日経BP社に取材いただいた記事が公開されました!

退職までの1年でやっておくこと|辞める日から逆算する手続き

退職までの1年でやっておくこと|辞める日から逆算する手続き

「退職を決めたのですが、何から手をつければいいのか分からなくて」——このご相談は、毎年この時期に増えます。退職の手続きは、辞めたあとにまとめてやるものだと思われがちです。ところが実際には、辞める前にしか選べないものと、辞めてから日数が決まっているものが混ざっています。この記事では、退職日から逆算して、1年分の流れを時期ごとに並べます。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表/CFP・1級FP技能士

CFP1級FP技能士渋谷区独立系FP

📌 この記事の要点

  1. 退職の手続きは「辞める前にしか選べないもの」と「辞めてから期限があるもの」に分かれる
  2. 健康保険の任意継続は退職日の翌日から20日以内。この期限を過ぎると選べなくなる
  3. 退職金の受け取り方(一時金か年金か)は、多くの場合在職中に会社へ届け出る
  4. 「退職所得の受給に関する申告書」を出さないと、退職金から一律の税率で源泉徴収される
  5. いちばん効くのは退職した翌年。住民税と社会保険料が、収入が減ったあとに届く
タップで読みたい場所にジャンプ

退職日が決まってから動くと、間に合わないものがある

退職の手続きには、在職中にしか選べないものと、退職後に日数の期限があるものがあります。健康保険の任意継続は退職日の翌日から20日以内、企業型確定拠出年金の移換は退職後6か月が目安です。順番を知っておくと、慌てずに進められます。

退職にまつわる手続きは、数としてはそれほど多くありません。困るのは数ではなく、期限がばらばらで、しかも短いものが混ざっている点です。

期限で3つに分けて考える

種類 いつ決めるか
在職中にしか選べない 退職日まで 退職金の受け取り方、企業年金の選択、団体保険の継続可否
退職後すぐ期限が来る 退職日の翌日から14〜20日 健康保険の任意継続(20日以内)、国民健康保険・国民年金への切替(14日以内)
数か月かけてよい 退職後6か月ほど 企業型確定拠出年金の移換、雇用保険の受給手続き

💡 Aさん(57歳・女性)は、退職から3週間後に健康保険の相談にみえました。任意継続を希望されていましたが、20日の期限を過ぎたあとでした。国民健康保険に加入することになり、初年度の保険料は前年の収入をもとに計算されました。「先に知っていれば、比べてから選べたのに」とおっしゃっていました。

この記事では、退職日を起点に「1年前」「半年前」「3か月前」「1か月前」「直後」「翌年」の順に並べます。

退職までの1年を、時期ごとに分ける

退職までの1年は、1年前・半年前・3か月前・1か月前の4つに区切ると整理しやすくなります。前半は情報を集める時期、後半は決めて届け出る時期です。早い段階でやることは少なく、退職が近づくほど期限が詰まってきます。

まず全体像です。細かい話に入る前に、どの時期に何をするのかを一枚で見ておきます。

時期 やること 性格
1年前 退職金・企業年金の見込額を確認する/ねんきん定期便を見る 集める
半年前 健康保険の3つの選択肢を比べる/配偶者の扶養に入れるか確認する 比べる
3か月前 退職金の受け取り方を決める/企業年金の選択を届け出る 決める
1か月前 会社から受け取る書類を確認する/貸与品・団体保険を整理する そろえる
退職直後 健康保険・年金の切替(14〜20日)/離職票を受け取る 急ぐ
翌年 住民税・国民健康保険料の請求が届く/確定申告 備える

ご覧のとおり、手を動かす量がいちばん多いのは退職の3か月前から直後までです。ここに向けて、前半のうちに情報を集めておきます。

1年前〜半年前|まず「いくら入るか」と「いくら出るか」を確認する

退職の1年前から半年前にかけては、退職金と企業年金の見込額、公的年金の見込額、退職後の健康保険料の3つを確認します。金額が分かると、そのあとの選択が具体的になります。この時期は決める必要がなく、集めるだけで十分です。

