サービス費(負担限度額認定)」という制度があります。また、介護保険の自己負担額が一定額を超えた場合に払い戻される高額介護サービス費もあります。いずれも申請が必要です。
詳しくは、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、または地域包括支援センターにご確認ください。
💡 特養は費用面で選択肢になりますが、要介護3以上という条件があるため「元気なうちに申し込んでおく」ことはできません。自立の段階で住み替えを考える方は、サ高住や住宅型が中心の検討になります。
おひとりさまがつまずきやすいのは、身元保証
高齢者向け住宅や施設の入居時に、身元保証人や連帯保証人を求められることがあります。頼れる家族がいない場合、成年後見制度の利用や身元保証サービスの契約が選択肢になります。早めの準備が役に立ちます。
費用の話と同じくらい、実際につまずくのがここです。
求められることがある役割
| 役割 | 内容 |
|---|---|
| 連帯保証 | 費用の支払いが滞った場合の保証 |
| 緊急時の連絡先 | 体調急変・入院時の連絡を受ける |
| 医療行為の同意にかかわる確認 | 本人の意思確認が難しい場面での相談相手 |
| 退去時・逝去後の対応 | 居室の明け渡し、私物の引き取り |
頼れる家族がいない場合の選択肢
- 任意後見契約:判断力があるうちに、将来支援してもらう人を決めておく
- 財産管理委任契約:判断力があるうちから、お金の管理を委任する
- 死後事務委任契約:逝去後の手続きを託しておく
- 身元保証サービス:民間の事業者が保証と支援を提供する
⚠️ 身元保証サービスは、事業者によって契約内容と費用に幅があります。預託金の管理方法、途中解約の条件、事業者が破綻した場合の取り扱いを、契約前に確認してください。契約書の内容については、弁護士・司法書士にご相談いただくことをおすすめします。
この分野は おひとりさまシニアのお金の備え完全ガイド でより詳しく扱っています。
いまの資産で、どこまで選べるかを出しておく
住まいの選択肢は、年金の手取りと資産の額によって絞られます。月額と年金の差額に、想定する入居年数を掛けると、必要な資産の目安が出ます。数字が出ると、現実的な候補が見えてきます。
出す順番
- 年金の手取り(月あたり)を確認する
- 候補となる住まいの月額を調べる(含まれない費用も足す)
- 差額=月額 − 年金の手取り を出す
- 差額 × 12か月 × 想定する年数+入居一時金 = 必要な資産
💡 たとえば年金の手取りが月14万円、月額22万円のサ高住であれば、差額は月8万円。年間96万円です。15年で約1,440万円、これに入居時の費用が加わります。この数字が出ると、「いまの資産で足りるか」「もう少し抑えた候補を探すか」が具体的に考えられます。
年数をどう見るか
想定する年数は誰にも分かりません。だからこそ、長めに見ておくと安心の度合いが変わります。90歳、95歳まで、といった置き方で複数の試算をしてみてください。
いまの住まいをどうするか
持ち家の方は、売却するか、賃貸に出すか、そのままにするかで資金計画が変わります。売却を前提に計画を立てる場合は、いくらで売れそうかを早めに把握しておくほうが確実です。住み替えの考え方は おひとりさまの住まいを50代で決める でも扱っています。
よくある質問
高齢者向けの住まいと費用について、ご相談の場でよくいただく質問をまとめました。種類の違いと、おひとりさま特有の準備に関するものが中心です。
高齢者向けの住まいにはどんな種類がありますか?
サ高住と有料老人ホームはどう違いますか?
費用はどれくらいかかりますか?
月額に含まれないものはありますか?
特別養護老人ホームには誰でも入れますか?
費用を軽くする制度はありますか?
身元保証人がいない場合はどうなりますか?
身元保証サービスを選ぶときの注意点は何ですか?
いつごろから探し始めるとよいですか?
持ち家がある場合はどう考えますか?
東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由
FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系のFP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務したのち、2025年4月に独立しました。ご相談は、お手元の数字を一枚に並べて全体を見えるようにするところから始めています。
石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表
CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。ライフプラン・保険・資産運用・相続のご相談に対応しています。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。
対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)
「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」
石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。
とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。
2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。
📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)
FPisが提供できる5つの強み
- 独立系のFP事務所:特定の金融機関に雇用されていないため、転勤で担当が変わることがありません
- 報酬の出どころを開示:いただく報酬がどこから来ているかを「なぜ無料なのか」にすべて書いています
- ワンストップ対応:FP相談を軸に、商品の取り扱いが必要な場合は石田が所属先の登録を用いて対応します
- 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
- 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制
📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。
どこまで選べるかは、数字にすると見えてきます
FP事務所FPisは、初回90分のご相談を無料でお受けしています。年金の見込額と資産の一覧をお持ちいただければ、候補となる住まいの費用と照らして、選べる範囲を一緒に整理します。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の勧誘や投資判断の推奨を目的とするものではありません。制度の内容や税の取り扱いは改正されることがあります。記載は執筆時点の公表情報にもとづいており、実際のお手続きにあたっては公的機関の最新の案内をご確認ください。
個別の税務の判断については税理士に、法律の判断については弁護士・司法書士にご相談ください。社会保険・雇用保険の個別の取り扱いについては、年金事務所・ハローワークにご確認ください。運用による成果を保証するものではなく、金融商品には元本割れの可能性があります。
FP事務所FPis(東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階)/代表 石田健雄(CFP・1級FP技能士)