確認するのは3つだけ

  • 退職金・企業年金の見込額:多くの会社で、人事・総務に問い合わせると試算を出してもらえます。確定給付企業年金(DB)と企業型確定拠出年金(DC)の両方がある場合は、それぞれ別に確認します
  • 公的年金の見込額:ねんきん定期便、またはねんきんネットで確認します。何歳から、いくら受け取れるかを見ます
  • 退職後の健康保険料:任意継続の保険料は加入している健康保険組合へ、国民健康保険料はお住まいの市区町村の窓口で試算してもらえます

⚠️ 国民健康保険料と住民税は、前年の所得をもとに計算されます。退職して収入が減った年ではなく、その翌年に負担が重く感じられるのはこのためです。詳しくは 退職した翌年に効いてくるお金 でも扱っています。

企業型DCがある方は、退職後の期限に注意

企業型確定拠出年金に加入していた場合、退職後に移換の手続きが要ります。手続きをしないまま6か月を過ぎると自動移換となり、その間は運用されず手数料がかかります。受給に必要な期間にも算入されません。

3か月前|退職金の受け取り方を決める

退職金は一時金で受け取るか、年金形式で受け取るかを選べる会社があります。多くの場合、在職中に届け出る必要があり、退職後には変更できません。税金の扱いが大きく異なるため、金額を出したうえで比べておきます。

ここが、在職中にしか選べないものの代表です。

一時金と年金形式の違い

受け取り方 税の扱い 特徴
一時金 退職所得。退職所得控除を差し引いたあと、原則その2分の1が課税対象 控除が大きく、税負担は軽くなりやすい。まとまって入る
年金形式 雑所得。公的年金等控除の対象 受け取る年ごとに所得となり、社会保険料に影響することがある

退職所得控除の計算

  • 勤続20年以下:40万円 × 勤続年数(80万円に満たない場合は80万円)
  • 勤続20年超:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)

勤続35年であれば、800万円+70万円×15年=1,850万円が控除額です。(出典:国税庁「退職金を受け取ったとき(退職所得)」

⚠️ 「退職所得の受給に関する申告書」を会社へ提出していないと、退職所得控除が適用されないまま一律の税率で源泉徴収されます。確定申告で精算できますが、手間がかかります。提出したかどうかを確認しておいてください。

iDeCoを併用している方へ

iDeCoの一時金と退職金を別の年に受け取る場合、退職所得控除の重複を調整する仕組みがあります。2026年1月1日以降、この調整の対象となる期間が5年から10年に延長されました。iDeCoを先に受け取ってから退職金を受け取る順番を考えていた方は、あらためて試算されることをおすすめします。個別の税額の判断は税理士にご相談ください。

1か月前|会社から受け取る書類をそろえる

退職時に会社から受け取る書類は、離職票、雇用保険被保険者証、年金手帳または基礎年金番号通知書、源泉徴収票、退職証明書などです。離職票は退職後に郵送されることが多く、届く時期を確認しておくと安心です。

受け取る書類の一覧

書類 使いみち 受け取る時期
離職票(1・2) 雇用保険の受給手続き 退職後。郵送が多く、2週間前後かかることがある
雇用保険被保険者証 再就職先への提出 退職時
源泉徴収票 確定申告・再就職先への提出 退職後1か月以内が目安
健康保険資格喪失証明書 国民健康保険への加入手続き 退職後
退職金の支払明細 税額の確認 支給時

返すものも確認しておく

健康保険証、社員証、貸与されたパソコンや携帯電話などです。健康保険証を返すと、その日から手元に保険証がない期間が生まれます。持病の通院がある方は、切替の段取りを先に決めておくと安心です。

💡 Bさん(59歳・女性)は、退職の1か月前に「通院中の病院の次の予約が、退職の10日後だった」ことに気づかれました。国民健康保険の加入手続きを退職の翌営業日に済ませ、資格が確認できる書類を持って受診されました。あとから精算する方法もありますが、先に動くほうが手間は少なくて済みます。

退職直後|14日・20日という2つの期限

退職の翌日から、健康保険と年金の切替が始まります。任意継続は20日以内、国民健康保険と国民年金への切替は14日以内が目安です。どちらも退職日の翌日を起点に数えます。この2つを最初に片づけます。

健康保険は3つの選択肢がある

選択肢 期限 保険料の決まり方
任意継続被保険者 退職日の翌日から20日以内 退職時の標準報酬月額がもと。原則2年間。事業主負担がなくなるため、在職中の約2倍になることがある
国民健康保険 退職日の翌日から14日以内 前年の所得がもと。市区町村によって計算が異なる
家族の被扶養者になる すみやかに 保険料の負担なし。収入の要件がある

どれが軽くなるかは、前年の所得と扶養する家族の人数によって変わります。両方の見込額を出してから決めてください。(参考:全国健康保険協会「任意継続被保険者制度」

年金の切替

60歳未満で退職し、すぐに再就職しない場合は、国民年金の第1号被保険者への切替が要ります。配偶者の扶養に入っていた方が、ご自身の退職で第3号から外れるといったケースもあります。お住まいの市区町村の窓口で手続きします。

雇用保険

離職票が届いたら、お住まいを管轄するハローワークで受給の手続きをします。給付が始まる時期は離職の理由によって異なり、自己都合の場合は待期期間のあとにさらに給付制限が設けられます。

翌年|いちばん効いてくるのは、収入が減ったあと

住民税は前年の所得に対して課税され、国民健康保険料も前年の所得をもとに計算されます。退職した年ではなく翌年に負担が集中するため、退職金の一部を取り置いておく考え方があります。

ご相談のなかで、いちばん驚かれるのがこの点です。

退職した年と、その翌年で起きること

時期 起きること
退職した年 給与が途中で止まる。退職金が入る。住民税は在職中の給与から天引き(または退職時に一括徴収)
退職した翌年 前年(=働いていた年)の所得をもとに、住民税と国民健康保険料が計算される。納付書が自宅に届く
翌々年 前年の所得が下がっているため、負担も下がる

つまり、収入がいちばん少ない年に、いちばん高い請求が届く形になります。

💡 退職金が入ったあと、その一部を「翌年の税と社会保険料のぶん」として分けておく方がいらっしゃいます。金額は前年の所得によって変わりますので、退職前にお住まいの市区町村で住民税の見込みを、健康保険組合で保険料の見込みを確認しておくと、取り置く額の目安が立ちます。

確定申告が要る場合

年の途中で退職し、その年に再就職しなかった場合は、年末調整が行われません。確定申告をすることで、納めすぎた所得税が戻ることがあります。医療費控除や生命保険料控除もあわせて申告できます。

退職までの1年、やることチェックリスト

退職までの流れを一枚にまとめました。時期ごとに区切って、できたものから消していく使い方を想定しています。すべてを同時に考えず、いまの時期の欄だけを見るようにすると負担が軽くなります。

  • 1年前:退職金・企業年金の見込額を人事に確認した
  • 1年前:ねんきん定期便で公的年金の見込額を見た
  • 半年前:任意継続・国民健康保険・扶養の3つの保険料を比べた
  • 半年前:退職後の住まいと働き方の見通しを決めた
  • 3か月前:退職金の受け取り方を決めて届け出た
  • 3か月前:「退職所得の受給に関する申告書」を提出した
  • 1か月前:受け取る書類と返す物を確認した
  • 1か月前:通院・服薬の予定と保険証の切替時期をすり合わせた
  • 直後:健康保険の手続きをした(20日以内)
  • 直後:国民年金の切替をした(14日以内)
  • 直後:離職票が届いたらハローワークへ行った
  • 翌年:住民税・国民健康保険料のぶんを取り置いた
  • 翌年:確定申告をした

この順に進めていただくと、期限で慌てる場面はかなり減ります。順番がご自身の事情に合っているかどうかは、一度一緒に並べてみると確かめられます。

よくある質問

退職前後の手続きについて、ご相談の場でよくいただく質問をまとめました。期限に関するものと、退職金の受け取り方に関するものが中心です。

退職の手続きは、いつから始めればよいですか?
1年前から情報を集め始めると余裕があります。決めるのは3か月前ごろ、動くのは退職の直前と直後です。
健康保険の任意継続は、いつまでに申し込みますか?
退職日の翌日から20日以内です。この期限を過ぎると任意継続は選べなくなります。
任意継続と国民健康保険は、どちらが安いですか?
前年の所得と扶養する家族の人数によって変わります。両方の見込額を出してから比べてください。
退職金は一時金と年金形式、どちらがよいですか?
勤続年数が長い方は退職所得控除が大きく、一時金の税負担が軽くなりやすい傾向があります。ただし使う予定や他の所得によって変わります。
「退職所得の受給に関する申告書」を出し忘れるとどうなりますか?
退職所得控除が適用されないまま一律の税率で源泉徴収されます。確定申告で精算できます。
退職金の受け取り方は、あとから変更できますか?
多くの会社では在職中の届け出が必要で、退職後の変更はできません。就業規則や退職金規程をご確認ください。
企業型確定拠出年金は放っておくとどうなりますか?
退職後6か月以内に手続きをしないと自動移換されます。運用されないまま手数料がかかり、受給に必要な期間にも算入されません。
離職票はいつ届きますか?
退職後に会社から郵送されることが多く、2週間前後かかる場合があります。届く時期を会社に確認しておくと安心です。
退職した翌年に何が届きますか?
前年の所得をもとに計算された住民税と、国民健康保険料の納付書が届きます。収入が減ったあとに来るため負担に感じやすい時期です。
年の途中で退職したら確定申告は要りますか?
再就職せず年末調整を受けていない場合は、確定申告をすることで納めすぎた所得税が戻ることがあります。

東京・渋谷のFP事務所FPisが選ばれる理由

FP事務所FPis(エフピス)は、東京都渋谷区に拠点を置く独立系のFP事務所です。代表の石田健雄は第一生命に35年勤務したのち、2025年4月に独立しました。ご相談は、お手元の数字を一枚に並べて全体を見えるようにするところから始めています。

石田健雄 FP事務所FPis代表

石田 健雄(いしだ たけお)|FP事務所FPis代表

CFP・1級FP技能士。第一生命に35年間勤務後、2025年4月に独立開業。ライフプラン・保険・資産運用・相続のご相談に対応しています。渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階。対面・オンライン・LINE・電話で対応。

対応エリア:東京都渋谷区周辺・首都圏全域(オンライン可)

日経BP(日経ビジネス Human Capital)に取材掲載

「70歳まで働き続けたい。
だからこそ、今このタイミングで独立するべきだ」

石田は第一生命に35年間勤め、本社所属のFPとして多くのお客様に向き合ってきました。40代で個人向け営業の最前線に立った4年間は「会社人生で最も充実していた」と振り返るほど手応えのある日々でした。

とりわけ印象に残っているのが、ご家族への寄り添いサポートです。複雑な手続きを一緒に進めてさしあげると「本当に助かりました」と感謝の言葉をいただきました。「お客様の役に立てる喜び」——その体験が石田の原点です。

2025年3月末に第一生命を退社し、翌4月1日にFPis(エフピス)の看板を掲げました。

📰 出典:「第一生命『黒字リストラ』1000人募集に約2倍応募」(日経BP / Human Capital Online)

FPisが提供できる5つの強み

  • 独立系のFP事務所:特定の金融機関に雇用されていないため、転勤で担当が変わることがありません
  • 報酬の出どころを開示:いただく報酬がどこから来ているかを「なぜ無料なのか」にすべて書いています
  • ワンストップ対応:FP相談を軸に、商品の取り扱いが必要な場合は石田が所属先の登録を用いて対応します
  • 伴走型の継続サポート:年1回以上のフォローアップで継続的に見直し
  • 専門家ネットワーク:税理士・弁護士・司法書士・不動産コンサルタントとの連携体制

📍 FP事務所FPis(エフピス)
東京都渋谷区渋谷2-19-19 ワコー宮益坂ビル5階(渋谷駅・宮益坂口から徒歩約5分)
対面・オンライン・LINE・電話・メール、すべてに対応。首都圏以外からもオンラインでご相談いただけます。

退職までの順番は、一度並べてしまえば迷わなくなります

FP事務所FPisは、初回90分のご相談を無料でお受けしています。退職日が決まっている方も、まだ迷っている段階の方も構いません。お手元の見込額を一緒に並べて、いつ何をするかの順番から整理します。

無料相談を申し込む

読んで「自分の場合はどうなるか」が気になったら
FPisは金融機関に属さない独立系のFP事務所です。記事の内容をあなたの家計に当てはめて、一緒に整理します。初回は90分無料、オンラインでもご相談いただけます。無理な勧誘はいたしません。
まずは90分の無料相談を予約する
オンライン可/初年度は無料でご利用いただけます
よろしければシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

タップで読みたい場所にジャンプ